第109話「怪しい薬を出すタバサは……魔女の一族?」

「おー!お帰り!その様子だと、ギルドで冒険者証作って早速東門行った感じだね!そのあとはスライムって所かな?まぁ初心者の時点で出来ることはそれしか無いからね!」


「んで?そっちの娘はどっちがひっかけたんだい?」


 と言って、僕とソウマを覗き込むエクシア。


「初めまして、タバサと言います!薬草採集の時に仲良くなって今日は一緒に活動させて貰いました。」


「そうなのか。じゃあ立ち話でも何だからギルドで話そうかい!」


 そう言ってギルドに向かうエクシア。


 エクシアは薬草の話でユイナと盛り上がっているので、タバサは割って入ると申し訳なさそうに…


「あの…ギルド反対方向じゃ無いですか?今そっちから来たのですが?」


「ああ!わたし個人ギルドのギルマスやってるのさ!ファイアフォックスってとこのギルドなんだよね〜。」


「ええーーーーーーー!!」


 タバサはギルド名は聞いた事があっても、初心者にすれば個人ギルドは雲の上の存在なので顔を知らなかった様だ。


 ビックリしてぱくぱくしてるタバサを抱っこする様にエクシアが抱えて連れて行く…拉致られるとはこの事だろう。


 宿屋が見えたので、タバサに「僕らが宿泊しているのはこの宿だよ!」って教えてから



「エクシアさん僕宿屋に忘れ物したので、皆と先にギルドに行って下さい。」


「はいよー。じゃあ先にギルドで話聞いてるぞー」


 僕が宿の入り口を開けると、先に泊まっていた女性冒険者2人が戻って来ていた。


 2人は何やら話し込んでいたので軽く会釈してから自分の部屋に急ぎ折り畳み式ソーラーパネルに繋いだ携帯を見るとフル充電になっていた。


 ソーラーパネルの充電口が5本あったので、前に宝箱から出た壊れたスマホも4台充電しておいたのだが、壊れた様子がなく普通に起動していた。


 万が一同じバッテリー形式の携帯だったら、予備のバッテリーとして使えると思ったので充電したがファイアフォックスから帰ってきたら故障理由を再確認したほうがよさそうだ。


 ひとまず残りの壊れたスマホを5台コードに繋ぎ充電を開始する…同じバッテリーが一つでも有れば皆が助かると期待してみる。


 自分の携帯をクロークにしまってから、1Fに降りると小難しい顔をした2人と目があったので余りにも気になったので聞いてみる事にした。


 どうやら2人は香木が有名な村の出で、このジェムズマインの街で行う連合討伐戦の第二次募集を受けに来たらしい。


 問題は第二陣の申し込みは既に始まっていて、着いた頃には既にパーティーに空きが無い状態だったらしいのだ。


 彼女たちはデュアルクラスと呼ばれるクラスでメインクラスが2人ともレンジャーだったので弓使いは同じパーティーに2人も要らないと大概断られたらしい。


 サブクラスが回復師と薬師だったがメインとサブが逆だったら良かったと…それが対外の断り文句だったらしい。


 諦めて他の街へ行くかそれとももう少し粘るか悩んでいたそうだ。



「今からファイアフォックス行きますが、一緒に行きませんか?エクシアさんなら何か妙案があるかもですし!」



 そう言うと、2人は喜んでついて行く!と言ったあと自己紹介になった名前はローリィ♀エイミィ♀と自己紹介されたので、仮名で自己紹介した。


 ー・ー・ー・ー・ー・ー


 その頃ファイアフォックスでは…場違いだと逃げようとするタバサをエクシアが抱っこしてギルドに入ると見慣れた4人組がいた。


「あれ?アンタ達…男爵に借りがあるとか何とか言って男爵邸宅に向かったよね?まさか問題起こしてお払い箱になったとか?」


「イヤイヤ!ロズやベンじゃあるまいし!はじめはテロル様の元で兵士にでもなろうかって話だったんだけどな〜男爵がエクシアの手助けをしてやれと言われてな…」


「俺たち4人は一応これでも銀級冒険者だからな…兵士として男爵邸とかテロル様の配下になるよりは冒険者ギルドに居た方がギルド等級の判断材料になるし、それにここに居れば本来男爵が俺たちに出す依頼をこっちに回せるだろうと言っててな。」


「ほうほう!って事はだ…君達の男爵絡みの仕事は基本全部こっちに回ると?」


「そう言う事だ!取り敢えず近々の依頼は男爵が気にかけている娘の護衛だな!行き帰りで8日〜9日の護衛の仕事だ。俺たち4人にテロル様に兵士3人の合計8人だ。」


「そりゃまた豪勢だな!」


「後は男爵依頼の討伐戦参加依頼じゃな!腕がなるわい!まだ他にも依頼はあるでの!自分とこの兵士動かすと貴族は色々と周りの目が面倒なんじゃとよ!」


「野郎4人か…これ以上タンクと戦士系はなぁ…脳筋ギルドになっちまうよ!」


「そうか…そう嫌がられたら仕方ないのぉ…儂等含めて銀級冒険者が5名になれば…男爵が銀級ギルド1位の昇格をジェムズマイン領主に進言するって〜いっちょったんじゃがな…そりゃ残念じゃ!」


「「「ですね〜」」」


「お前たち!性格悪いぞ!知ってたら先に言えよ!荷馬車貸してやった恩を返せ!」


「ガッハッハッハ!だから返しに来たんじゃ!」


「我等、輝きの旋風4名はファイアフォックスに忠誠を誓う!大恩ある男爵様そしてテロル様の命でもあるが、友の仇を譲ってくれたエクシア殿がこの街にギルドを構える限りは我等4人は誠心誠意このギルドを支えようぞ!」


「あとな!俺等を抱えると良い事があるぞ!貴族特権依頼で小中のポーションが各10本ずつギルドに毎回支給される。在庫管理可能だとさ!」


「嘘だろう?エクシア姉さん!回復師ばりにヤベェっす!ポーションが使えるのと傷薬なんじゃ万が一の装備の差がヤベェですぜ!」


「そうだね!美香と雛美の作る傷薬軟膏は何故か中級効果があるけど、戦闘時に万が一の即時効果は必須だからね!」



「「「「やっぱり!あの娘たち!」」」」


「何だい?声揃えて!」


「あの後各村であの薬がヤベェって話になったんだよ!薬効が高いのに無料で皆に配ってくれただろ?まぁ効果が素晴らしいの何の!2日で治るんだ!7日かかる傷が!2日だ!」


「丁度いるんなら話は早いな!各村で数買いたい言ってたからそのうちファイアフォックス宛に依頼が来るはずだ!」


 褒められたミクとカナミはすごく嬉しそうに、バッグに入れてた作成済みの各薬を数えている。


「私は傷薬20本と軟膏25缶はすぐに用意できます。ミクちゃんは?」


「えーと…私は逆で傷薬が26本と軟膏が21缶ですね…ユイナさんと合わせると、傷薬が46本と軟膏も46缶ですね!なんか揃えたみたいな数ですね!」


 2人はそう言って長机に自分の薬を並べる。


「ロックバードの村でいっぱい作った甲斐があったね〜これからも頑張って作らないとだね!」


「「はい!」」


「これはファイアフォックスに置いておくので必要になったら使ってください。」


「あ!私のもお願いします。」


「「どうせ、また作りますから」」


 それを見ていたタバサが…


「私も傷薬と軟膏持ってます。各50個位はあります…」


 タバサが出した傷薬と軟膏は何故か青みがかったり薄紫色をして如何にも何か間違った配合としか思えないものだった。

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