第147話「連合討伐戦!大活躍!タバサ印の傷薬」

「ありがとう少年!助かった。皆に陣を組む指示を頼む!こっちからは視界がゼロで見えないんだ!」



「わかりました!」



「皆さん!デビルイーターの攻撃に備えてください。盾陣!開始!構えー大楯!」



 僕は盾の扱いなど知らないが、ロズさんが以前言った事だけは覚えているので真似してみる。



「「「「「「「オオーーー!!」」」」」」」



 周囲にいた大楯を持つ冒険者が水球の中の声を聞いていてくれたお陰もあり、上手く集まり陣形を作る。



 皆が防御陣を組んでいると魔法効果が切れて水の回転が止まり、周りに水を撒き散らしながら水球が消えていく……



 正門事件の火魔法の時はこうならなかったので、何かこうなる特殊条件もありそうだった。



「少年!助かった!大楯陣を君は知ってるのか!助かったよ。」



「デビルイーターは片腕がなくなり、既に片方の拳は半分が無いです。この状態だと多分ですが噛み付きや突進、最悪だとあの尻尾……クラッシャーテイルでしょう。」



「皆さんは盾であの尻尾の攻撃は攻撃は止められますか?」



「あの魔獣に随分詳しいな!そうか…『デビルイーター』か君がいて助かる……攻撃は我々のスキルで止められる。盾職のスキルで『半刻』がある。あらゆる攻撃を弾くが次使うのに呼吸10回分の時間チャージが必要な技だ。盾が物理的に持つ間は使える」



「ならば考えがあります。水魔法を使える人を遠距離から使います」



「水魔法を?あいつには効かないぞ?水魔法は……既に魔法は試した。火炎も効果が薄い」



「水魔法を使う場所は地面です。水浸しにしたところを僕が凍らせます。転ばせた所を戦士で攻撃で起き上がったら盾で防御ですそれを繰り返してダメージを稼ぎましょう」



「き……君は一体……何故今来たばかりなのにそんなことが思いつく?……いや今はそれは良いか………よしチャンスがある限り何でもやってみよう!」



「水魔法を使える人を僕に元へ下さい……彼らへは僕が指示します氷魔法を使うタイミングの都合があるので。」



「遠距離の人は地面が凍ったあと遠くから攻撃してください狙いは顔です。出来れば僕とは別の支指示役でお願いします。」



「僕も狙いますが複数の攻撃で、のけぞった時に多分バランスを崩して転ぶはずです。片腕もないので今ならバランスも悪くなってるから効果はあると思うんです。」



「わかった!それは俺のパーティーのレンジャーに指示させよう。カブラ!こっちへ!聴いたか?遠距離武器使いを集めて地面が凍ったとき奴の顔に一斉射撃だ!火魔法は顔面を確実に狙わせろ決して足元の氷は焼くなよ!」



「あたいは適当だけど馬鹿じゃないよ!じゃあ遠距離の水持ち以外はあたいが指示するな。水持ちは少年に預けるから頼んだよ!」



「氷の合図はどうしますか?」



「平気さ!見えるからアタイは。なんと!視界拡張できんのさ〜だから任せといて!あとこの事はナイショな!それにしても……アンタ。すげぇな?怖くないのか?この近距離で腕切り落とすのみたぜ!」



「あの巨体の攻撃もびびらねぇのなぁ?……アンタはこのバケモン以上のバケモンだ……あのバケモンさっき攻撃躊躇ってたのにアンタ躊躇わず魔法使うとか……オニだわ」



「なんか勝てそうだ!って気になってきたよ、アンタのおかげで!」



「話している所すまん。カブラ……回復系余ってないか?」



「すまんテイラーもう全部切れちまった……既に昨日でね……シャインが魔獣の攻撃受けた時、回復もないんじゃ全員もう駄目だって思ったわ!」



「いや……仕方ない。俺も残り傷薬(少)が2個だからな。これでダメなら出直しだな……周りも盾の耐久値がギリギリは半壊状態だろうからな…後方支援の貴族部隊が止まったからジリ貧だしな。」



「ってか、貴族の兵隊さっき逃げちまったよ……兵隊長が『このままでは死んでしまう!ダメだーーー』だって……こっちは何人もやられてるんだってのによ……テメエ等の街だろう!って蹴っ飛ばしといたわ!」



「まぁ仕方ないな……あの化け物がここまで怪我したんだから良しとするしか無いよなー……敗戦だけどな……コレじゃ貴族からのボーナスもなしかな……」



「回復ですか?ありますよ?上級回復薬が3個に中級回復薬3個、後は傷薬の高級が10個に中級が20個………普通の傷薬も少々ならば融通できます。何個必要です?」



「「………………」」



「……すまないが…とりあえず各1個もらって良いか?無理を言って申し訳ないが……」



「良いですよ」



「あ!あたいも傷薬の中級3個もらって良い?回復師ダウン中だからね。こうなった以上ワタシが回復の補佐なんだわ」



「全然平気ですよ!回復薬じゃなくて良いんですか?それに僕はまだダンジョンで見つけたポーションもありますし。」



「………え……普通渡せても傷薬だよね?テイラー?この子……何言ってるのかアタイには理解できないんだけど?」



「それにキミってば駆け出しだったよね?さっき救護してる奴の話をさ……聞く気はないけど結構大声だったから聞こえちまってさー」



「話してる所すまん……俺も各1個と言ったのは傷薬で……回復薬は…………ゴニョゴニョ」



「あ?ああ!ポーションは親父が冒険者なので親父がダンジョンで見つけた物です。父はもう死にましたが……なので回復系は使うとき使わないと確実に死にますよ?」



「こわ!説得力がありすぎるよ………その言葉……あたい死にたくないから中級回復薬も1個ください。」



「そうだな!キミの言う通りだ。すまんが俺もまだ死ねない妻の為に!だからここは貰っておくよ!」



 カブラと言う女性がふざけた様にベロを出した時大声が響き渡る。



「全員!!!突撃終了!距離を取れ!ジュエルイーターが起き上がるぞぉぉぉ!」



「む……話してる所悪いが……奴が起きて来た。いよいよ俺等も再戦闘開始だ動くぞ!」



「あいよ!じゃあ集めて指示するわ!水は遠距離で待機でいいんだよね?」



「タンクの作る陣の斜め後方に展開でお願いします!集まったところに僕が合流します。」



「あいよ!……あ!それと、アンタは早く駆け出しやめた方がいい……時間の無駄だよ!ギルド行ったらテカに言っといてやるよ!じゃあ足場氷結よろしく!」



 カブラと言う女性が指示に回った後に僕は、近くにいた盾持ちタンクにユイナとミク特性の傷薬(中)を配って歩く。コレは毎晩作ってる物らしいが、前に渡した金貨のお礼と言ってくれる物で、代金はコレでいいと言っているのだが二人は『利子』だと言っている。



 たしかに彼女達は薬草採取の時、多く薬草を摘んでは持ち帰って作るので材料費は瓶代だけだ。



 持ち歩くのには量的に重いらしく、出来栄えが良いものを僕にくれるのだ…毎日作ってスキルレベルを上げるのに必死な訳ではないらしい。



 クロークの次元収納に入れているので僕は重くは無いが、こんなに沢山の回復系を使う敵にはソロでもパーティーでも出会いたくない……まさかここで大量消費出来るとは夢にも思わなかった。



 周りからすごく感謝されたが、回復薬の在庫は少なく渡せなかった。



 テイラーはタバサ製の回復薬の色を見た時はびっくりした顔だった。ちなみに+(プラス)修正値付きの回復薬と教えたら、尚更驚いて大切そうに腰のポーチにしまう……出どころを聞きたそうにしていたのだが……それはタバサの為に秘密だ。



 厄介ごとは困るからだ。

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