オレガの証言~人民革命~その5

【現在】


 大陸歴1710年5月3日・パルラメンスカヤ人民共和国・首都アリーグラード


 時刻は夕方。オレガ・ジベリゴワは午後一杯、過去の話をしてくれた。

 長時間の話でオレガは疲れたのか、ため息をついてから、コップの飲み物を飲み干した。


「今の話の中で、疑問に思ったことが二つあります」。

 イリーナは自分の書いたメモを見ながら質問をした。

「まず、革命軍の追っ手が、皇帝やユルゲンさんが、プリブレジヌイに向かって逃げていることがすぐわかったこと。もう一つは、ユルゲンさんが革命軍の追っ手から逃げ延びたことです」。

 オレガは少し暗い声で質問に答える。

「追っ手の事だけど、師の屋敷にいた召使い…。ええと…、名前はたしかナジェーダ・メルジュノワ。実は彼女も革命軍の仲間だったのよ。彼女が師の屋敷に雇われたのは偶然だったようだけど。革命軍としてはついてたわね」。


「それで、皇帝の暗殺未遂事件の時も、彼女からお婆様が長期に不在にするという情報で、皇帝の動きを推測できたのよ」。

「あの暗殺未遂事件にも、かかわっていたのですか?」

 また、驚きの証言だった。

 オレガは話を続けた。

「そうよ。師とお婆様は屋敷で食事中に任務の話をしたりしていたようです。その会話の内容を召使いであった彼女が知ることは容易だったでしょう。そして、師が最後に屋敷を訪れた時も、彼女に『プリブレジヌイに行く』と言ったようですので、革命軍にはすぐにそれが伝わったのです」。

「そうだったのですか…」。


「後は」。オレガは二つ目の質問に答える。「師が革命軍の追っ手から逃げ延びた状況に詳しくは聞いたことはないわ。師の事だから、うまく追っ手を巻いたんじゃないかしら」。

「なるほど、ありがとうございます」。


「今日はこれぐらいにしましょうか?」イリーナは言った。オレガはかなり長い事、話をしてくれていた。「また、明日もお話を伺いたいのですが、伺ってもよろしいですか?」

「いいわよ。まだ半分ぐらいしか話をしていないからね。」。

「また、明日の午後に来ます」。


 イリーナは自分のメモを確認した


【分かったこと】

 ユルゲン・クリーガーの屋敷にいた召使いナターシャ・メルジュノワは、革命軍の仲間だった。


【謎】

 ユルゲンが革命軍の追っ手から逃げ延びたこと。

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