第2話 傷心旅行!?

『ザパーン、ザパーン、―――』

『バッシャーンー! ザザーーー、―――』


「波が高いな…」

「天気も良くないし……俺の心と同じだな…」


 夏場は海水浴で賑わう砂浜。

 シーズンはとうの昔に過ぎているので殆ど人は見掛けない。時々、散歩? をしている人を見掛けるぐらいだ。


 強風の所為だろう……。何時もより激しく波しぶきを上げており、ふと何気なく青紫色の空を見上げると、少し遠くにカモメ? らしきものが飛んでおり鳴き声が聞こえる。


 波が靴に掛らない様にしばらく海岸線に沿って歩いた後、適当に綺麗そうな場所を見つけ俺は腰を下ろす。

 人生に迷った時に来る、俺の憩いの場所。

 しばらく海を見て、ゆっくりと考えてみる。


(どうして、日生はあの時『うん!』と言ってくれなかったんだろう?)

(俺ではまだ、日生の彼氏には早すぎるのか!?)

(でも、真央には『日生と良輔お似合いだよ!』と言われた事も有るし…)


 日生の事と真央のさっきの言葉を思い出しながら海風に当たる。

 最初は気持ち良いと感じた風も、今では肌寒くなってきた……

 カモメらしき鳥はもう居なくなっていて、波の音と、風の音と、時々通る自動車の音しか聞こえて来ない。


(体も冷えてきたし、そろそろ帰るか…)

(よし! 日生に連絡してみよう!!)


 俺はゆっくりと立ち上がり歩き出す。

 夜間近の空には、綺麗な星が見えだしていた……

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