五着目
「小夜ー!」
「先輩?どうしたんですか」
昼休み。
私は小夜のクラスに赴き、映画のチケットを彼女の前で横に振った。
「これ、今日お姉ちゃんに貰ったの。放課後行かない?」
「いいですね。勿論です」
「オッケー。じゃあ決まりね」
姉にもらったのは、最近流行りの恋愛映画。
タイトルに花束が出てくる例のアレである。
放課後。
「平日なのに、意外と混んでますね」
「そうだねぇ」
確か今日は人気アニメの映画公開日だったはずだから、それでだろうか。
「じゃあ、私ポップコーン買ってきますね。先輩は何味が好きですか?」
「んー。キャラメルかな」
「了解です。先輩はそこのソファに座っててください」
「あ、ありがと」
小夜に促され、私は入り口付近のソファに座った。
なんだなんだ、今日は随分気が利くじゃないか。
少し待った後、小夜がポップコーンと飲み物二つを抱えて帰ってきた。
「ありがとう。いくらだった?」
「いいですよ。チケット奢ってもらったんで」
「いやでも、アレは貰い物だし…」
「映画に行く相手に、私を選んでくれたことが嬉しかったんです。だからそのお礼ってことで」
ね、と微笑まれ、私は不覚にも頬を赤くしてしまった。
いやだって、小夜って何だかんだ美形だから!
普段の変態行為のせいで、忘れがちだけど!
_映画が終わり、私達は映画館を出ながら歩いていた。
「面白かったですね」
「ホントに!泣きそうになっちゃった」
「先輩は感情表現が豊かで見ていて飽きませんでした」
「いや映画見ろ!!私じゃなくて!!」
「すみません、先輩を合法的にガン見できると思ったら欲に負けました」
「〜〜〜っ!!」
シレッとした顔でとんでもないことを言うんだから、コイツは。
「さ、小夜は!普段恋愛映画とか観るの?」
話題を変えようと、私は声を上げた。
一言目の声が裏返って、余計に恥ずかしい。
「んー…どうでしょう。アレは恋愛に入るのかな」
「タイトルは?私は割と恋愛系観るから、知ってるかも!」
「レズビデ_」
「あああああああ!!何言ってんだお前は!!」
勢いよく小夜の口を手で塞ぐ。
公衆の面前で何を言い出してんだ!!
モゴモゴ言いながら、小夜が反論してきた。
「むむむむももも!(先輩が聞いてきたんじゃないですか!)」
「何て!?」
私が手を離すと、プハッと小夜が息を吐いた。
「先輩、手柔らかいですね」
「開口一番のセリフがきしょすぎるわ!!」
全く、映画を観にいっただけなのに、どれだけ叫ばせれば気が済むんだ。
…まぁ、こういうのも悪くないかな。たまには、ね。
◆◆◆◆
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【百合】クール美人の後輩♀に凡人の私が貞操を狙われる話 昨日のメロン(きのメロ) @yesterday_melon
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