第1話 共通の親友
小走りに去って行く日生を呆然と眺めた後、俺はトボトボ歩いて学校に到着する。
昇降口で靴を脱ぎ、校内用のスリッパに履き替えて、親しい人とは会わずに教室に入り席に着く。
「はぁ~」
朝から大きなため息が出る……
日生に振られてから、体調も勉強の調子が悪い。そして、心のダメージは予想以上に大きい。
RPGで例えるなら、俺は瀕死の状態だ。後、何かの1撃を受ければ俺は人間では無くなるだろう……そんな気がした。
日生に振られてから、挨拶以外の言葉を交わしていない。話をしようと彼女に近づくとサッと逃げてしまう。ポ〇モン状態だ…。モ〇スター〇ールが必要か!?
これでは手の打ちようが無いと感じて、日生と俺の友人で有る、
日生と共通の親友でも有り、今まで真央から、日生の事で色々とアドバイスを貰ったり、相談もしたりした。今回の事はもちろん知っている。
残念ながら真央とは別クラスで有る。同じクラスなら良かったのに……
放課後が来るまでは、普通に授業を受ける事にしよう。
放課後……
待ち合わせの場所で有る、普段使って居ない空き教室で真央を待っていると『ガラッ』と扉が開き真央が入ってくる。
「どうした~?」
「私だけ呼ぶなんてめずらしいね~!」
真央は元気な声で、俺に笑顔で話し掛けてくる。
「うん、真央。実はさ…」
俺と日生の状況を話す前に、真央が話し掛けてくる。
「日生の事でしょ!」
「そろそろ聞いてくると思っていた!!」
「真央にはお見通しか……」
「まあね!」
「しかし、残念だったね…。まさか日生に彼氏がいたなんて……」
「うん。そうなんだよ…」
真央には俺が日生に振られた日。その日の内にSNS(※)で伝えた。
(※)この話の中ではSNSは、L○NE見たいな個別でのやり取りが出来るサービスです。
「もう、あの時は本当びっくりしたよ!」
「いきなり『日生に振られた(泣)』ってくるから…」
「こっちもびっくりだよ。返信が『はぁ!?』だからさ…」
あの時は状況を説明するのが大変だった。
真央には何で『事前に私に相談しないの!!』と怒られるし、真央は日生から何か聞いてない? と聞いてみたら『全然w』と来るから、てんてこ舞いだった……
「それでさ、日生との関係……修復出来ないかなと…」
「何とね…」
「クラスが一緒ならまだしも、別々だとね…」
「日生は人見知りが激しいから、あんまりクラスにも馴染めて居ないんだよ!」
「特に男子なんかは……積極的に話し掛けてるのは、あなた位だもんね(笑)」
にやにやしながら言う真央。悪気は無いやつだが、この辺は少し馴染みにくい。
「えっ!?」
「じゃあ、振られたのもそれ!?」
思わず身を乗り出して聞いてしまう。しかし、真央はそれを濁す。
「いや~、それはわからない~~」
「でも、私の見る限り、日生には彼氏は居ないと思うよ!」
「私もあの子とは付き合い長いからね~~!」
笑って話してくれる真央。少し元気が出てきた!
ちなみに、日生と真央の付き合いは中学校かららしい。その中に俺が高校から加わった感じだ。
「久しぶりに日生にSNSでもしたら?」
「日生に振られてから、全くしていないんでしょ!!」
「大抵、返信来るよ! あの子の事だから!!」
「そうかな……?」
「未練がましい男だと思われないかな…」
「自信もってよ!」
「日生の事、諦めてないんでしょ!!」
「うん…」
「でも、日生から返事が返ってこなかったら、諦めるべきだけどね!」
「男らしく!!」
「えへっ!」
真央は舌をペロッと出しながら言う。
「そう言う事言うなよ! 真央~~」
「まあ、でも頑張って!」
「私は
……
真央は活発的な女子だ。
スタイルもまあまあ良くて時々、日生より真央の方が……と考えてしまうほどの子だ。
その後は少し雑談をした後、真央とは別れて、俺は特にクラブ活動には入っていないので帰路につく。
(あそこに寄るか…)
学校を出て駅に向かい、家とは反対方向の電車に乗る。20分位電車に揺られた後、電車を降り駅から10分位歩く。
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