03
「そんな事より」
少し暴走気味の夜慧を遮るように、
「美穂先生! そんな事とは何ですか! 生徒会長たる私の注目度が落ちるという事は、生徒会解散の危機ですよ!」
そんな事はない。佳乃がそう心の中で突っ込みを入れる。佳乃以外は全員ちゃんと、選挙をやって投票を受けて、役員に選出されている。夜慧の注目度が落ちて人気がなくなったら、いなくなるのは夜慧と佳乃だけで、他の役員が今まで通り、生徒会を運営していくだけだ。選挙で選ばれた新たな会長と書記を迎えて。
ちなみに佳乃は、書記の役割を与えられているが、生徒会選挙には出馬していない。夜慧が生徒会長に当選してから、佳乃を書記に任命した。佳乃にしてみれば、生徒会なんて、全く考えていなかったにもかかわらず、字が上手いからという理由で、夜慧に無理やりねじ込まれた迷惑な話。だからこそ、そんな事まかり通るわけがないと、高をくくっていた佳乃だが、しかし、柳家は皆、書道家になっている書道一家で、もともと書記に当選していた子が、それを聞いて身を引いてしまった。この話は今は置いておくとして。
佳乃は夜慧を後ろから掴み、口を押え黙らせると、美穂にどうぞと、目で話の続きを促す。
「んんっ、まだ……んんんんっ、よしん!」
夜慧の抵抗を横目に美穂が疑問を口にする。
「張り紙の……毒リンゴってなんだろ」
「確かに……白雪姫って、転落して亡くなったのに、毒リンゴって結びつかないような」
副会長の
「他の先生方は、なんとおっしゃっているのですか?」
「うん……イタズラだから気にかけるなと、生徒に指導しろってね」
美穂先生はなぜか、少し表情を暗くしながら言った。
「むがー! 佳乃! いつまで私を押さえている気?!」
抵抗を続けていた夜慧がそう言って、ついに拘束から逃れてしまった。
「私はなかった事にするなんて、認めないわ! 先生方がなんて言おうと、この件は生徒会で犯人を捕まえるわよ!」
こうなった夜慧は、止まらない事を佳乃は知っていた。自然にため息が漏れてしまう。みんなもそうだろうと、佳乃は同意を求める様に、みんなへ視線を送る。だが美穂だけは、表情が明るくなっていた。先生方とは違う意見のようだし、美穂先生は意外と反骨精神が強いのかと、佳乃は考えていた。
「じゃあ、私と佳乃は、白雪姫の死の真相を探るわよ! みんなは張り紙の犯人を!」
「え?」
佳乃は思わず声をあげてしまった。
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