第77話「規格外って何よ?……水槍撃で殺っちゃって良いって振りだよね?」

「わたしとコイツらの約束なんだそれが…あんたも昨日見ただろう?コイツの規格外さを…今目の前で見せた美香の力を?それを護るのが今のわたしの役目だ!ファイアフォックスが受けた仕事だ!あんた達貴族の自由にはさせない為もある…意味はわかるだろう?」




「あんたと、男爵を信じてない訳じゃない!いい騎士で良い領主と評判だからね…でもそれとコレは別だ!他の馬鹿どもがやることにコイツらが巻き込まれて苦しむのがダメなんだ!その為にはあんた達がまず黙ることが前提だ!いいね!コレは絶対だ!」



「大丈夫だ!他言しない制約の魔法契約でも何でも結ぶ!黙っているだけだろう?話さなければいいんだろう?わかった!今書類があるなら全員に書かせよう!今ここで!だから依頼を受けてくれ!今この町で依頼を受けられる冒険者はそうはいない!」



「更に化け物みたいな魔物を討伐できそうな実力者は彼以外皆無なんだ!ここしかないんだ!」



「わかった…」



「ベン!後でマッコリーニが来る予定なんだが、悪いが今から一走り向こうまで行って魔法契約書を多めに持ってくる様に言ってくれ、ここにいる人数分は最低限必要だ、あとは…男爵と奥さんと…予備に数枚あるといいね。」



「解ったぜ!エク姉さん!じゃあベロニカに護衛させてマッコリーニの旦那を男爵邸に派遣すればいいんだな?んで、ここの全員に契約書にサインさせとけばいいのな!」



「流石うちのメンバー!話が早いね!契約書の文言はすでにマッコリーニに昨晩伝えてある…じゃあ頼んだよ!じゃあ馬でさっさといくか!歩いて行ったら間に合わないからね!」



 エクシアにそう言われてギルドの前に馬を用意するギルドの男性…自己紹介も無いので誰かも分からない…



「ああ!わかった!じゃあ行くか!ゲオル、それとベン一通り終わったらお前さん方は他のバカ犬がちょっかい出さない様にここを見張りな!」



「ロズ!行くよ!美香はあたしの後ろだ、ヒロは…」



「私が責任を持って魔導士様をお守りします!この騎士テロルが!!」



「あ…ああ…ああそうかい…へぇ…乗せてくれるのかぃ…じゃあ頼んだよ!さっきもちょっとばかり言ったが…ちゃんと改めて言っとくけど…そいつ規格外なことするからな?」



「き…規格外?」



 失礼な…全くもって〜失礼な…この間は洞窟だと思ったらダンジョンで、行きたくなかったけどなし崩しで最下層に行く事になっただけで…



 何故か今僕はイキイキとしたテロルの馬の後ろに乗せられている…そしてエクシアの乗っている馬には美香も乗っている…



 よし!規格外なことをすると言ったんだから〜やっていいと言うことだ!魔物に魔法ぶち当てて発散しよう!そうしよう!




 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー



「うりゃーーー!八つ当たり!水槍撃!!!」



 下半分が槍衾で貫かれる…アイアン・ソー・マンティス…口が空いたまま閉まらない騎士テロル…僕らを放置して男爵邸に馬で走っていくエクシアに同乗中の美香と並走するロズ…。



 どうしてこうなったのかと言うと…



 各種依頼にエクシアがサインをしたのち速やかに騎乗する3人だが僕と美香は馬に乗った事が…と言いたかったが美香は難なくエクシアの後ろに跨り、振り落とされない様にエクシアに抱きつく…。



 情けない…僕だけ時間がかかった…兵士2人に手伝ってもらい時間をかけてなんとかテロルの甲冑にしがみつく…走り出した時は怖くて落ちそうだった…それを見た3人娘はひたすらに笑っていた。



 美香は以前にも乗馬経験があったらしい…彼女的に異世界でのはじめての乗馬は楽しい思い出の様だが僕はそうはいかなかった…。



 クリスタルレイク領の手前で一度打ち合わせになる…



「いいかい!ここからは慎重に馬を走らせる!いつ出会すか分からないからね。」



「魔物が出たら…ある程度距離を保ってロズとテロルが盾役として引き付けて私がメインで攻撃する。ひろはサポートでチャンスがあったら魔法で、美香は安全を確保しながら距離を保つ事…」



「いいかい!2人は何があっても絶対に近接戦闘に参加しない様に!絶対的距離を空けて保つんだ!」



 そうしていると、遥か上空からクルッポーが帰ってきた…。



 美香の肩に止まると、嘴をある方向に向ける…多分そっちの方向に魔物が居るのだろう…かなり上から降りてきたのは魔物に見つからない為だろうか?



 鳩の割には頭がいい様だ。



 僕は馬へ乗るのが慣れていないので、ロズが前に乗る様に勧めた…万が一の落馬を避ける為だ。



 テロルさんは身長も高く、前に僕が居ても視界もとれて馬の操作には問題がない様だ。



 しかし僕は実際前に乗ってみると別のことが出来ると考えていた…馬を走らせながらのウォーターバレット…相手が早いならテロルさんが操る馬に足役になってもらい僕が撃てば早いと思ったのだ。



 なので僕は途中で馬の前側に…テロルさんが僕を抱える様に乗せてもらった…理由は「万が一」魔法を放った場合反動で後ろにいかない為で落馬も防げて一石二鳥!…そう「万が一」だ!



 でもテロルさん的には僕より女性の方がいいはず。





 少し走ったところで魔物を見つけた…と言うより見つかった。



 向こうの方が獲物を見つけるのに優れている…何故ならハンターで有名な蟷螂だ。



 見つけた時はその周辺の村から手に入れたのであろうか…腕の鎌で押さえつけて馬を食べていた…既に絶命したであろう大きい馬を両手の鎌で支えながら食べているので相当な腕力があると思われる。



 身体の緑色に比べて腕の付け根くらい迄の色が黒鉄色なので、どう見てもあのカマはやばそうだ…どう見ても硬くて鋭いだろうと想像がつく。



 ベロニカさんが居ればもっと早く見つけられたのだろうが、僕の敵性有効感知範囲はベロニカさんより狭いのだ。



 少しでも有利になる様に空間感知に意識を傾けていたが…この辺りは感知するよりも平原なので目視した方が早かった…。



 テロルさん曰く、暫く行くと村がある場所らしく良く行くらしいが、この辺にはあんな魔物をただの一度も見たことがないそうだ…僕は念のため鑑定して相手の情報を頭に叩き込む…なんと通常種ではなく…よりによって特別種だった。





◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


鉄鋸蟷螂 (特別種・巨大蟷螂系統・中型種)


(別名: アイアン・ソー・マンティス)


『使役可能個体』 第二次系統進化個体 


・ステータスには個体差、系統差あり。



LV.10 HP.55/57 MP.41/41


STR.17 ATK.41 VIT.12 DEF.34


INT.14 REG.31 DEX.20 AGI.40 LUK.47



    条件により使役可能

 捕縛の魔物罠、使役強制スクロール、

 従魔契約スクロール、使役の絆…etc


 ・必要条未達成により開示不可。



  巨大な鎌で対象を補足し巨大大顎で獲物

 の肉を噛みちぎる。


  巨大な鎌は非常に切れ味が鋭く、系統種

 により鎌の硬度と形が違う。

  特別種になると鎌の硬度は鉄並みに硬い

 並の武器ではその鎌を傷つけることも出来

 ない。


  体には無数の棘があり、特別種になると

 硬度が鉄の様に硬い


  大きい複眼は死角を補い高度な索敵及び

 危機感知に役立つ。

  更に遠くを細かく見る事ができより効率

 的に獲物を見つける事ができる。


 鋭い鉄鎌、鉄針棘、マンティス翅、複眼、

 薄くてしなやかな腹膜、強靭な外皮、大顎

 頑丈な頭外皮、強靭な脚、保護色外皮

 小魔石、中魔石…etc


  上記部位は武器、防具、etcの素材に

  使用可能。


 攻撃・防御:


  大顎、鋭い鎌、鋭い棘、短距離飛行、

 色素変化



 系統変化先 LV、経験値不足で鑑定不可。


 稀に宝箱を落とす。(ダンジョン個体のみ)


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇



 巨大蟷螂は僕達を捕捉すると、羽根を使って短距離飛行で一気に距離を縮めて来た。

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