第50話 ハインリッヒと会話

俺は宴の合間、城壁の上から敵陣を見る。

敵陣は静かだった。

外に出たアベルを追ってハインリッヒがやってきた。

「アベル殿、この度はワシを助けてくれて感謝する。」

ハインリッヒは深々頭を下げる。

「ハインリッヒさま、頭をおあげください。俺としては取り立ててくれたハインリッヒさまに恩を返しただけです。」

「しかしだな・・・」

「それに今回は俺が助ける事になりましたが貴族社会ではタップリ助けてもらいますからお互いさまですよ。」

「アベル殿・・・そうだな、その時はいつでも言うがいい、公爵家の権力を見せてやろう。」

「それはそれで怖いですが・・・」

「して、サイゾウ殿から話を聞いたが、オウカ国の王族なのか?」

「サイゾウさんはそう言ってますね。真実はわかりませんが。」

「オウカ国に行くのか?」

「まあ、1度は行きたいですね、サイゾウさん達との約束でもありますし。」

「戻ってくるんだよな?」

「ユミナにも言われましたけど戻って来ますよ。一応俺はユグドラシルの子爵ですよ。」

「うむ、そうだがな・・・」

「あったこともない叔父が国王と言われてもピンと来ないんです。これまで通り公爵家の1部屋でのんびりさしてもらえれば充分ですよ。」

「そうか、アベル殿が望む限り居てくれてかまわない。だが、まあ、そうもいかんと思うがな英雄どの。」

「英雄?だれ?」

「アベル殿だよ、既に噂は流れているぞ。」

「なんで!」

「そりゃ、落城寸前に援軍で来て、町を颯爽と救ったんだ、噂にもなるだろう。まあ、助けられたのが姫様じゃなくておっさんなのは微妙かも知れんがな。」

「・・・」

「吟遊詩人も歌にするって張り切っていたぞ。モチロン許可は出しておいた。王都に帰る頃には歌われてるのではないかな?」

「いーやー、恥ずかしいじゃん、やめてよ!」

「恥ずかしがらなくても、アベル殿はそれほどのまでの活躍をしたんだ。もっと胸を張るべきだ。」

「あう~失敗したぁ~」

俺は城壁の上にもたれかかる。

「英雄殿、諦めなさい。」

「・・・仕方ない、聞かなかった事にしよう。」

「くくく、諦めたか。凱旋が楽しみだな。」

「ハインリッヒさま、人が悪いですよ。あっ、そうだユミナはエンまで来てますので帰る時はエンに寄ってからですね。」

「ユミナも来ていたのか?」

「ユミナのお陰で兵が多く集まりました。町が落ちなかったのもユミナのお陰でもあります。」

「そうか、まあ、エンなら安全だろう。」

「ええ、ハインリッヒさまの無事を伝える使者を出さないといけませんね。」

「一番喜ぶのはアベル殿が無事の報告だろう。さて、そろそろ宴に戻ろう、主賓の英雄殿がいないと盛り上がらないからな。」

俺とハインリッヒは広間に戻り、その後しばらく宴を楽しんだあと解散した。


俺は割り当てられてる部屋で寝ようとすると


『多くの魂を発見しました。』


『魂を吸収しますか?』

スキルからの質問がきた。

『はい』


『スキルを習得いたしました。』

『各種スキルを整理します。』

・・・

『槌術Ⅷ、斧術Ⅳ、剣術Ⅷ、槍術Ⅶ、体術Ⅵ、弓術Ⅵ、馬術Ⅷ、回避Ⅴ、気配遮断Ⅴ、神聖魔法Ⅷ、結界Ⅶ、回復魔法Ⅵ、火魔法Ⅴ、土魔法Ⅴ、水魔法Ⅵ、風魔法Ⅳ、探知Ⅳ、鑑定Ⅲ、錬金術Ⅱ、生活魔法Ⅱ、礼法Ⅲ、清掃Ⅲ、料理Ⅳ、疲労軽減Ⅱ、体力向上Ⅲ、遠目Ⅲ、威圧Ⅳを習得しました。』


『集団スキルを獲得しました。

士気向上Ⅴ、統率Ⅳ、行軍速度向上Ⅲ、扇動Ⅳ、鼓舞Ⅵ、狂戦士Ⅱ』


『ユニークスキルを獲得しました。

空間収納Ⅲ、神速Ⅰ、聖域Ⅴ、魔力回復Ⅳ、獣使役、意志疎通、剛力Ⅲ、』


『ソウルイーターⅡ

残り魂10000・・・』


ビーーーー!


『一度の吸収量が一定数を越えた為、身体に負荷がかかりました。

消化の為、睡眠状態に入ります。』


その声を聞いた後、俺の意識は無くなった・・・

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