第149話「憤怒!解放された力に沈むエクシア」
「お前達が来て助かった。」
「ゴブリンは僕らも昔あんな感じですよ?今でこそなんでもないですが……っていうかヒロさんですよ!僕たちが慣れた原因は!」
「ひとまずアンタ達マッコリー二の所ですぎに契約してきな!じゃないと私たちが痛い目合うからね。」
「あ、成程!今すぐ行ってきます。タバサさん後で自己紹介しますね!皆さんも後程!ちょっとマッコリーニさんのとこに行ってきます」
そう言って3つのパーティーは大所帯でマッコリーニ紹介へ向かう。
彼等はそれぞれジェムズマインで長期依頼を受けていたが、こなした後各村の依頼をこなしていた、各村の村長から早馬でジェムズマインに通達し延長申請を立てたのだ。
ゴブリン被害が続出していたので、今後ファイアフォックスのメンバーになる彼等としては見過ごせない事案だった。
最終的な目的としては最優先はファイアフォックスのある街に早く帰るだが、冒険者の辛いところだ。
本来もうちょっと早く帰れるはずが数日遅くなっていた。街に近くなるたびにゴブリンの個体数が増えて被害が増えたので結局最後は3パーティー連合で周辺の全てのゴブリンを狩っていた。
ただゴブリンの大量繁殖は彼らも思うところがあったので、絶対数を減らした後各村にはモンスターを防ぐための防御柵を立てるように指示して戻ってきた。
この話は正門でゴブリンを見た際にエクシアとそこにいたギルマスのテカーリンに報告した。
彼等のとった行動で各村々からお礼状がギルマスに届いたそうだ。
名実共にファイアフォックスのメンツに加わった瞬間でもあった。
そんな彼等はまだ魔法契約を済ませてないで、うっかりエクシア達が話すと魔法契約ペナルティが発生するのでエクシアはマッコリーニの元へ急がせたのだ。
「ってかお前たち寝坊か!今も此処にいるとは…………………………」
エクシアの言葉を遮るように、街営ギルドのメイフィが飛び込んできた。
「居た!皆さん!大変です……ミオさんがすぐに来てくれっって!ヒロさんが!ヒロさんが!鉱山に!!」
メイフィの第一声を聴いたファイアフォックスのメンバーの慌て方は尋常では無かった。
それもその筈だ、あの鉱山には既に山程の冒険者が行ったきり帰ってないのだ……理由は各領主が出兵をケチったせいでジュエルイーターには確実なダメージに繋がっていないのだ。
どんどん疲弊していく冒険者達に、責任問題をなすりつけ合う各領主達……今更出兵しても魔物討伐に特化した冒険者が大ダメージを負っているのだ。戦果は期待できないので無駄に自分の領地の兵士即ち領民を無駄に死なすことになる。
ウインディア家の領民兵も鉱山に派遣していて今のところ死亡者はいないが、重症者が後を絶たないので時間の問題でもあった。
ウィンディアにしてみればそれも悩みの種だった。
「な…………何だって!!何でそうなった!」
「ちょっと待て!どういう事だ?エクシア姉さん!今こっちまでとんでもない事が聞こえたぞ!」
「ヒロが?おいロズ!すぐにメンバーの装備を整えろ!回復薬多めで!ポーションあれば必ずだ!エク姉さんは状況把握ですぐにギルドに!」
「分かった!じゃあベンは非常食かき集めてきてくれ!数日分あればいい……一度仕切り直せばいいだけだ…」
「だな!サブマス!遠征馬車は後付けで送ってくれ!俺たちは装備と食いもん確保したらヒロの所にすぐに行く。」
「分かった!無理すんなよ!!」
「ゲオル!マジックポーション持てるだけ袋に入れて!アタイが持つから弓と矢はそんな重くないし、向こうにも矢は備えがあるから。」
「おう!すまんな!昨日在庫買って増やしておいて正解じゃな……にしてもどうしてこうなったんじゃ……あれほど危険と言っていた鉱山にわざと向かうほどアイツは馬鹿じゃないしのう?…それも昇格試験日に」
「ミオさんが聞いた話だイーザが馬車変更を伝えてないと。今ギルド職員も早馬でダンジョンまでやらせてます。ダンジョン前で降ろしたギルド担当の御者は誰も居ないんです!」
「此処で話しても埒があかないから詳しくはギルドで聞こう!すまんザッハ此処は任せる!」
「エクシア早まるなよ?アイツなら無事だ絶対に!」
「ああ……わかってる……クソ!こんな事ならギルドに……タバサの言う通り朝からギルドに行くんだった!くそ!!」
「姉さん八つ当たりなんかしてても仕方ない!ヒロは平気です!多分一人でも倒しますよ!そう思っていきましょう!」
「ふ……ふふふふふ…ロズ!そうだな!あの馬鹿は死なない!前もあったしな!」
「お前ら準備頼んだ。タバサの回復薬と傷薬は今此処に全部あるか?」
「はい!いつもバッグの中です、コレ母が使ってたお古のマジックバッグなので!」
「マジックバッグ!だからか……たくさん持ってるのは……よしアタイらは先に行こう!」
こうしてイーザの悪巧みによるミオへの仕返しは、どんどん被害を大きくしていった……しかし天罰は起こるのだ……エクシアと言う特大天罰が動き出す……。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「だから!アイツに聞かれなかったから言わなかったのよ!あなたが統括ならちゃんと受講者の全員に予め告知するべきでしょう?私のせいにされても困るのよ!」
「ちゃんと指示したわよね?今日は『領主様の言いつけによる臨時だと』そもそも駆け出し冒険者を鉱山に送り込んだらどうなるか……わかって話してるの?」
「ミオ!無駄よ!コイツには何言っても通じない……」
「イーザさん流石にコレはコーザとしても良いとは言えません………人の命が………」
「コーザは!誰の味方なのよ!今までの恩忘れたのかしら!?」
「そ…そんな……でも命が……失われてからじゃ……」
「それに!アイツが鉱山の馬車に載った証拠は?」
「そもそも鉱山に行っても役に立たないんだから座ってるしかないじゃない!載ってきた馬車に座って、怪我人と帰ってくる以外ないのよ!だから万が一行っても無事だって何故分からないのかしら?」
「単純にアンタが担当している子が『銅級冒険者』になれないのが悔しいだけでしょ?馬車間違えて乗ってるんじゃ『銅級なんて無理』だもんね!ペナルティ案件よ!コレは」
「万が一に前線が崩壊したら襲われるのよ?何も出来ない駆け出し冒険者を希望してない死地に送ってあなたは平気なの?心はあるの?」
「何が死地よ?自分でいくのを選んだんじゃない?冒険者達が選んだのはお金のためじゃない!貴女だってそうでしょ?あのガキが踊るホーンラビット亭と繋がってるから逃したくないだけでしょう?お弁当に!新作の味見に!知ってるのよ?私?味見してるの?」
「味見のことを言ってるわけでもないし、お弁当の事を言ってる訳ではないわ!貴女には心が無いの?この街やこの国の為に頑張ってる人に対してお金のためとか言えないでしょう!死ぬかも知れない!その人には彼女や奥さん子供もいるかも知れないのよ?」
「ミオ!もういい!今早馬が来た……ヒロ思われる少年はダンジョンには向かってないし入ってもいない。」
そう言って足早にギルドマスターが来る。
そもそもヒロの話はサブマスターがミオに言った事だった『無事にダンジョンに行ったか確認したか?』……と
「行方が分からない以上、彼は馬車に乗らず街のどっかの店にいる可能性もある。」
「ホラ!ギルマスも言ってるじゃ無いですか!『分からない!』って!そんなんで統括が務まりますか?通達してないのは私じゃなくミオさんですよね?昨日話せばいいじゃないですか!」
「だから!『臨時だって……』何度も言ってるでしょう!前からもずっと同じやり方でやってるんです!今までこんなこと一度も起きてないんです!貴女に任せた数時間進で何でこんな問題が!初心者窓口で彼等の安全を確認して送り出すのが私たちのやり方です!」
「ギルマスの言う通りだ、そんなに気を落とすな……まだ決まってない馬車に載ったとは。私もギルマスと正門に行ったのは失敗だったし、君に任せたのは失敗だった。」
「ホラ!サブマスターも言ってますよ?貴女に任せたのは失敗だって!」
「ミオ君キミーのせいではない。ギルマスと私のせいだすまない……彼女がここまで使えないとは正直思っても見なかったんだ…」
「すまないミオ……デーガンに報告を受けて毎日頑張ってるのは知っている。イーザに銅級を任せれば『責任感』が生まれると期待したんだ…『増長』させただけで被害がここまで大きくなるとは思っても見なかった。」
「え!ちょっと待ってください!使えないのはミオの方ですよね?私じゃ無い筈です!あのガキがあんな発案しなければ、冒険者だって振り回されないし、私だって降格にはなってませんよ!ミオとあの入ったばかりの駆け出しがいけないんです。」
「あのお子様がファイアフォックスと仲が良いとかのせいで、皆さん混乱してるんですよ!ファイアフォックスのギルドはこの街で人気出てるから!でもこの街には鉱山で戦っている『希望の盾』のギルドがいるんです!あのギルドに討伐をお願いしたのは私です!担当の私がこの街の為に!お願いしたんです!」
「ミオ君……ホーンラビットの増加に街周辺のゴブリンの増加、コレは全部イーザのせいでは無いとは思う。色々条件が重なっただけだ…それは彼女の責任では無い。」
「ホラ!ミオわかった?私は関係ないの!」
「彼女の問題は冒険者の山に様なクレームに、この街ではまともな依頼が『彼女のせいで受けられないので』他の街へ移り住む理由になった事……等だ。今回の『統括の指示』を無視するも含んだらもっと増えるが…」
「君の心労を考えれば彼女に販売窓口嬢をして貰い、『君の下に一人補充』するべきだった。そうすれば彼がこのような状況にならなかったし。行方がわからなくなる事も無く済んだからね……」
「ちょっ……サブマスター……それはいくら何でも私に対しての侮辱です!」
「イーザ……もし彼が『鉱山』に行ってたらどうする気だね?」
「ギルドマスターまで!絶対にアイツは行ってません。例え行ったとして役に立たないんですから周りは放置です。なのでどうするも何もないです。」
「そうか……彼がさっき馬車に載って帰ってくると言ったが、彼が乗る分『怪我人が1人帰れなくなる』事についてはどう釈明するんだ?その者は『怪我』しているんだぞ?明日には怪我が悪化してるかもしれないだろう?」
「え…………?『しまった……盲点だった………』……それは………」
「あと『絶対に乗ってないと言った』が乗った事が分からないのであれば調べれば済む事だ。イーザ……残念だが鉱山戦の見送りに来ていた『冒険者の家族』が乗る姿を確認していた……それもその姿を確認しているキミの姿を見た駆け出し冒険者も居るんだ。」
「彼等は、なんで『馬車を見て笑っているのか』気になったそうだよ。……凄く残念だ」
「イーザ!言ってることが違うじゃない!乗るのを見たなら……見殺しにしたのよ!?」
彼女が言葉に詰まった時、とうとう天罰が降臨した………。
「オイ!テメェら!うちのもん(ヒロ)に何してくれとんだ!街営ギルドの建物ごとテメエ等全部燃やすぞ!」
理由を聞きに来たのだが……ホールは上が締め切られてないので実はどこも彼処も声は丸聞こえだ。
みな興奮気味で声が大きかった為に、来る途中もイーザのまるまる話が聞こえてしまったのでエクシアは大激怒だった………
エクシアは我を忘れて完全にスキルを開放していた……それも自分の知らないスキルだ。
彼女は自分の出した焔の蛇に突然巻き付かれたかと思うと、みるみる下半身が焔の蛇のようになっていく。
ヒロが鑑定しエクシアが知ったもう一つのスキル……「使役精霊融合(チャンティコの化現)」と呼ばれる上級精霊魔法派生の特殊スキルだった。
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