第655話「ズル賢い悪魔・マモン」
「アタシはそれでいいよ……外に行けるならね。マモン……アンタは邪魔しないなら付き添いを許可するさ!この際……」
「逆だろうが!お前を放置したら地獄が危険だからお前に着いて行くしかねぇんだよ!」
「ところでマモンさんにヘカテイアさん……今の状態で地獄へは行けるんですか?あのゲートがあれば出来るかもって事なんですけどね?」
「「誰がそんな事…………」」
マモンとヘカテイアは顔を見合わせる……ビックリした言葉が被ったからだ。
「う……うん……行って確かめてくるわ!ワタシは……身体に戻れるかも確かめないとだし!!」
「ゴホン……あ……俺も確かめてくるぜ!……」
そう言った二人はコアに近づき手をかざす………
『キシキシキシ………………』
何とも言えない耳障りな音が聞こえたかと思うと、目の前に赤とオレンジ色が混じった巨大な目玉が出来上がる。
「マモン……これは最上級のゲートね……」
「ああ……ヘカテー。何でこんなものが出るんだ?此処から?……って言うか、おい!ヘカテイア。気色悪い物が周囲に侵蝕してやがる。開き続けるのはヤベェ……早く入るぞ!」
「マモン初めて貴方と意見が合いそうよ!……ヒロ行ってくるわ。このゲートは一旦閉じるけど、無闇に開けない方がいいわね。『開けても閉じられなければ、世界は私達が居なくてもすぐに滅ぶ』わよ?」
怖い事を言って、ゲートを閉じるヘカテイアとマモン……
『報告します。『ゲート』の情報が入手出来ました。次元間をつなげることのできる『ゲート』は不安定且つ危険なエネルギーの集合体です。ゲートには『大きさ』が存在し、さらに『等級』も存在します。情報が少ない為サイズ及び等級は今後調査が必要となります。尚ゲートの『前』情報についてはダークフェアリーのアーカイブを参照して下さい』
僕は淡々と述べられる情報について、必死に頭で情報を整理する……
しかし次の報告でそれも無駄になった……
『今回得た情報は『ヘカテイア』及び『マモン』の情報枠を新規に作りました。詳細はそちらにて確認を。今の言動よりこのゲートについてはヘカテイアに詳細を聞く必要があると思われます。理由として、二人がゲートを潜る際の質量に大きな差が見られました。ヘカテイアの計測身長は20メートル以上・魔力量は現時点で100倍です。ゲートに関してはコア内部に異物として組み込まれ摘出・分離不可能です。しかしながらゲートはコア管理の元『開門・閉門・強制封鎖』が可能です。報告終了………』
二人が帰った直後に『アーティファクト』から脳内情報が入った。
僕はヘカテイアの身長が20メートルと言われて、完全に機能停止状態だ。
「どうしたんだい?ヒロ……ヘカテイア達は行っちまったよ?そんな直立不動になっちまって?……あ!?まさかアーティファクトかい?」
ちなみに此処では名前をダンジョンコアと区別する為に、アーティファクトと呼ぶようにした……これはエクシア達のためである。
「アーティファクトがこのゲートはかなり危険な物だと言っていました。ヘカテイアが向こう側に行った時に彼等の計測をしたそうです……そしたらヘカテイアは身長は20メートル以上で、魔力量は此処に居た時の100倍だと……」
「はぁ!?って事は……アイツのデカさはブラックマンバと変わらないか……それ以上だってのか?」
流石のエクシアもビックリして声が漏れる。
しかし今は、それを気にしている場合ではない。
「ヘカテイアの本当の姿って事かもしれませんが……それが計測できるって事はこのゲートって……」
「ま……まさか……そのまま出て来れる……って事かい?何でまたこんな問題ばかり……困ったねぇ……アイツらが本体でお出まし……ってなったら全滅だろう?」
「『全滅』ではなく……世界の終焉かもしれないですよ?」
そう話していると……急に声をかけられる……
「そんな事になるわけねぇだろう!……馬鹿かテメェら?こっちは魔素がねぇんだ。すぐに乾涸びて死んじまう!だからヘカテイアは『お前』とその空っぽの心臓に固執したんじゃねぇか……それをホイホイとホムンクルスの身体なんか渡しちまって……」
その言葉の主はマモンだった……
「「え!?」」
「え?じゃねぇよ?帰って来たんだよ。お?ヘカテイアは?」
「今いったばかりで……」
「あ?こっちと向こう側で時間の流れが同じ訳ねぇじゃねぇか……」
話を聴くとビックリした事に向こうでは5日も経っていたそうで、これでもマモンは急いで用意して来たと言う……
「なんだよ……アイツが『急げ』って言うから……くそ!振り回されるから嫌なんだよアイツと居るのは……」
「ところで……マモンさん話の続きですけど……そうならないんですか?」
「あ?何言ってんだ契約者。当たり前だろう?だったら既に来てんだろうが?ゲート使ってさ!此処じゃなくてもゲートの大型使えば10メートル位の身体で出られんだろうが!そうしたらこっちで元のサイズに戻ればいいだけだろう?寧ろ小さいゲートでも出られるぜ?……出られればだがな!!」
「あ!前になんか言ってましたね?」
「相剋って知ってるか?俺たち悪魔に反するのは天族だ。俺たちがこっちに来ると奴等も来る。そして人間は俺達と天族をつなげる中間の媒体みたいなもんだ。お前達が俺達か天族に殺されて『消滅』したら俺たちも両方消滅する……『そう言う決まりだ!』……だから出られねぇ様になってんだよ……なのに!!お前がホイホイ出しちまった」
全員がマモンの話を聞いて僕を見る……
「ヒロだもんな……」
「ソウマ……真な簡単な問題じゃないけど……ヒロだもんね?」
「ユイナさん?それってどっちの意ですか?」
「ミクちゃん……ミサもカナミも呆れてるんだから……悪い方だと思うよ?」
「アーチの言う通りだと思うわな……。エク姉さん、まぁヒロ兄だからこうなったんだろうけど『うまく仕上がっている』方じゃねぇですか?前みたいにスケルトンに腹刺されたりしてねぇし!五体満足だからいいんじゃねぇっすか?」
それを聞いたエクシアは……『アタイが問題児だったのに……もっと問題児がいる……オヨヨヨヨ……』と嘘泣きをしている。
これで問題児のレッテルが無事僕に移動したので大喜びの様だ。
「おい!お前たち……頭おかしいのはよくわかった!それで?ヘカテイアはまだなのか?何か言ってなかったか?」
「アタシなら此処にいるよ!今帰った所だよ……長く留守になるから言っといたんだ!連絡役を用意しないといけないしね!」
「そう言う事なら早く言えよ。俺何もしてねぇし!!おいヒロ。ゲート!ゲート開けろ!!急いで来たから準備がたらねぇ……少し時間くれ」
僕はアーティファクトに言って『ゲート』を開けてもらう……
「何だやっぱり……お前『ゲート』使えんじゃねぇか!……じゃあ行ってくるぜ!ダンジョンマスターさんよ……」
マモンの一言で皆に睨まれた……どうやらマモンにいっぱい食わされた様だ……。
この件をトラボルタ達とウルフハウンド達がダンジョンコア破壊に躍起になって、この件を聴いてなかった事が唯一の救いだ。
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