優しさに気づく時、もう君はいない

かのこ

優しさに気づく時、もう君はいない

カーペットを変えたら衝撃的な事実に気づいてしまったのです。以前のカーペットはちょっとだけ毛足のあるちょっとだけもこもこしてるもの。新しいカーペットはキルト生地の全くモコモコしてないまさに布。

私は今までちょっとだけ毛足のあるあのモコモコの優しさにどれだけ甘えていたのだろうか。足裏を優しく受け止めて、床の冷たさを遮断してくれる暖かさ。モコモコがちょっとだけだから、夏も暑苦しくなく肌に張り付かず、昼寝を優しくサポートしてくれていました。

そんなカーペットの優しさに、私は新しいカーペットに変えてからようやく気づいたのです。

新しいカーペットはキルト生地。以前のようにモコモコはしていないのですが、少し厚みがあり布も柔らかく快適な肌触り。もちろん夏も冬もサラサラで快適です。シンプルなデザインが好みで、お値段もお手頃なので気に入って購入しました。敷いてみて部屋のイメージにもピッタリ。良き買い物をしたと満足していたのですが、しばらく使っているとなんだか不快感を感じるようになってきました。床がザラザラしてる。足裏や床をついたてに米粒やおやつの食べかすがつくようになったのです。食べるものも掃除の頻度も以前と変わらないのに、何故!?

そして気付きました。

古いカーペットのあのちょっとしたモコモコがこぼした食べかすを自らの体に隠して不快感を感じさせないようにしてくれていたことに!

なんということだろう!自らが汚れる事など厭わず、私の怠惰を受け止め快適な居住空間を演出してくれていたなんて。なんていじらしいやつなんだ。長年使っていたために裏面がボロッカスになって捨てられたというのに、最後まで私に優しくしてくれていたのはお前だったんだね。

新しいキルト生地のカーペットは落ちたものは落ちたまま。隠れることなく足裏に遠慮なく引っ付いてきます。容赦なく現実を突きつけてくれて、怠惰など許さないタイプ。言葉にせずに態度に出してくる。

掃除はきちんと小まめに。そういうことです。

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