第7話 イケナイ身体検査
ここであたしことレイミ視点に。四歳年上の兄がラッパーなんですが心配なことに別のラッパーの人が先日違法薬物所持で逮捕されましたね。兄も麻薬をやっているのでは、逮捕されあたしも事情聴取されないかと不安で悪夢にうなされ起きたら体中寝汗べったり。
兄のラップの歌詞、lyricっていうんですか?これも聴いてると分からないけど歌詞カードをよく見れば「罰を食ったらエクスタシー」だったかしら、麻薬使用の匂いが。パパは「息子は別人格だから」と言葉を濁していたけど心配してます。
ネットで調べたら麻薬使用者は挙動不審になるそうです。そういう人を警察の人が見咎めて職務質問するとも。そして久しぶりに顔を合わせた兄は挙動不審。スマホをトイレに持ち込み、出てきたなと思えばまた隠す。売人さんと連絡してるのかな。腕に注射跡は無かったけど、人によってはお尻に注射する人や男性の、その、声に出せないんですけど大事な場所に注射する人もいるとか。
パパに相談もできない話なので寝汗を流すついでにさりげなく確認することに。あたしも女の子なので汗臭いのが恥ずかしく、ボディーソープを体に塗り、こそこそシャワーを浴びながらバスチェアに腰を下ろしてシャンプーで頭を洗ってる兄を観察。両手で何か隠した。鼻から吸い込むものを深夜のバスルームで使用?
さりげなく近づいて「頭かゆいところないですか」と頭を洗ってあげながら注射跡が兄の体に無いかと観察。お尻は見えないかと腰を屈めたら滑って転びそうになったところを兄が両手で抱き止めてくれました。腰を下ろしてタイルに触れたらやっぱりボディソープのヌルヌル。
「お兄ちゃんシャワーのノズル取ってえ」
手を伸ばすと渡してくれたので受け取り、また転ばないように用心しながら、兄に尻を向けるわけにもいかないので向かい合う形で立ち上がり胸や股間のぬめりを指でこすりながら丹念に洗い流しました。その間兄がうつむいていた理由は謎。
兄を見下ろすのも変だし、湯冷めさせたら可哀そうなのでしゃがんで兄の身体にも温水を浴びせ、シャンプーを洗い流す。でも兄は股間を手で隠していた。あたし妹よ?
「お兄ちゃん、立って」立ち上がらせてもかたくなに股間を両手で覆ってる。
「何隠してるの」
「レイミさん、ごめん」
見下ろせば二十一歳のあたしが初めて見る固くなったもの。セクシーな女の人がいるわけでもないのに何故。
「ムスコは別人格だから」
兄の言い訳はパパが言ってた通り。兄は何かやってるんだ。
「何か吸ってたのね」
「お風呂に入る前、チュ、チューはしたかな」
チュチュー?ああ、注射の隠語か。
「やったら人生終わりよ?」
「妹とやったら確かに終わりだ」
どこに注射したのか。顔を近づけ観察すれば血管が浮いている。
「いつもチュチューをしてるのお?」
「さっきはたまたま……」
なんて露骨な。ええと、タマちゃんに麻薬を注射?検査されにくい場所を選んだんだ、ショック。
「足開いて立ったまま。両手は頭の後ろに回して」
しゃがみ込んで固いものを左手で掴んで横にどけ、右手でタマちゃんの皮を引っ張り注射跡を探していたら兄が突然膝を曲げて腰を下ろした。注射跡に触れて痛かったのかな?
あたしは立ち上がったけど兄はうずくまったまますすり泣いた。
「漏らした」
覗き込めば兄の大事なものは小さくなっていて、壁から床にかけて液体が垂れてました。麻薬が兄の身体から抜けたことを理解した。白い粉がおしっこに混ざるとこんな匂いになるんだ。
「レイミさんの手を汚しちゃった」
シャワーで股間とタイルを洗いながら兄が呟いた。左前腕にボディソープとは違うぬめりが。戦慄。麻薬が手についた?あたしも手にシャワーをかけてもらい慌てて洗い流した。
「ごめん。僕が全部悪い」
「チュチューは今後禁止だからね」
「うん、もうしない」
兄の言葉を信じてあたしは先にお風呂から上がりまた寝ることに。
イチヤの視点に戻るけど僕はベッドの上で悩んでいた。妹に触られて出してしまった。ミラちゃんと鏡の国でキスしたことも知ってた。妹が何で嫉妬するんだ。
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