第36話 戦の準備

オズマに連絡をとると運良く王都にいたようで直ぐにきた。

「なにか?戦争に参加すればいいのか?」

「そうだな、この戦が終わるまでになるがいいか?」

「約束だからな、引き受けるさ。」

オズマは簡単に引き受けてくれた。

「自分で言ってもなんだが良かったのか?」

「なに有象無象を斬ればいいだけだろ?ドラゴンに突っ込んでこいとか言われるよりはましだ。それに、戦場ぐらいだったら、いざとなれば逃げ出す事は出来るしな。」

「簡単には逃げないでくれよ。」

「死ぬ手前までは頑張ってやるよ。」



そして、オズマとの話の後、以前に会ったクキが来ていた。10人の供を連れて。

「クキさん、どうでした?何かわかりましたか?」

「ええ、此方の方達がその紋章の関係者に当たります。」

クキは何か緊張しているような話しぶりだった。

「クキさん?どうしました?」

「い、いえ、それよりもう一度此方の方に見せていただいても?」

「かまいませんよ。」

俺は首飾りを渡す。

クキの横に座っていた男は模様をじっくり見た後、何か石のような物を近づけると

首飾りは淡く光出す。

「これは?」

「おお!まさしく本物!」

クキの横にいた男達は騒がしくなる。

「申し訳ないが一滴で良いのです、血をこの首飾りにつけていただけないか?」

変な頼みだなと思いながらも、俺は一滴血をつける。

すると同じように光だした。

「おお、光ってる?こんな機能会ったんだ。」

「これは、まさしく!」

10人の男は椅子を降り、跪く!

「御無礼失礼いたしました!」

「何?何があったの?」

「あなた様はオウカ国、王族に繋がる御方で

ございます。さしあたり、国王陛下の甥にあらせられる、御方かと。」

「甥?」

「はい、陛下の妹サチさまが駆け落ちの末、行方がわからなくなり、あなた様がお持ちの首飾りがそのサチさまの持ち物かと。失礼ですがサチさま、いやお母様は?」

「俺は赤子の時に捨てられており、孤児ですので、両親を知らないのです。」

「そんな・・・」

「すいません、なんか、力になれなくて。」

「いえ、アベルさまが謝られる事はありません。それでアベルさまにはオウカ国に来ていただけませんか。」

「オウカ国に?」

「はい、国王陛下も血族と判明したあかつきには国賓として迎え入れるように言われております。」

「非常に光栄なお誘いですが、今、私は国の命を受けて1軍を預かる身であります。国を離れるわけにはいきません。」

「そうですか、将軍に御出世成されているのですね。陛下もそれをお聞きになればお喜びになることでしょう。」

「いえいえ、そんなたいしたものではありませんよ。縁のある家への援軍の将ですから、名目だけの御飾りです。」

「・・・援軍ですか?まさか戦があるのですか?」

「ええ、募集が終わり次第出兵予定ですが。」

「そんな、アベルさまに何かあれば、やっと見つかったサチさまの家族が・・・アベルさま、我々をアベルさまの直属として参戦をお認めいただけませんか!」

「えっ!」

「我らが身命をもちまして、アベルさまをお守り致します。」

「そんな、悪いですよ。」

「いえ、アベルさまがお命を落とされるほうが我等にとっての最大の不幸にございます。我等の力があればどのような戦場であろうとも、アベルさまを逃がす事が出来ると自負しております。」

「それは頼りになるけど、いいの?」

「はっ、是非にお願い致します。」

「わかった、じゃあ、俺の護衛ということでお願いします。」

「はい。お願いします。それで他の家臣の方と状況についてお話がしたいのですが?どちらに行けばお会い出来ますか?」

「いないよ。」

「えっ?」

「家臣は1人もいない、まあ、今回力を貸してもらう傭兵が1人かな?」

「アベルさま!何をお考えですか!直属の家臣を持たずに戦場にいくなど自殺行為ですよ!」

「そうなの?」

「いいですか、軍の中でも権力争いが行われているのです。特に戦場で死んだ事にすればどうにでもなりますからね。」

「へぇー」

「へぇーじゃないですよ、危機感を持ってください、嫉妬や妬みからということもあるんですから。」

「う、うん、わかった。君たちを雇うよ・・・ところで名前を聞いてもいいかな?」

俺は此処に来て名前も知らないことに気付いた。

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