第173話 タナトスとオズマ

「身の程をしれ、人間。」

タナトスはオズマと向き合い、剣を構えるが、

「俺に斬れぬ物はないさ、貴様こそ覚悟しろ。」

オズマも剣を構えた。


「来るがよい、人間。」

タナトスの言葉にオズマが間合いを詰め斬りかかる。


「喰らえ、秘剣、カリマ!」

オズマの上段斬りかかった剣が揺らめきぶれる。


この剣技は無いところに刀身を映し出し、実際の剣を隠して斬りかかる事が出来る、オズマの対人剣術の奥義であった。


そして、今回は上段斬りに見せかけて、横凪の攻撃だったのだが・・・


「面白い剣技を使うな。」

タナトスは受ける事を止め、後ろにかわす事でオズマの剣を避ける。


「なっ!まさか、見切ったのか!」

オズマが驚き動揺する。


「何を驚いている、このような手品で俺を斬れると思っていたのか?」


「くっ!ならば!奥義ラファガ!」

オズマは自らの最速の剣技をタナトスに放つ。

魔力で底上げされた剣技と神剣エクスカリバーの力により、何者にも負けない剣技のはずだった・・・


タナトスは剣でオズマの太刀筋を受け流し、直撃を防ぐ、

かわされた後、オズマは更に追撃をかけるが・・・

「くっ、喰らえ、剣技テンペスター」

オズマは振り抜いた状態から奥義を発動、疾風怒濤の攻撃がタナトスを襲うが・・・


タナトスに届く事はなかった。


「ふむ、中々の腕前だな、どうだ、我等の仲間にならんか?」

タナトスはオズマを勧誘する。


「なに・・・?」


「気付いているであろう、私には勝てないと。

だが、お前の剣技は素晴らしいものがある、我等の元に来れば更なる力を得ることが出来よう。」


「代わりに何をすればいいんだ?」


「何、来るべき時に神を斬ればいい、その為の力を付けてもらう。」


「面白そうだな・・・」

オズマはタナトスの誘惑に勝てなかった。

このまま戦っても、勝つことはないだろう。

自らの最高の剣が破れたのだ。


だが、タナトスの誘いにのって強くなれるのなら・・・


「オズマ!裏切る気か!」

オーディンはオズマを責めるが・・・


「オーディン、すまんがこいつらには勝てそうにない、無駄死にはしたくないから、ここで降りさせてもらうよ。」


「おのれ・・・所詮はユグドラシル人か・・・信じた俺が愚かであった。

だが、俺は負けんぞ!フレキ、ゲリ来い!」

オーディンは二匹の狼を召喚する。

「お前達はタナトスを牽制してくれ。」

「「わん!」」


「行くぞ、ハデス!」

オーディンは槍を構え、ハデスに吶喊する。


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