第148話「帰還!ファイアフォックス新メンバー!」
『ファイアフォックスの早朝』
「あ!おはようございます!今日も早いですね。」
「ん!おはよーアタイも薬作る。買うと馬鹿にならないからねーコレってやれば確実にスキルレベルも上がるし。戦闘系じゃないスキルはいいね!やればやるだけ結果に残る!朝が早くても俄然やる気が出るよぉー」
「エクシアさん!まだヒロさんきてませんよ。私と同じ時間の馬車に乗るって言ってたのですが……昨日騒ぎましたからね遅くまで……なんか悪いことしちゃったかもです……」
「んっ?気にしなくていいんだよ!冒険者ってのはてきとうなもんだ。それに別に翌日必ず受けなきゃいけないわけでもないんだから。それにしても寝坊かなアイツ?私に似て適当だからな………」
「でも意外と気を使う人なのでもしかしたらメンバーに皆さんに気を遣って一人でギルドいったんじゃないかとか思ってるんです……私……いつも何があっても時間通りなんですよ?ヒロさん朝だけは……」
「確かにそうだな?朝だけはちゃんとしてるな?そう言われる時になちゃうじゃないか!」
「オイ!エクシア!事件だ正門の開き待ちが襲われた!今衛兵と護衛でなんとかしてるが中規模の群れらしい。昨日のヒロ達の話の奴らかもだ!招集だからいかねぇと!」
「分かった!今すぐ行く。」
「タバサ!悪いけど今日はコレ解決しないとギルドいけないから。今日は馬車の待機が変わってるからヒロが来たら言ってくれ『乗り間違えるなよ!』ってな。まぁミオから聞いた話だからアイツが直接言うだろうけどな。」
「じゃあギルマスもサブマスも出ちまうから。後よろしくな!ウチのメンバー誰も来なかったらそのまま出ちまっていいから。下手すれば正門向かってるかもだからな!」
「はい分かりました!気をつけて!」
のらりくらりと始まったファイアフォックスの朝だったが、ザッハの一言で急変した。
ヒロが先にギルドに行ったことを知らない2人は、後々後悔するのだった…何故先にギルドに行かなかったのがと。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『宿屋の一幕』
「ほんとに寝坊しちまったわ………起こしてくれればいいのにな?」
「いやー意外と優しいんだよ!無茶ばかりするけど、結局一人になる時は私たちのこと考えてじゃない?いつもさー森のフォレストウルフの時も、洞窟も今回もさー?」
「そうですね!寝てても起こさないのは優しいからですよ。昨日騒いでましたからね私たち……それもその前にゴブリンの件もありますし!ス大蜘蛛のこともあって疲れてると思ったんですよ!」
「そうですね!ヒロさんは私に飴いっぱいくれて辛い年月を忘れさせてくれたし!やっぱり優しさからですよ!」
「確かにな!この世界来て初めてのお金はヒロから貰ったしな!……でも一緒に行きたかったーーーーーヒロカムバーーク!」
「ソウマさん……帰ってきたら完全に遅刻ですから……ダメですよ。」
「んだな……早く飯終わらせてタバサ誘ってギルド行こう!ミオさんにどうなったか聞かないと安心できん!ぶちゃけヒロだから!」
「「「わかるーーーー」」」
「何かしそうなんだよ!問題事を!」
「「「わかるーーー」」」
◆◇◆◇◆◇◆◇
ヒロがイーザの悪巧みにはまった後にあった事だが、それぞれにはこんな朝の風景があった。
まさか今この時、馬車に揺られて『鉱山』に向かっているなどとは誰も夢にも思っていなかった。
唯一冗談でエクシアが言ったが、彼女自身まさか現実になるとは思わないし絶対に彼女はそうならないように注意していた……それだけ鉱山の連合討伐は危険な戦場なのだ。
マッコリー二は昨日の飲み会にも参加しており、ひろの試験を聞いて店の者をすぐに男爵別邸に使いに出していた。
男爵から予め「銅級冒険者の昇格試験時は必ず教えて欲しい」と言われていたのだ。
男爵は妻に娘が大変世話になったので、マッコリー二に頼んで銅級冒険者になった日に渡す祝いとして特別な品を用意していた。
ウィンディアは男爵家の家紋が入った短剣を用意した。
この短剣はクリスタルレイク家の者に近しい者しか持てない……家族の他はテロルと執事のみだ。
ウィンディア男爵にとってヒロはそれだけ大切な人だった。
ウィンディア夫妻は、男爵と繋がりを示す短剣を銅級に昇格したその場で娘達と一緒に渡したかったのだ。
如何なる冒険者もヒロを利用し傷付ける場合、『男爵家の名を持って家族一門遠い親戚に至るまで血縁の者全てを容赦はしない!』と言う意味がこの短剣には込められているのだ。
刀身にはミスリルが使われていて、鞘には透き通るような青い宝石が細工と共にあしらわれている逸品だ。
勿論注文は男爵の命令で急ぎとされ、世話になった翌日にはされていたので随分前に短剣は出来上がっていたのだが、それにしたって渡すのはだいぶ早かった……と思うマッコリー二だった。
マッコリー二の使いに話を聞いた男爵は、家族と共に前日のうちにジェムズマイン領まで馬車を走らせ『別邸』に宿泊していた。
びっくりさせるために内緒で来たのだ。
時を同じくして、ジェムズマインの領主も馬車を街に向けて走らせていた。
正門でゴブリンが現れた時は領主は街にいなかった。
鉱山に出た魔物の件で随分前から王都に出向いていて、今まさに帰路の途中だった。
問題は街の北にある領主専用の門から街に入った瞬間に、その問題事を聞く羽目になると言うわけだが……領主邸宅からギルドまでは遠くはない、しかし男爵にとっては鉱山の他に街の防衛の追加など頭の痛い問題だ。
鉱山の魔獣をなんとかしたいのに街でも問題が起きれば、来るものを見殺しにできるはずもなく……衛兵と冒険者予備員両方とも町の防衛で人員は減らせなくなったのだ。
そしてジェムズマインの領主とウィンディア男爵が、まさかギルドで合い問題に巻き込まれるとは互い想像もしていなかった。
「おはよう!タバサちゃん!ごめん皆寝坊しちゃっ……ヒロ先に行ったみたいなんだ宿屋の主人に話を聞いてさ〜気を遣ってこっそり行ったんだってさ!」
「実はさっきその話をエクシアさんとしてて、多分昨日遅かったから皆に気を遣って一人で行ったんじゃないかって言ってました!なんか当っちゃいましたね!」
「って事はヒロのやつこっちにも顔出さなかったんだ?タバサちゃんも寝てると思ったのかもな〜!」
「ですねーなんか正門でゴブリンが出たらしくて、エクシアさん達メンバーはそっちの退治に行っちゃったんですよ。私は皆さんが来るまで自由行動だったんで薬草から薬作る日課やってました!」
「ヒロさんがまた回復薬とか傷薬使うような事するかもしれないですよね?なのでその時用に貯めてます。時間置かないと薬効が馴染まないので!」
「私達もやりたいけど……薬草切らしちゃって。今からギルドいこうか!って話なの」
「ただいま!ふー!朝からゴブリン祭りだったわ……全部で12匹6匹の2パーティ……雑魚にビビんなよって感じだったわ……護衛は全部銅級だったけど……心の持ち方はお前達の方が多分強いかもな?」
「途中で懐かしい顔にあってな!アンタら遠慮しないで入ってきな!もう此処が家だろう?」
入ってきたのはタバサ以外の異世界組が全員知ってる顔だった。
以前ロックバードの村で最下層まで一緒に行った
スノウ・ベアーの銅級4人組冒険者で、戦士のショウ、タンクのペタ、シーフのピック、レンジャーのゼムで男4人標準パーティー
レッド・アイズは銅級5人組冒険者で、戦士のルーム、タンクのバウ、魔法使いのゼムド、回復師のルーナ、問題児の薬師のミミ男3人、女性2人の回復特化パーティー
アイアン・タンクは銅級4人組冒険者で、タンクのダウ、タンクのガウ、回復師のマウニー、シーフのルーナ男2、女性2の重装型パーティー
例のファイアフォックスに入りたくて仕方の無い13名だ。
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