第105話「爆盛りスライム……コレはスタンピードって言いませんか?普通…」
「まさか6人で倒すの?スライムを?流石に6対1じゃスライムが可哀想すぎるわよ?」
「「ないわ〜」」
「オーク娘が連れて来た相手も、オークの匂いがプンプンする。」
「そっちの女の子は顔は可愛いんだからこっち来なよ!オークでも遊んであげるからさ!」
「じゃあ!俺も!オークでも我慢するから!」
その彼女達を侮辱する言葉にムカついた僕は、足元にいたスライム3匹を横凪に斬り払い、側にいたスライムを蹴り上げ空中で真っ二つにする…そのまま周囲のスライムを斬り伏せて行く。
そうまも近くにいたスライム達を薙ぎ払い、踏み潰し片っ端から駆逐していく。
僕とそうまが2分弱暴れ回った結果、周りに居た30匹を超えるだろうスライムの群れ2つ相当が全部魔石(小)に変わり果てていた。
「ちょっと!ヒロにそうまも集める方の身になってよ!あっちみたいに『チンタラと1匹を囲んで遊んでる訳じゃないんだから』2人が『スライムと戯れる』にしても途中途中集めながらにしてよ…集める私達が大変よ!」
「そうです〜倒すの早すぎて私の分が1匹もいないし!あそこの群れの20匹は多分『私たちを馬鹿にした』あの女性パーティーが、『今すぐ』全部倒すんでしょうし!」
「向こうの群れ30匹ちょいは、あの強いと言って『私達を尻軽と思っている』男性達パーティーが『今すぐ』倒すんでしょうし!1匹相手に『遊んでる』から何時進かかるかわからないけど?」
「「まぁ!遊んでても〜私達オーク娘より!早く倒せるんだろうけど?」」
そう向こうの其々に聞こえるように嫌味を言って、僕とそうまが倒したスライムの魔石を集めたユイナとカナミが渡してくる…その渡し方にはイライラが見られた。
僕達は彼女達が集めていた魔石を受け取ると、側に居た他の群れ2つにユイナとカナミが別々に突っ込んで行く。
カナミは持っていた初心者のナイフで、地面を切り裂くように走り回りスライムを斬り飛ばす。
ナイフの刃先は綺麗に線を描くが決して地面には触れず、スライムのコアだけを器用に切り裂いて行く…通った後からどんどん萎んでは魔石になるので僕は必死に集めて行く。
ユイナはと言うと…片手の初心者のナイフで切り裂き、もう一方の片手はバックラーの縁を掴んでぶっ叩くと言う二刀流でスライムに近寄り相手が動く前に蹴散らして行く。
結菜の後を追うように魔石を集めるソウマは中腰が辛いようで…「ちょっと…ユイナさんや!…すまなんだ〜」と言いながら集めていた。
「ふぅ…スライムに『時間』なんてかけられないわ…ねぇ〜タバちゃん!」
「はぁ…スライムを『3人で』なんて馬鹿らしいわよね?タバちゃん!」
2人に集めた魔石を渡してから僕達が後ろを見ると、タバサは距離を保ちながらも一人でスライムと果敢に戦い既に5匹は仕留めている…それも馬鹿にした彼らとは違い無傷だ。
それから中規模のスライムの群れを倒したタバサは、8個程の魔石を見ながら「やった!」と小さくガッツポーズしていた。
その向こうでは、ミクが20匹のスライムの群れの上を跳ねるようにして片付けていた…。
「あのぉ?その群れ戦いませんかね?良ければタバサちゃんが倒したいみたいなんですけどぉ?」
女性3人のパーティーにそう言い出したのはカナミだった。
「必要数言って貰えればそれだけは残しておきますので…良いですかぁ?」
「カ…カナミさん!良いんです!奥に行けばもっと居るかもしれませんし!無理に此処じゃ無くても…」
「なぁ!そこのあんたら!俺たちをオーク言ったお前達だよ!此処のスライムいつ片付けんの?要らないなら俺たちにくれよ!天才娘タバサの宿代にするからさ?」
「ちょ…そうまさんも…奥に行けば…居ると思うので!」
カナミとそうまの完全なる意趣返しだ。
僕達は他の冒険者が見る前で歩きながらスライムを倒しながら奥へ進み、奥まった所にいた一際大きな群れを全員で倒す事にした。
周りには4人組の冒険者がスライムを斬り飛ばして居て、その周辺に先程のスキンヘッドの冒険者がまたもやスライムを棍棒で薙ぎ払っていた。
この周辺には僕達3グループだけがスライムを倒しているようだ。
4人組の冒険者は、戦い慣れしたように各々がスライムと戦っていて背中を魔物に見せないように戦っている。
僕達は面倒事を避ける為に、彼等とは反対方向のスライムの群れにする事にした。
メインはタバサでそれを守る形で僕とそうまが盾を構え、ユイナとミクとカナミはバックアップで他のスライムがタバサに食らい付かないようにする。
タバサの戦闘感がこの中で一番乏しいだろう…ホーンラビットに比べれば動きが緩慢なスライムは観察が楽だからだ。
若干時間はかかったが、タバサがスライムの攻撃による恐怖を克服したこともありフォーメーションは上手くいき皆無傷で40匹近くのスライムの群を倒した。
僕達が居る場所は貯水池の少し脇の平地で水辺が近いせいか、スライムが非常に多く水質浄化の為とは言え多過ぎる気もした。
もう少し行くと実際の貯水池が見えるので、皆でどれ位スライムに埋もれているのか見に行くか相談していたら、後ろの方で叫び声がする。
「ゴ!ゴブリンと!レッドキャップだ!皆逃げろ!」
そう言ったのは、先程僕らを馬鹿にした男性3人のパーティーだった。
ー・ー・ー・ー・ー・ー
僕達は急いで、叫び声があった方へ向かうと、声を聞き付けた冒険者4人組とスキンヘッドの冒険者が同じく到着する。
「何があった!お前達何をした!」
「な…何もしてねぇよ!」
「じゃあお前達のその盾に付いた斬撃跡はなんだ!」
男達の質問は鋭く、ダメ冒険者3人は諦めて話し始めた。
どうやら僕達を馬鹿にされた彼等は、意趣返しをされた為に森部分に侵入してゴブリンを倒してそれを周りに見せ付けようとしたらしい…。
その結果、割と短期間でゴブリンと遭遇したが戦闘に手間取りなかなか斥候を倒せなかった為に、他の戦士系タイプのゴブリンも来てしまい苦戦してこの場所まで逃げようとしたらしい。
ジグザグに逃げていたら運悪くレッドキャップに遭遇してしまったらしい…ゴブリンに似て醜悪な様相だが鑑定結果は全く違う種である。
僕は目視出来たその魔物達を詳しく鑑定する。
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ゴブリン (斥候)
(通常種・小鬼妖精系統・小型種)
(別名: 悪戯小鬼)
『使役可能個体』 第一次系統進化個体
・ステータスには個体差、系統差あり。
LV.10 HP.34/37 MP.20/20
STR.11 ATK.31 VIT.12 DEF.27
INT.10 REG.23 DEX.11 AGI.24 LUK.21
条件により使役可能
捕縛の魔物罠、使役強制スクロール、
従魔契約スクロール、使役の絆…etc
・必要条未達成により開示不可。
無骨な武器で攻撃する。
森で拾った錆びた武具や、木材を加
工した棍棒が基本の武器。
稀に人を襲った際に手に入れた装
備を使っている。
系統種では、ゴブリンの呪術師や
戦士、シーフ、アーチャー等武器に
よって系統が変化する。
知識レベルはかなり低いが、意思
疎通は出来る。
進化種には様々有るが一番有名な
進化先はホブ・ゴブリンであり、寿
命や知識レベルが大きく変化する。
オークの知識レベルが高い種に命
令されて共に行動することも多い。
ゴブリン棍棒、錆びた武器、錆びた鎧、
錆びた盾、木製盾、スリング、ゴブ茸
各貨幣、ゴブリンの指、ゴブリンの耳、
ゴブリンの心臓、小魔石、中魔石…etc
上記部位は武器、防具、etcは素材に
使用可能。
攻撃・防御:
斬撃、殴打、噛み付き、引っ掻き
系統変化先(進化先)
・ホブ・ゴブリン
・小鬼
LV、経験値不足で鑑定不可。
稀に宝箱を落とす。(ダンジョン個体のみ)
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