第654話「壊せないダンジョンコアと部屋の管理人」
ダンジョンでの隊列は重要だ……いる何時どんな事が起きるか分からない。
何時もはロズが居る場所だが、現在ロズはウルフに位置を譲ってテリアと親睦を深めている……
面白く無いのはベンだ……位置を交換する人が居ないのでブツブツ言っている。
ちなみにベロニカはソウマと仲が良いのか、ずっと話していてユイナはテイラーと話している。
当然シャインは僕の横を陣取って、周囲を見張っている。
この見張りは『敵』ではなく『他の女性』だ……
女性が寄ってくると僕にすぐに話しかけて『キープ中』とステータスに現れるくらいだ。
面白い事に『キープ』と出ると、攻撃時に連携攻撃が出来てしまう面白いステータス補正があるのだ。
異性、同性構わず『キープ』補正は出るので、ベンとロズのステータスにはちょくちょく出る。
初めは『うわぁ』と思ったが、エクシアが『相性補正』について教えてくれたのだ……其方のご関係じゃ無くて安心した。
ちなみに『キープ』は誰とでも出るわけでは無い。
仲の良い筈の『ベン』と『ベロニカ』は何故か出ないし、『ロズ』と『エクシア』は出るが『ロズ』と『ベロニカ』は出ないのだ。
多分武器の問題もあるかも知れない……遠距離と近距離等だが、厳密には分からない。
エクシアを慕っている『ベロニカ』とその対象の『エクシア』は『キープ』が出ないし、『ベロニカ』と『ゲオル』も遠距離だが出ないのだ。
「ちょっとヒロ……本当に皆連れて行く気?」
ユイナが不安そうに僕に聞く……
行き先は『ダンジョンコア』の部屋で、ダークフェアリー絡みだからそうなるのは不思議ではない。
「まぁ部屋の外で待機してて貰えば済む事ですしね……あの部屋に入れるのは、今も今後も僕だけだし」
「確かにヒロの言う通りだな、ユイナの心配もわかるけどな?それで?何をする為に行くんだ?」
ソウマはユイナと同じ事を気にしていたが、僕しか入れない事を知っているのだから危険が起きるとすれば、驚異的パワーを手に入れたヘカテイアとマモンだけだと言ってきた。
「私達は何もしないわよ?まぁ最低限ワタシは間違い無いわ。ソウマにユイナ、安心して良いわよ?マモンが何かしようをしたら首をもいでから、再起不能になるまでホムンクルスの肉体を私が破壊するから……」
カップ麺のCMの綺麗な顔つきで、残酷描写をするのはやめて貰いたいが、中身は『死の女王』なのだ、外の容姿をそうした僕に問題がある。
「しねぇよ!忘れてねぇか?ヘカテイアを自由放置すれば『封印』が危険なんだ。お前達は関わりが無いから平気だろうが、俺はあの肉体が氷漬けなんかゴメンだぜ」
「「「「「氷漬け?」」」」」
全員で質問の様な受け答えをする……
「そのうち話してやるよ!……今はヘカテイアを放置して帰る真似はしねぇって事だよ。自分で自分の首は絞めたくねぇからな!」
マモンは含みのある返事を返したが、話さ無いわけでは無い様だ。
単純に面倒なのだろう……
しかしヘカテイアは、他の事に興味がある様だ。
「でもソウマの話にも興味があるわ……ダンジョンコアの部屋?マモン……貴方は行ったことがあるんでしょう?」
「ねぇよ。そんな場所……そもそもそこに行ったって、前も今も俺は『呼ばれた側』だぜ?意味がねぇだろう?自力でそこに入ったならまだしも……」
「あら?………確かにそうね……ダンジョンマスターに睨まれたら還されちゃうものね?」
そのヘカテイアの言葉で『ダンジョンマスター』が誰か知っているメンバーは僕を見る。
「ん!?」
「何よ?マモン……」
「んん!?……気のせいか?俺の気のせいだよな?コイツ……」
まじまじと値踏みでもする様に僕をジロジロ見るマモン……
とある事に気がついたマモンに追及をするヘカテイア……
しかしそれに気がついたユイナは、口止めとばかりに言葉を制する。
「あああーーーーぬわんでも無いです!ヘカテイアさんにマモンさん………なんでも無いよね!?ですよねーマモンさん?『もう肉やらないわよ?』…………」
そしてマモンはユイナの目が据わった説教の恐怖が消えないのか、即答で返事をする。
「何でもない!!……です!」
「ちょっとマモン……何がよ?」
ヘカテイアは何のことか分からず、マモンをボコボコ殴って口を割らせようとする……
それをみたソウマとユイナは僕とエクシアの手を引いて歩き出す……
「ヒロ早く降りよう!」
「ソウマの言う通りよ。その方がいい!!」
僕達は通って来た道を戻り、転移魔法陣へ向かう……いよいよ10層……最下層だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ダンジョン………コアこんな形だったのか……」
「おい!トラボルタ破壊した方がいいんじゃないか?……これさえ無くなれば此処は安全になるんだぞ!!」
当然の会話が起きる……予想していた事だ。
「壊せるなら壊してみなよ?なぁヒロ?……それが出来れば苦労はしないって言葉があるもんな?」
「そうですね……エクシアさん」
僕達は来る途中に先に飛んで様子を見ると言って、10層で話し合った。
トラボルタ達を含めて、使ったことのないメンバーは最低限僕達の『地下10層踏破者』が居なければ魔法陣を使えないからだ。
その結果、『壊せないもの』として認識させた方が安心だろうと言う事だった。
そしてこの部屋は『階層主』が倒せた者じゃないと『開けられない』と言う条件付きだ。
それも、稀に出る『本物の階層主にとどめを刺した者』と言う嘘を付け加えた。
階層主だけではボスを倒せれば開けられる事になるが、『真の階層主』となれば『僕』しかいない。
要は僕に力尽くで開けさせないと『開かない』と言う事だ。
それも開けても『壊せない』となれば、打つ手などない。
その情報に真実味を付け加える為に、トラボルタ達『金級冒険者』と名が通っているウルフハウンドに協力して貰う形だ。
「駄目だ……魔剣の攻撃でもびくともしないぞ!!ウルフハウンドどうだ?其方からは?」
「トラボルタさん……無理だ!全くさ……ダメージの形跡すらねぇ!傷一つつかねぇ……ってかヒロが壊せねぇのに俺らじゃ無理だ!」
そんな感じでずっと攻撃をし続けている二人だが、僕とヘカテイアそしてマモンは別問題が浮上している……
「アンタ!!何で『ダンジョンマスター』なのに私たち追い返さなかったんだい?」
「待て待て!ヘカテイア……それを言ったら俺たちもう追い返されちまう……」
「マモン……馬鹿かアンタは?アタシ達はもう『身体を得て』ホムンクルスの肉体を得たからダンジョンとは無関係だろう?唯一の関係はこの大馬鹿とさ!」
「って事はコイツを殺せば……」
「アンタが殺す前に私がアンタを殺すけどね?……このホムンクルスの制御はこの男しか出来ない。既に身体にはコイツの血が混じっているんだよ……コイツが死ねば私達は土塊になる」
僕が知らない事を色々、ヘカテイアとマモンが教えてくれるので助かるが、情報量が多いので『誤魔化す』のに一苦労だ……何も知らないのに、『全てを知っている素振り』は凄く難しい。
「そうだろう?ヒロ……アンタがどう言う目的でアタシ達に肉体を与えたかわかんないけど……」
「此処で……コアの見張りをして貰おうかと……何かあったら嫌なので……二人はこれ……壊したり乗っ取ったり出来ないでしょう?」
「「………………」」
僕がそう言うと二人は黙る……
「なら外に行く話はどうなるんだい?」
「交代で行くか……それか……たまに安全かみに来る程度でいいですよ?眷属置いとくのはどうでしょう?」
「「縛りが緩いな!!」」
呆れて言葉を無くすヘカテイアとマモン……しかし仕方がない事だ……元々何も考えてないのだから……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。