第6話 深夜浴室ナマ侵入
この細い肩を抱き寄せるなんて度胸は無かった。しかし長い。木管楽器奏者だから息が長く続くのかなと思っていたらぷはっと息継ぎをしてミラちゃんが僕から離れた。
「この世界ではカップルということで。男の人とやっとキス出来た。イチヤさんはレイミ先輩と間接キスしたことになるけど」
何かを成し遂げたようなすっきりした表情の彼女。僕は押し倒したかったがそこは我慢。
「スマホの電源を切るとモニターが鏡になります。鏡を持っていればカガミスタンのこの宮殿に出入り出来ますよ」
「鏡を覗けばミラちゃんを黙って見ちゃうことも出来るし、僕も見られちゃうんだよね?それって問題無いかな」
「そこは紳士淑女のモラルということで。それと一日二時間以上の使用は中毒になるので控えたほうがいいです」
「ここに滞在するのは」
「一時間ここにいると現世で一時間行方不明行方不明になります。あたしも寝室で寝てることになってるから」
「なら、僕も長居したことになるし、そろそろお互い帰ったほうがいいよね」
ミラちゃんは立ち上がり中空に人差し指を大きく回した。床まで届く楕円形の鏡が現れた。
「出口が同じでも帰る場所は別々になるから、安心してくぐって下さい」
鏡の中に手を突っ込むミラちゃん。この女の子が鏡の世界では彼女。ゲームみたいな気もするが嬉しい。スマホの電源を切ってから鏡の中に入ると洗面所の鏡から実家に戻れた。
彼女は無事に戻れたのかなと洗面所の鏡を振り返って見たが何も分からない。この不思議な体験をラップに出来ないかなと思いつつスマホの電源を入れ直そうとした時気付いた。暗黒の世界の筈のモニターの中でミニスカポリスの制服を脱ぎ、下着姿でクローゼットの中のハンガーに掛けている女の子の後ろ姿がくっきりと映っていた。
ダメだ、見続けたら彼女が中学生時代に悩まされた痴漢と同じになる。だが細い首と小さな背中を見つめてしまった。ミラちゃんが振り向く前に電源を入れないと紳士淑女のモラルに反してしまう。確かにこんなことを一日二時間もやってたら人間としてダメになる。
おや、ブラを外すと乳首上向き。パンツ下ろした。見るなって言われても無理。
「お兄ちゃん、なにしてるの?」
背後からレイミの寝ぼけた声。慌ててスマホで股間を隠した。
「早くお風呂入って寝たら?あたし悪夢で目が醒めちゃって」
パジャマ姿で「添い寝して」って甘ったれたことを言われたらさすがに「ゴメンねゴメンね」と謝りながら犯すぞ。
「どんな、夢だ」
「一人っきりで家の中に居て、誰かが玄関をノックし続ける夢」
「心配事でもあるのか?」
「無くはないけど、あ、ゴメンね。また寝る」
レイミは自分の部屋に戻りドアを閉めた。よかったあと思いつつ昔の自室に戻り、ナップザックから着替えを取り出しシャワーを浴びることに。ここ数年妹の専用風呂になっていたからかシャンプーやボディソープは彼女のものしかない。まあいいやと借りることに。
「夜中前進好奇心、見てはいけない八頭身、賞味期限前のきらめき、頭冷やしてチルアウト。おお、浮かんできた」などと風呂用椅子に腰掛けブツブツ言いながらシャンプーで頭を洗っていると風呂場のドアをコンコンとノックする音が。
「寝汗流したいからシャワー浴びさせて」
妹よ。浮かんできたフリースタイル軽くぶっ飛び。
「すぐ出るから待てよ」
「悪夢のせい。一人でお風呂場入れない」
滑らかな生足遠慮がちに侵入。まだ抜いてないのになんてことを。
レイミがシャワーを使っている間、僕は頭をシャンプーまみれのまま待機。顔はよく見えないが股間は凝視。
「頭かゆいところないですか」
美容師口調のおどけた妹が僕の頭に温水を浴びせ手のひらで撫でた。鏡を見れば左横に妹の姿。お約束のようにバランスを崩し、慌てて僕が抱き寄せたらタイルの上に腰を下ろした。
「ヌルヌルしてる」
風呂場の床を指でなぞるレイミ。あどけなく開いた太股の奥に未開発な入り口。
ヌルッと入れることしか思い付かなくなった。
「ダメぇ」
ミラちゃんの声が聞こえた。ような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます