08
愛から話を聞いてから翌日。佳乃は夜慧に言われて、生徒会メンバーを、生徒会室に集めていた。全員がいつもの席に座っている、コの字に置かれた机、黒板と平行に置かれた机に、黒板を背にする形で夜慧が、二個平行に置かれた机に、それぞれ副会長の弓月、会計、庶務、書記、机から少し離れた所に、先生が座っている。
「会長? どうしたんですか?」
「ふふっ、張り紙の犯人と、死の真相がわかったのよ、だから集めたの」
「え? 両方ですか?」
弓月は驚いた様子で、佳乃を見る。佳乃にしてみたら、こっちを見られても困るのだが。
「というか、どうしたの? まだ始めないの?」
佳乃は、夜慧を急かすように言った。生徒会役員はいるし、先生もいる。メンバーは集まっていた。
「まだ一人来てないわ」
誰? という疑問が、一斉に全員の頭に浮かんだ。生徒会に関わる人ではない人を、呼んでいるのか。佳乃は考えを巡らせる。もしかして犯人か。その時、生徒会室のドアが、ノックされる。
「どうぞ」
夜慧に招き入れられた人物が、部屋に入ってくる。
「葉山愛さん」
「こんにちは、まさか二日連続とは」
苦笑にも似た笑みで、愛が言った。夜慧は頭を下げて「忙しいのにすみません」と謝る。
「まぁ、いいよ……友達の事だから、来夏の事なんでしょ?」
「はい……まずは皆に紹介します」
夜慧が、事情を呑み込めていない生徒会役員に、体を向ける。
「葉山愛さん、白雪姫こと、安藤来夏さんの同級生で、友達」
紹介を受けた愛は、どうもと微笑む。
「愛さんも、この場にいるべきと思ったのよ」
「まぁ……友達の方なら」
弓月がそう言うと、愛に椅子を勧める。素早く佳乃が椅子を持ってきて、自分のとなりに置いた。
「さぁ、これでそろったわね、私が導き出した推理を、披露するわよ!」
夜慧の「私が導き出した」という言葉が、妙に強調されたのが、佳乃は気になった。もしかして、目立ちたいだけで、仰々しい事を始めるのでは。普通に話せ、と佳乃は夜慧に、憎々しい視線を送った。
「さて、まずは張り紙をした犯人からよ」
妙に白々しく、芝居かかったしぐさで、夜慧が立ち上がると、言葉を続ける。
「なんとなく、みんなも、この状況から予想はしてると思うけど、ズバリ言っちゃうわね、犯人はこの中にいるわ」
夜慧はそういいながら微笑む。
「私の教室に『白雪姫は毒リンゴで殺された』なんて、張り紙をしたのは」
ビシッと一人を指差して言い放った。
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