第459話「マジックアイテム・魔眼牢獄」


 僕はちゃんと望んだ物が出来たのか鑑定をする……


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


     『魔眼牢獄』


『マジックアイテム・レア度⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎』


 思念体を捕縛するマジックアイテム。


 闇属性の球体に収まるサイズのみ収容

可能。


 牢獄内に捕らえた場合、即座に実態を

得るが、代わりに外に出た場合即死する。


 実態は牢外では保つことが出来ず、直

ちに溶解し消える。


使用方法・闇属性思念体対象を自動吸引。

    (※対象が複数の場合ランダム。)


特殊効果・『ストレンジ・ギフト』


 内部に捕らえた個体の、スキル・魔法

特殊能力を使用できる。


 捕縛個体の固有ステータスを別途使用

可能。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 使い方は簡単で思念体のダークフェアリーの前で取り出すと吸引される仕組みの様だ。


 思念体を吸引するのかと思ったが、闇思念体限定の様だ。


 因みに僕のMPは残り253しかなかったのに、今はMP23しか残ってない。


 時間と作業に伴い消費する様だが、この大した作業でないのに消費が大きかった。



「まずいな……MPの消費量がデカ過ぎだ……なんでこんなに減るんだ?」



『当たり前でしょう……何を素材に作ったのか、気がつかないのですか?』



 僕は『魔眼牢獄』と言うマジックアイテムを作成するのに集中しすぎたせいで気が付かなかったが、僕の周りには『ミミの下級水精霊』と『僕の中級水精霊の水っ子』に以前救出した『上級水精霊』が化現して、三方向から何やら支援の結界を施していた。



 当然周りの冒険者は拝み倒し、ギルドマスターとサブマスターは羊皮紙とインクを持って来させて、その姿を模写させていた。



「あれ?どうして?……」



『どうして………ですか?『ユニークモンスター』の素材加工を単独で出来るとでも?精霊界から見てましたが……まさか此処まで無茶をするとは……下手すればユニークモンスターの新たしい核になりかねないのですよ?』



『アンタ!ワテクシに感謝しなさいよ!オネェ様を急いで呼んできたんだから!!何か馬鹿なこと始めるかと思ったけど……同時にユニーク素材を溶解加工するとか馬鹿なの?』



 下級水精霊もプンスコ怒っている…………



 事情を聞くと、ユニークモンスターの素材を『溶解液で溶かす』と新しい核の元になるそうだ。


 それをする場合は、精霊の力で外部の穢れとの境界を作り、溶けた核素材に穢れが混じらない様にする必要があったそうだ。



 しかしそれは、設計図にも説明にも載っていない。


『人の子が行う事だったので知らなかったのでしょう……そもそも加工するのに魔物の素材を『スライム溶液』で溶かす冒険者は過去にも数える限りですからね……』



 居たのかい!って言いたくなったが、僕に人のことは言えない。



『因みにその冒険者達は、核の素材と融合して人族に対して脅威な魔物へ変わりました……今回ヒロ様が万が一そうなった場合は、世界の半分が滅びます……ユニーク素材2個が融合してヒロ様は凶悪な魔物になったでしょう。使役する魔物の階級は爆発的に上がり、アラーネアと悪魔の娘が確実に人間と敵対関係になるでしょう……』



 ギルドに居る冒険者の突き刺さる視線が痛い……どうやら『念話』は僕だけでなく『全員』が聞いているようだ。



「コレは!ハセガワくんがですね………」



「お前は黙ってろ!!………助かりました!上級水精霊様!この馬鹿のせいで申し訳ありません!わざわざ精霊界から起こし頂いたこと、心から御礼申し上げます!!この街には貴方様を祀る祠をご用意します!本当に有難うございました!!」



「「「「「有難うございました〜〜〜〜〜〜!!!」」」」」



 僕の言葉を遮りギルマスは礼を言うと、職員と冒険者全員が一斉にお礼を言う。



『人の子よ……この人は無茶をしますからね?充分気をつけて……悪気は無いのですが……善意がたまに空回りしますので!しかし水精霊全てが、この人に感謝しています……この世界の安定の為に、お力添えをお願い申し上げます』



 化現した方法はスライムの『ウォーター』で化現したようだ……スライムのMPが残り2になっている……



 当のスライムは……クレームだろう……触手を伸ばして僕の脚を『バシバシ』叩いている……割と痛いので本気で怒っているようだ。



『それでは私は精霊界に戻ります……次何かをする時は『必ず声をかけて』くださいね?今回は間に合いましたが、スライムさんが『ウォーター』を使えなかったら、いくら私でも間に合いませんでしたから!!」


「絶対にそうさせます!!このジェムズマイン新領主『ウィンディア』の名において!!」



 振り返ると跪いたウィンディア伯爵に、ザムド伯爵、ハラグロ男爵がいた。


 ザムド伯爵とハラグロ男爵の睨む目が『メデューサ』の瞳のようだ………今すぐ逃げたい……



 水の上級精霊は、化現していた水を一箇所に集中させて姿を消す。



『ボヨヨン』



 一箇所に集中させた事で形的には水球になったが、突然その水球がギルドの床に落下する。



 水球は弾ける事もなく軽く跳ねてコロコロ転がり、ギルドマスターの足元まで転がってとまる。



「な!?なんだコレは………」



 僕がそれを鑑定すると……『水精霊の高密度魔力珠(水球)』となっている。



 モノクルで誤魔化すように鑑定した結果を話す。



「上級水精霊の高密度の魔力で、水の性質が変化した物ですね……今のそれは『濃密な魔力を帯びた水球』になったようです」



「水精霊様の魔力の塊という事では無いか!!……テカーリン!すぐにギルドの敷地に水精霊様を祀る場所を作るのだ!そしてそれを祀れ!!良いな?」



 ウィンディアは水魔法に傾倒している感があるので、上級水精霊が残した物は御神体にも等しいのだろう……ギルマスは短く『直ちに!!』と言ってギルド職員の土木絡みの関係者を招集する。



「ウィンディア伯爵様では執務室で今後の予定を!!……ヒロ!無茶はするなよ?『絶対だ!!』いいな?」



「そうだ!『絶対だ!』」



「うむ!『絶対だ!』」



「ヒロ男爵……同じ爵位として言い辛いが……コレは絶対……としか言えんぞ?」



 ギルマスに続き、ウィンディア伯爵に釘を刺されその直後にザムド伯爵で、ハラグロ男爵にまで釘を刺されてしまった………



 周りでは……



「ヒロ様って言われてたよ……水精霊様に……」



「知り合いって事だよな?既に……それも上級水精霊って言ってたってことは……」



「決まってるだろう?精霊の階級について見分けがつく時点で、俺たちとは違うんだよ!!」



 形的にはヒソヒソ話しているが、興奮で声がでかいので全部聞こえてくる。



「ひとまず此処ではなんだよな?ファイアフォックスのギルドへ戻ろうじゃ無いか!」



 エクシアは空気を察して、ギルドへ戻る事を勧めるので皆で帰ることになった……



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「それで?誰もそのアイテムに気も止めなかったが……あの精霊が泡食って化現するぐらいなんだから………それだけやばい物だよな?」


 僕はアイテムの説明をすると……



「よくそんな素材がありましたね!?フレアーモリアって……見たことなんかないですよ?」


 ルーナがビックリして話すが『水精霊のダンジョン』で出会した事を話すと……『私達が出会ってたら死者出てましたよ……先にヒロさんが出会ってよかった……』とか言い始めた。



 あの時は敵ではなく落ちて来る『宝箱』に殺されかけたな……とか思っていると……



「ヒロ様!ところでミミの故郷に一緒に行くという事でしたが?何故ですか?」



 ミミの質問に僕が答えると一緒にくっついてきたイスクーバも『同行する』と言い始めた。

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