第414話「魔導士学院学長の悪巧み…… 水棲個体召喚魔導書」
「結構古そうな本ですね?………『パラリ』………』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『ウォーター・ウィスプ』(消費MP5)
召喚タイム:半刻(1日5回使用可能)
浮かばれぬ水霊の小さな群れ。
発生時に周囲の温度を下げる
攻撃方法 霊障
攻撃魔法 水弾
防御魔法 水壁
レベルUP時
1日の使用回数が1回増加
詠唱文言
『クワンダ・エストルァテス・ラ・
ファントム……ウィスプ』
個体数
『召喚レベル5毎1個体/最大10体』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふむふむ……名前からして『断片』とか『群れ』とかかな……イメージは幽霊が消えそうな感じなのかな?ウィルオウィスプに近い感じで鬼火に近いのかな?名前は……えっと……ウォーター・ウィスプ?」
『ポ…………ポポポ……………ポッポポ』
「ひゃぁぁぁぁ!な………なーーーー!!こんな簡単に召喚!?」
僕が召喚名を言った瞬間、7個体のウォーター・ウィスプが召還される……ウィル・オ・ウィスプとは別物の様だ……周囲の温度がどんどん寒くなっていく感じがする。
モンブランは『イメージ』が大切だと言っていた…自分で説明として言った事だが、ちゃんと頭で思い描いたせいで呪文として召還した様だ。
このせいで、僕は報告書代わりに今言った事を口頭で説明させられた。
今回は小さい個体だったから問題なかったが、割と召還媒体は大きいので外に出た方が無難だと思い学長に聞くと、呼び出すものにもよるが校庭の一角を使用した方が良いのでは?と言う事になり校庭へ向かう事にした。
水魔法を娘に覚えさせたがっていたウィンディア伯爵は、大いに興奮をして『水性個体召還魔導書』を暗記する様にずっと呟き、ちょっとヤバい人になっていた。
ミーニー学長は一緒に来たがったが、謝罪をしたいストレイ伯爵とイスクーバに受講生のアンミンにも捕まった……そこに偶然ネックレスを持って来たプッチィに……
「プッチー!今からヒロ男爵様が『召還』を試されるかも知れませんので、その目に焼きつけておいて下さい!」
魔導書を持って、安全の為に校庭に出る。
周りでは……
「着火!」
「ライト!!」
「フレイムアロー!」
「ライトアロー!」
などと、口々に詠唱呪文を唱えてちびっ子が練習をしている。
僕は出たとこ勝負にならない様に練習するつもりで校庭にでたが、割と生徒が居るので出来る限り生徒からは安全の為に、離れる様にする。
「せ……先生……あの人の後ろに青い光が7個浮いているんですけど………」
「あれは何ですか!先生!」
そんな声が聞こえて後ろを振り返ると僕の後をついて回る『ウォーター・ウィスプ』が居た。
半刻はこのまま召還されるのを忘れて、そのまま校庭に出たせいで割と生徒の目を集めているが、数人は僕の授業に出ていた生徒なので駆け寄ってくる。
「先生!!それは何ですか?」
「ああ!君は授業を受けていた子かな?この浮いてるのは、水属性のウォーター・ウィスプって言う召喚で呼んだ個体だよ。半刻で消えるから皆にはそう説明してくれるかな?」
「はい!!わかりました!………ザイグラー先生!あれはウォーター・ウィスプと言う水の召還魔法だそうです!!あの人は水魔導師のヒロ先生です!」
僕がお願いした後に、後ろで説明してくれている生徒がいるので、パニックはどうにかなりそうだ。
僕は魔導書に書いてあるページをめくり、召喚詠唱をする。
『クワンダ・エストルァテス・ラ・ディープ……アクアプリン』
呪文を唱え終わると目に前に魔法陣が現れる……先程はなかった様に思えるが……もしかしたらカーペットが邪魔で見えなかったのかもしれない。
しかし問題はそこではない。
魔導書には『レベルに応じての大きさのアクアプリンが召還される』と書いてあったが、3メートル近い個体が召還される……
レベル10ごとに1メートルとか言われると、そのうち場所によっては入りきらない魔物になってしまうので事前に調べておいてよかった。
僕は次の召喚魔法を唱える。
『クワンダ・エストルァテス・ラ・ローボア……アクアパイソン』
今度も全長3メートル級の、青いマダラ模様のニシキヘビが召還される。
『クワンダ・エストルァテス・ラ・リーズ……アクアリザード』
…………いくら待っても魔法陣も出ないうえ召喚もされない……
『クワンダ・エストルァテス・ラ・リーズ……アクアリザード!!』
…………またもや魔法陣も出ないうえ召喚もされない。
どうやら3種族を召喚すると、それ以上は同時召喚できない様だ……
レベルが関係しているのか、それともマックスがそうなのかは分からないので、レベルを40まで上げたら試してみるしかない。
僕は『ブツブツ』と呟きつつ後ろに振り返ると、プッチィは腰を抜かして立てなくなっている。
そして僕の授業を受けた生徒たちは、授業を放棄して集まって来てしまっていた。
生徒を呼び戻そうにも、講師たちは怖くて近寄って来れない様だ。
「ヒロ様ーー!!待ってー!!召還を終わらせないでくださいー!!」
そう叫んで、全力疾走してきたのは学長だった。
ゼーゼー言いながら、召還した魔物の前に躍り出る学長はアクアパイソンとアクアプリンを左右に見る様に突っ立って……
「おほほほほほ!これが召還魔法ですかーー!大きいですねー!魔導書を買って良かったです!今日だけで3個体……」
僕は学長に……
「3召喚迄ですね……4召還詠唱は試したのですが召喚陣が出来ないので、今現状では何が原因かは分からないです。」
召還時間が終了するまでは校庭からも出られないので、これからの予定をザムド伯爵と話す。
「エクシアとギルドで待ち合わせって事は……銀級試験だろうな!朝方話したのだエクシアと……ロズ達も銅級から銀級冒険者へ格上げせねばならんからな……大所帯になったのに実力者が自らランクを落としたままでは新参者に示しが付かないだろう?」
僕の知らないところで、ファイアフォックスではそんな話がされていたらしい。
よく考えると、今日は朝からギルドには顔を出してない。
昨日予定を話したところ……『忙しから朝はいけないだろうから無理をするな』……と言われていたからだ。
「って事は……それに僕もって事ですか?」
「そう言ってたぞ?ミオ受付嬢に、貴族任務の達成で『ヒロ男爵が銀級昇格条件を満たしているか』聞きに行くと言っていたからな?満たしてるなら『昇格試験の催促』をすると言ってたぞ?」
「ちなみに……銀級冒険者になる『昇格試験』は何ですか?」
「トレンチダンジョンの5階層の攻略だ……既にヒロ男爵はクリアしておるだろう?転送陣で5階層に飛んで倒せばおしまいだからな……鉱山の魔獣を倒したのだ……ギルドとして止める理由は何も無いから私も朝のうちに『斡旋』して置いたぞ?ウィンも一緒に行ったしな」
二人は『しれっと』問題発言をする……
「でも銀級になったら銅級の仲間と『パーティー組めなく』なりません?」
「それは駆け出しだけだ……そもそもエクシアが組んでおるだろう?」
「あ!!」
危惧していたが……以外のも一番近い人が『それ』を実演していた……心配しなくても良い様だ。
考えてみれば、駆け出しの死亡率を下げるための『仕組み』なのだから当然と言えば当然だ。
僕は、銀級になった時の利点などを貴族的にあるか聞いてみると、そもそも貴族は『冒険に出る』貴族は馬鹿にされるらしいので全く『利点など』は無い……らしい。しかしウィンディアの父親は、比較的多くダンジョンへ潜っていたらしいのでその様な貴族も居ない訳では無いらしい。
ちなみに領内の仕事をやりつつ、ダンジョンを潜るには有能な部下が数人必要らしい。
いつに間にかストレイ伯爵も校庭に来ていて、召還魔獣と魔物を眺めていた………
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