第458話「マジックアイテムの設計図」


「良いですか?無茶しないで!体壊したら元も子もないんですよ?ちゃんと渡したそれで栄養つけてくださいね?」


「イーザ?アンタが体を壊したらって言ったらネタにしかならないよ?本当に壊れてるんだから!」



 エクシアがブラックジョークを言うと、ミオが……



「エクシアさん!メ!!」



 意外にも怒っていた……



「ガハハハハ!良いんだよミオちゃん!こんな時は軽口言わないと!って言うのが冒険者だからな!イーザちゃんももう気にすんなって言う意味だよ!何があろうとなかろうと死ぬ時は死ぬんだよ冒険者はな!だから……イーザちゃんデートしようぜ!」



「「「「させねーーーよ!!」」」」



「お前!何かあるたびにそれ辞めろや!貰った剣で首飛ばすぞ!」



「いっその事ことダンジョンに捨ててこようぜ!」



「だな!捨ててこよう!イーザちゃんの為だ!」



 彼等が陽気なバカ達で本当に良かった……



 僕は自分の宝箱に関してほぼ分配もなく確認が終わったので、周りを見回すと未だに一喜一憂しいるので今のうちに自分がやるべきことを終わらせる事にした。


 ダークフェアリー対策の件だ。


 僕は漆黒の球体から『マジックアイテムの設計図』を読んでみる。



『コレを読むものへ……このアイテムはあのダークフェアリーを無力化することが出来る。マジックアイテム内に閉じ込め『彼奴ら』の持つそのスキルと魔法を自分のスキルとして使える様になる夢の様なアイテムだ。しかしながらそれを作るにはかなり条件が特殊だ。詳しくは製作書に別記する……特殊アイテムを集められる事を祈る!』



 彼はコレを使う者のために所々にメッセージを残していた。


 別記内容を読むとその内容は……


 ダークフェアリーをマジックアイテムに閉じ込めて、二度と外に出られなくするアイテムだった。


 ただし制限があり、ダンジョンコアにその身体が飲まれて『思念体を別に起こしたダークフェアリーのみ』にしか、その対象に出来ない点だ。


 コレは思念体をマジックアイテム内で結晶化させて実態を持たせて、ダンジョンコアから切り離すアイテムだった。



 当然、そのマジックアイテムを破壊すればその『ダークフェアリー』は死に至る。


 逆に壊されないでいる間は、何百年だろうが何千年だろうが封印されたら最後、何も出来ない。



 彼があのコアに囚われ物として扱われた様に、ダークフェアリーも同じ末路を辿るアイテムになるわけだ。


 ダンジョンコアと、このアイテムの大きな違いはダンジョンコアと違って、抜け出せば即死する点だ。


 彼が自分でコアの穴を探った事で、最終的には一杯食わすことができたが、このアイテムの逃げ道はそれを知る彼によって、徹底的に塞がれたと言う事だ。


 彼の怨みによって作られたこのアイテムでは、純粋な『燃料』にされるのはダークフェアリーであり、自分では一切の魔法とスキルを使えない状況になる……全てを持ち主に還元するアイテムだからだ。


 素材に使用されている魔物のメイン部位は、魔物のスキルを全て使用不能にする宝玉だ。


 それを元に使用不能から、アイテムの持ち主への還元へと仕組みを変えたのだ。


 そして万が一彼が知らない未知の力を行使して出た場合、身体が溶解して死に至る様にした……身体の生成に溶けやすい素材と溶解液を混ぜて作ったのだ。


 内部の保護が切れた時点で即完全に溶解する……自分の受けた『崩壊』と同様にしたのだ。


 ただし内部には特殊な魔物の皮膜を使用しているので、物理無効・魔力無効の効果がなされているので、それらの攻撃では内部からの破壊はできない。



 もちろん使用側には、最低限のデメリットもある……



 このマジックアイテムが破壊された場合、持ち主は今までダークフェアリーから強制的に搾取していたスキルと魔法それに魔力元を失うのだ。


 この力に頼り切れば問題になるが、頼らなければ意味の無い制約でもある。


 ちなみに必要なアイテムは、デビルイーター・レッドアイ の魔眼宝玉がひとつ、フレアーモリアの飛膜が一枚とジャイアントオクトパスの眼球が一個、スライムの溶解液が100ml必要となる。


 ユニークモンスターの素材が2個に外洋の魔物の眼球、スライムから『不純物の無い』溶解液を得ないとならない。


 100%無理ゲームだが………持っている……僕は持っているのだ!!



「テ………テカーリンさん!あ!ギルドマスター!デビルイーターの魔眼は?もう素材解体終わってますか?三つ目の魔物だから一個くらい終わってませんか?」



「ガハハハハ!素晴らしいアイテムだな!…………うん?どうしたヒロ?ああ!素材の件か?おお、終わってるぞ?今持って来させよう!」



 テカーリンがメイフィに指示をして、解体担当のバラスに持って来させる。



「持ってきたぞ?急に必要になったのか?こんな巨大な目玉何に使うんだ?」



 バラスが持ってきた目玉の2個をクロークにしまい、残りの一個の目玉に拳を突き刺して奥から『魔眼宝玉』を引き抜く。



 『魔眼宝玉』は大きさにして野球ボール程度の大きさだ。



「もうこの目玉は用無しです……何かに使えますか?」


「よ………用無しだ??この特殊素材が用無し?その掌サイズの石ころだけ必要だったってだけか?コレはギルドで買い取って良いなら、すぐに金を持ってくるぞ?」



「じゃあよろしくお願いします!」



 僕はバラスにそう言って、魔眼宝玉を鑑定する。



「なんだいそりゃ?宝石かい?赤くて綺麗だけど……アンタのことだから何かに使うんだよね?」



「ハセガワくんの記憶に、コレを使用してダークフェアリーを捕まえる方法があったんですよ。捕まえたら最後、彼と同じ……より酷いかな?まぁダークフェアリーにとって非常に大変なことになるアイテムになるんです」



 僕はリュックからスライムを呼んで溶解液を貰う交渉をする。


 当然代わりに欲しがるものを言われる……『チョコレート10個』と交換だと『念話』をしてくるスライムは、お利口で商売上手だ。


「チョコだね?良いよその代わり宿屋でね?此処では出せないから!」



 ウッカリ言葉で言うと、ミクとアーチとカナミが走ってきて……



「「「分かった!宿屋でね!!」」」


 などと言う……


 君達じゃ無い!と言いたかったが……3体1だし目がマジで身包み剥がされそうだったから、仕方なく了承する。



 スライムは触手の様な物を伸ばして、溶解液をポタポタたすらので床板が少しずつ溶ける……



「スラ!ちょっと待って用意するから!!」



 僕は片手で漆黒の球体を握りしめて説明書を読む。


 ……まず魔力容器を真空状態にする必要がある様だ……当然外気に触れればダークフェアリーが溶解する仕組みだから当然だが……


 魔力容器へ空いた片手でジャイアントオクトパスの眼球を放り込んで乾燥させ粉砕してから、溶解液をスラにお願いする。



 容器内に50mlを取り分けて、ジャイアントオクトパスの粉末と混ぜてからしっかりと撹拌する。



 ドロドロしたピンクっぽい物が出来上がるが、それを外気に触れてはいけないそうだ……当然溶解して消えるからだろう。


 その状態で容器内に別の領域を作りフレアーモリアの飛膜一枚を放り込み、乾燥と粉砕をして残りの溶解液から40mlを入れる。



 魔力容器は作業をするに連れてどんどん大きくなる……



 次にデビルイーター・レッドアイ の魔眼宝玉を容器へ放り込み、ドリル状にした魔力を差し込み丁寧に穴を開ける。


 真ん中まで掘り進んだら、中のドリルを球体状にして周りを削る。



 説明書には書いてなかったが、削り粉が出やすい様に支柱も改造する必要があった。


 削り粉が邪魔して、途中で詰まってしまうからだ。



 充分空間を作ったら、領域を穴に繋げて中にフレアーモリアの溶液を流し込み回転させる……すると中に『幕状の何か』が出来るのが開けた穴から見える。


 そしてジャイアントオクトパスのドロドロ液を流し込むそして仕上げに、削り粉と溶解液の残りを混ぜ合わせて穴を塞ぐと、周りに馴染んで継ぎ目が解らなくなる。


 コレでマジックアイテムの『魔眼牢獄』が出来上がった。

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