第33話 カインとマイン

ランクを降格され、町を出た2人は今・・・


「カイン、これからどうするの?」

「別の町でやり直そう。そうだなノースの町に向かおう。」

2人はシーマの町からノースに向かった。

そこでまたランクを上げればと・・・


「お前らホントにDランクか?」

今日も依頼を失敗した、採取の依頼だったが、とってきた薬草の取り方が悪くろくな金にならなかった。

「すいません・・・」

「はあ、こんな依頼Eランクでもこなすぞ、いったいどうやってランクを上げたんだ?」

今日もギルドマスターにあきれられる。

こんな筈じゃなかったのに・・・


カインとマインは今までアベルに採取の仕事を任せていた。

アベルが採取をしてる最中、護衛と称した雑談をしていた。

そして、他の仕事も全てアベルに任せていた。

必要品の買い出し、討伐した魔物の解体、情報収集と・・・

カインとマインに出来ることは魔物をただ倒すだけだった。


「カイン、もう予算がだいぶ少なくなってる・・・」

ある程度潤沢だった資金も生活費や必要品の買い出しでかなり目減りしていた。

その上、依頼を受けても満額もらえる事はなく徐々に減っていくだけだった。

「わかってる!だが、どうするんだ!これだと村に帰っても厳しい生活になるぞ・・・」

そんな中、第2王子のランスロットがノースの町に来ることが伝わってきた。

そして、先行して兵士の募集がなされていた。

「マイン、これだ!」

「えっ?」

「俺達は敵を倒す腕前はあるんだ、兵士になって王子の眼に止まれば出世できる筈だ!」

「そんなに上手くいくかな?」

「何を言ってるんだ、俺達は普通の村人とは違うんだぞ、戦闘は得意じゃないか。」

「でも、盗賊以外の人を殺すの?」

「どっちも敵に違いないだろ?それに王子の兵士になれば戦闘からも遠い筈だ。」

渋るマインを無理矢理連れて、カインは兵士の募集に参加する。


「お前、なかなかいい腕だな、名前は何と言う。」

「ハッ!カインと申します。」

「良し、ついてこい。」

カインの腕は頭ひとつ飛び抜けており、すぐに上官の眼に止まった。

「ランスロット様、なかなかの腕の者を見つけました。」

「ほう、通せ。」

王子の執務室に入ったカインは緊張で固まっていた。

「固くならずとも良い、どうだお前の腕前を見してくれんか?」

「はっ!喜んでお見せ致します。」

「そうか、トリスタン相手をしてやれ。」

「ハッ!お任せあれ。」

ランスロットはトリスタン、カインを連れて訓練場へ。

「カインよ、好きに打ち込むがいい、トリスタンは我が軍1の腕前である。心してかかれよ。」

「はい!では、参ります!」

カインはトリスタンに打ち込むが・・・

「様子見をしなくてもいいぞ、もっと強く来い。」

難なく受け止められる。

カインはスキルを駆使し、トリスタンに斬りかかるも、全て受け止められ、動かす事も出来ない。

「くっ!くそっー!!!」

カインはあまりの悔しさに限界を越えた。

今までカインは剣の腕で負けた事はほとんどなかった。

しかも、負けても相手にされない程の差を感じた事はなく、自分の剣の腕には自信があった。

例え、依頼で失敗しようが金がなくなっていこうが本当の意味で悔しさを感じた事はなかった。

それがトリスタンに自身の剣が全く通じない、ろくに動かす事も出来ないという事実はカインにとって許されない屈辱であった。

「うおぉぉぉぉぉ!!」

その事がカインに新たなスキルを目覚めさせる。


スキルを習得しました。

強撃Ⅰ、剣術Ⅴ

ユニークスキルを習得しました。

限界突破Ⅰ


新たに得たスキルを2つ行使した攻撃は受け止めたトリスタンを吹き飛ばす!

「ぐぬ!」

トリスタンは壁まで飛ばされ打ち付けられた。

「どうだ!みたか・・・」

限界突破を使用した影響でカインは倒れこんだ。

「く、わははは、トリスタンが飛ばされるとはな、面白い奴だ。誰かそいつを医務室に運んでやれ。」

笑っているランスロットの元にトリスタンがやってくる。

「ランスロットさま、私は負けたわけでは。」

「わかってる、だが面白い奴ではないか。我が部下として取り立てる、トリスタン鍛えてやれ。」

「かしこまりました。」

こうしてカインは第2王子直属の部隊に参入することとなった。

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