04
反逆だとか謀反だとか言ってるから、張り紙の犯人捜しを自らやるのかと、佳乃は思っていた。そのせいで、驚きの声を出してしまったのだ。役員の面々も同じような反応をしている。
「会長、自分で犯人捜し、しないのですか?」
弓月が代表する様に聞くと、夜慧はニヤリと笑った。犯人を捕まえて事情を聞けば、白雪姫の死の真相もわかる気がする、佳乃はそう考える。犯人を捕まえれば一石二鳥だ。
「どっちにしても、死の真相を調べないといけなくなるわ」
「どうして?」
我慢できず佳乃が、夜慧に疑問を投げかける。
「犯人自身が死の真相を知っていて、それを糾弾したいなら、張り紙なんて貼る必要ないわ、自分でやればいい、でも、それをしないのは……白雪姫の死に、疑問はあるけど、自分ではわからないか、死の真相を知っているけど、自分で声をあげても意味がなく、他の誰か……わざわざ、学校中の噂になるような方法を選んでるし、学校全体が動いてほしい、と考えているんじゃないかしら、予想が当たっていれば、犯人に聞いても、答えないか、答えられない」
役員全体が、納得する表情をする。確かに、そうかもしれないと佳乃は思った。
「どうかしら」
誇らしげに胸を張る夜慧を見て、佳乃はやっぱり頭が良いなと感心した。月華院夜慧は頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能、三拍子そろった天才だ。幼馴染の佳乃は、ずっとそれを間近で見てきた。夜慧なら、何とかしてくれる、そんな安堵感が佳乃の中に広がってくる。
「それに、死の真相の方が難易度高そうで、解決できた時に、私の株がうなぎのぼりよ!」
あははは、と高笑いする夜慧の姿を目にして、佳乃の中に俄然、不安が広がる。役員たちも、それぞれが驚いたり、呆れたり、頭を抱えたりしている。
「という事で弓月、張り紙した犯人の捜索、お願いね」
ひとしきり笑った後、夜慧が言った。そして、弓月が頷いて返事をすると、続けて美穂に体を向ける。
「先生、そういう事で、私たちの考えはこういう事なので、他の先生方に、私たちの活動を邪魔させないように、頑張ってもらえませんか?」
「わかった、何とかするよ」
「お願いします」
ニコリと微笑んで、夜慧が美穂に向かって頭を下げる。佳乃もそれに倣って、美穂に向かって頭を下げた。美穂はそれを受けて、生徒会室を出て職員室に向かって行った。
「さて、私たちも、活動開始するわよ」
夜慧がそう宣言すると、弓月が手をあげて発言する。
「情けない話ですが……張り紙の犯人は、どのように探せばいいでしょう?」
「まずは目撃者探しね……貼った人を、ズバリ見ている人がいればいいけど、いなければ、貼られてから初めて見た人と、貼られていないのを、最後に見た人を探して、いつ頃貼られたか、確認ね」
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