第12話 妹は気付いた

「また動画サイトに動画を投稿するのか。その衣装だと投稿というより奉納って感じだけどミラちゃんにも出演してもらうの?」


「一人だけだとネタが尽きるから出演依頼をしてるところ」

 やっとあたしの名前が出てきたので兄妹の会話に混じることに。


「レイミ先輩と並ぶと見劣りしちゃいますよ」

 じっとあたしを見るイチヤさん。え、なんですか?

「そんなことは全く無い。それって何かのコスプレ?」


「少女マンガ原作のアニメキャラで、あたしがコマチで先輩がマイっていうキャラなんですけど、知ってます?」

「詳しくないけど、少女マンガのキャラなのに露出が多い、あ、ごめん」


「ミラちゃん、とりあえず踊ってみようってだけなのに」

 レイミ先輩が気付いた。イチヤさんもいるのに打ち明け辛いな。


「レイミ、通販で注文した衣装の受取り先をミラちゃん宛てにしたんだろ?その上脱がせるのは可哀そうじゃないの?」

「別に強制してないわ」

「大体さ、僕が麻薬をやってると疑った理由はなんなの?この前業界の先輩が逮捕されたから?」

「それもあるけど何か隠してたから。お兄ちゃんもしかして怒ってる?」

「怒ってはないけど、ならレイミさんはどうやって自分が麻薬をやってないことを証明するのかなと思って」


 イチヤさんがまともな話を先輩に振った。そう言われれば確かに。ここでイチヤさんの象さんをチェックしてもあたしのアレな好奇心が満たされるだけだ。


「あたしはやってないわ。でも確かに容疑否認は無罪証明にならない」

 レイミ先輩は絨毯の上にへたり込み横座りに。

「考えてみれば警察みたいに尿検査を出来るわけでもなく、素人判断で実の兄を疑っていたのよね。でも、お兄ちゃんがあたしのコンクール一位獲得記念の家族パーティーに来てくれた時、バイオリン頑張ってよかったって思ったの。お兄ちゃん、パパやママを避けてたから」


 女の子のあたしでも魅入られてしまう先輩の憂い顔。自分のブラコンに気付いたのか。


「その上あたしにまで何か隠して」

 あたしの目線に気付いた先輩、言葉を切ってへそに注目、にじり寄ったら目線は下に、思わず内股しじみを隠す。


「恥ずかしいです」

「下着の跡が無い。いつから脱いでたの?」


 仕方なく幸田先生にパンツを脱がされた経緯を先輩とイチヤさんに打ち明けたらイチヤさん激怒。うれしいけど恐い。

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