第311話「隠し部屋みーつけた!」


 僕は薄めに造った魔力容器を火にかけてから、中にウォーターで水を入れる。


 少しすると沸騰したのでココアを入れた後お湯を注ぐ口を容器に付け足す……魔力容器はすごく便利だ。



 コップは2つあるので僕とアラーネアの分で、スライムにはお皿であげた……モンブランには水に溶いてから根の付近にかける。


 モンブランの聖樹の苗木が発する神聖な空間に、苗木にはアラーネアは近寄れない様だが、スライムは問題なく周りを跳ね回っている。


 しかし、聖樹の苗木の事より彼女は『ホットココア』の袋を手にとって色々な方向から見ては、じっくりと味わっていた。



「これは美味しいのぉ……初めて飲む味じゃ!なんと言ってもこの甘さにコク……異世界は良いのぉ!こんな美味いものが沢山あって……その分魔物も強そうじゃがな……」



「魔物は僕の世界にはいませんよ?そもそも冒険者って職はありませんし……人々が争うのはこの世界と変わりませんが規模が違いますね……戦争では戦車やら戦闘機やらミサイルやら使いますし……」



「なんと……魔物のいない世界か……俄には信じられんのぉ……妾も行ってみたいぞ……異世界に……ところであの宝箱要らんのか?早く回収しないとダンジョンに喰われてしまうぞ?」



 ココアを入れていて忘れていた……せっかくの報酬だ残さず回収せねば……



「あ!消えてしまう前に宝箱をクロークにしまってきますね!入れておけば後で開けられるので!」



 慌てて僕は宝箱2個をクロークにしまう……そしてミノタウロスとプレーグミノタウロスのドロップアイテムも回収して来る。


 異世界の宝箱とココアで完全に忘れていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ミノタウロスハルバード 1

 霜降りミノ肉 1KG 4

 霜降りミノ肉 2KG 3

 ミノ肉 4KG 3

 小魔石 6個

 中魔石 4個

 土の中魔石 1個


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 僕はココアを一気に飲み干し部屋を出る準備を始める。


 だが、この部屋の横に壁に囲まれた小部屋がある事を思い出したので、アラーネアに尋ねてみる。



「アラーネアさん……そういえば僕の空間感知にこのボス部屋の横に空間があって部屋の様なのですが……」


「うん?それは隠し部屋じゃのう?ダンジョンには大概は何個かその様な小部屋が隠されておるぞ?ちなみにどの壁じゃ?」



 そう言われて僕は壁の方を指さすと、アラーネアは壁の方に歩き出してから暫く壁を観察した後に突然軽く小突く。


 すると『ガコン』と音がすると共に壁にレバーが現れ、今度はそのレバーをギコギコと漕ぐ様にアラーネアが動かすと、ゆっくりと壁が移動していく。



「ほれ!開いたぞ?ミルクココアの礼じゃ!早く中を覗いてみよ……運が良ければまだ発見されておらんかもしれんぞ?」



 僕はその小部屋に気をつけながら入り様子を伺う。


 万が一罠があったら困るからだ。



 そこには宝箱が一つ置かれていた。



◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


迷宮宝物『呪われた強欲なる王からの褒賞』

 (ランク:s+) (罠:石化の呪い・爆弾)


        入手方法

 ・隠し部屋から取得。


  ※箱にはランクがある。


 ランクが上がる程、良品が詰まっている。

  箱には罠がかかっている場合がある。

 ランクが上がると箱内部は複合罠になる。


 解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


 この罠は僕の持つ鍵では外せない為に、クロークで持ち帰るしか方法がなさそうだ。


 ひとまず僕は、クロークを上からかけて中に収納する。



「どんな宝じゃった?また異世界物かの?」



 普通に隠し部屋にある物が異世界製品の出る宝箱だった場合、この世界の冒険者の誰でもそれが手に入れられてしまう……と言う考えには、アラーネアはもはや至らない様だ。



「迷宮宝物と言う物みたいです……呪われた強欲なる王からの褒賞と呼ばれる物ですが、宝箱のランクが高いので開けられそうにないですね……罠も石化の呪いと爆弾なので僕は間違いなくやばいですね……」


「なので僕のクロークへしまっておきました。開けられる人にお願いして開けてもらうか、鍵を手に入れてからですね!」



 そう話すと、とても残念そうにアラーネアは僕へつぶやいた。



「そうか……異世界物では無いのか……石化の呪いじゃと妾も危険じゃ!流石に石化は解除出来ないからな!完全に石化する前に『万能薬』を飲まねばならんしな……」



「それに爆弾だとすれば石化の後爆発などすれば、もう万能薬も意味がないからのぉ……秘薬でさえ意味がないじゃろうな……必要部位の再生には時間がかかるからな。父上の話では……」



 どうやら王族だけあって、秘薬の存在も周知の上の様だ。


 あまり長居は出来ない充分ココアで休んだので、上の階を目指さなければならない。


 ボス部屋から出ようとした時あることに気がついた。


 兵士が居ないのだ……天井に括り付けた事もアラーネアも忘れていた……


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ボスの部屋から出た僕達は、アラーネアの道案内で上への階段へ向かう。


 この14階フロアは石壁と石畳の典型的なダンジョンらしい。


 通路はかなり広く、フロアの天井を規則正しく並んだアーチ型の数本の柱で支える仕様だ。



 アラーネアの話では左右に大きな部屋がいくつもあり、真ん中は大通りと呼ばれる通路だと言う。


 魔物の多くは部屋に居て、通路には居ない『安全エリア』の様だ。



 なので最短距離は突っ切れば、階段に着くらしいが楽をして先に進めば、当然先程の山程のミノタウロスが待ち構えているので苦戦を強いられるらしい。


 楽をせず戦闘を繰り返して攻略法を学ばなければならないらしい。



 ちなみにこの階層の敵は主にミノタウロスだと言う。



 地下に降りるわけではない……僕達は地上に向かうのだ。


 先を急ぐのでそのまま階段に向かう。



 階段を上がると、そこはまた13階のボス部屋に繋がる小部屋だ。



「13階の階層主はリザードマンじゃ……コイツらは非常に残念でな……水辺じゃないダンジョンフロアで戦うのじゃ……全く部屋に種族的利点が無いからの……可哀想な奴らじゃ!」



 そう言われて覗き込むと、剥き出しの石畳の上にリザードマンが5匹程の群れで居る。


 部屋は先程と違いかなり狭いので、数匹と同時に戦う事になるのは間違いがない。


 だが、僕的には逆に好都合だった。リザードマンはトカゲ種だ………急な温度変化には対応が出来ないだろう。


 ひとまず一番大きい個体から鑑定する。


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


・迷宮深化条件 196/400


・固有個体発生討伐率 0%


リザードマン・ウォーリアー(戦士)

(通常種・人型爬虫類系統・中型種)

(別名: トカゲ人間)


『使役可能個体』 第一次系統進化個体 

・ステータスには個体差、系統差あり。


LV.14 HP.110/110 MP.60/60

STR.30 ATK.106 VIT.36 DEF.98

INT.27 REG.24 DEX.45 AGI.59 LUK.39


特殊能力


『両生類』『スケイルスキン』『再生』


スキル


『再生』


特殊ステータス


『両生類』『スケイルスキン』


    条件により使役可能

 捕縛の魔物罠、使役強制スクロール、

 従魔契約スクロール、使役の絆…etc

 ・必要条未達成により開示不可。


  黒曜石を細工した槍が基本的装備。

  冒険者から奪った鉄器を扱う個体も

 多い。


  水属性にはある程度の抵抗値を持つ

 が、気温変化に敏感。


  系統種では、戦士・アーチャー等、

 武器によって系統が変化する。

  知識レベルはそこそこ高い。


  進化種には様々有るが一番有名な

 進化先は、ジェネラル、ガーディアン

 リザードマン・キング


  稀に進化時にハイ・リザードマン、

 アイス・リザードなど全く異なる種に

 変異する事もある。


 黒曜石の槍、各種鉄器、各種鎧類、木盾

 リザード種装備品、魚の干物、各貨幣


 牙、鱗、爪、小魔石、水掻き、中魔石、

 …etc


  上記部位は武器、防具、etcは素材に

 使用可能。


・食用部位なし

 頭部…なし

 腹部…なし

 胸部…なし

 腕部…なし

 脚部…なし


 攻撃・防御:


  斬撃、殴打、薙ぎ払い、強打、連打

 蹴り飛ばし、噛み付き、引っ掻き


 属性抵抗:『水属性』


 系統変化先(進化先)

 ・リザードマン『階級種』

 ・ハイ・リザードマン

 ・デス・リザード

 ・アイス・リザード

 ・各種属性種

  ……etc

  LV、経験値不足で鑑定不可。


 稀に宝箱を落とす。(ダンジョン個体のみ)


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇




 鑑定の結果、一番大きい個体がリーダー格の様で『リザードマン・ウォーリアー』だったが、その周りの取り巻き4匹は『リザードマン』だった。


 リザードマンのスペックはウォーリアー種に比べるとかなり低かった。

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