第54話「アラーム罠の結果は職員さんでほぼ確定?」

「ポーション初級でヤバめの傷も1発で、中級で患部にかけた後に充分飲む量があるしな、高級は大きな裂傷でも死ぬ前だったら大概完治する。部位が吹き飛んだら傷口が盛り上がりながら塞がる効果も期待できるしな。まぁ重要器官が全滅すれば流石に死ぬがな」



「だから大概の冒険者は買い置きしてるわな、俺らもポーションは何個か常備してるし最低限中級は人数分ある。高級は活動費もあるから売りに出してるけどな、ものの数分でお買い上げありがとうございます!って感じだな!」



「え?だとしたら…傷の回復ってどうしてるんですか…通常は?」



「あん?ああ!貴族はどんな傷でもポーションってのは本当だったのか!そりゃーー羨ましすぎるだろう!」



「俺たちは傷薬だよ…薬師の奴らが作る軟膏とか傷薬を買って飲んだり塗って治すんだ。結構治りが早くて2日もあれば完治するよ。良いなーポーション使いまくりの生活。」



「あとは回復師の回復魔法とこれまた『回復薬』だなこれは回復師しか作れない薬で神聖魔法の効果が含まれているんだ。過去には錬金術師ってのが居たらしくてソイツ等はポーションまでなんでも作っちまうらしい。すげぇよなそんな居たら売ってボロ儲けだよな!でも残念ながら今はもういないって話だがな。」



「話は変わるが、レッドアイズのあのミミって子は本当にめっけもんだな!ちょっとうっかりっ子だけど、それ差し引いてもマジで当たりだよ。大丈夫だミミが言ってたあんたの秘密事項は聴かないぜ!学んだからなそこは!」



「あそこのパーティーってさ、回復師に薬師……すげぇパーティーになる予感しかないぜ!」



「そうね!薬師が居るのと居ないのでは生存率が大きく変わるものね!そう言えば、結菜さん?あと美香さん?あの人達も薬師持っているみたいね?エクシアさんの指示で薬草と軟膏入れ買い漁ってて…あの結菜さんはあっと言う間にすごい量の傷薬と塗り薬作ってたからビックリしたわ。」



「村のベンチでエクシアさんと、マッコリー二さんの娘さんの次女達と彼女たちで山盛り作ってて何個か売ってもらったけど…これ中級軟膏位の効果があるのよね。使ってみたら。」



「それ本当か!幾らだった?安いなら俺も欲しい!」



「結菜さんと、美香さんに言えば売ってくれるわよ?今日また昼位に作るから是非また買いに来て言われてるから、この解錠作業終わったら余分に……腐るものじゃ無いし最低5個は買う予定よ?後々使うだろう傷薬も今日は買う予定。」



「金額は店売りの2割引って感じで安かったわ!だから多めに買えるしね。後で一緒に行く?」




「行く行く!丁度軟膏を次の村で買おうと思ってたんだよ!安くて、まぁまぁ?な効果だったから…前通りがけに買ったらさ。中級軟膏くらいの効果で店より安けりゃ絶対買いだよ!」



 エクシアさんは僕がダンジョン散歩中に薬師持ちスキル皆で薬師のレベル上げに励んでいたようだ。



 結菜も美香もそんな話がなかったので、コッソリ努力しているようだ…僕も負けては居られないと思った。



 そうこう話していると、ルーナが解錠を終えたようでギギギギギギと音を立てて宝箱が開く。



 ルーナは見事にBランク宝箱の毒矢、仕掛け矢の複合罠を解除して開けて見せた。



「ふぅ!Bランク宝箱って言うのはなかなか骨が折れるわね…」



 僕はビックリした…箱のランクを言い当てたのでそう言う箱限定な鑑定持ちなのかと思い、気がついた時には既にちょっと不思議な言葉遣いで質問していた。




「えっ?なんで箱のランクと『矢と毒矢』の複合罠だって分かったんですか?」



「何言ってんだよ!俺たちシーフだぜ?箱の罠とか箱のランクくらい見分けがつくよ。ちゃんとギルドで特訓してるしな!これでもちゃんとした冒険者であって、街のゴロツキじゃないからな!俺が開けたのだってA+の毒矢だって分かってたぞ?」



 箱を覗き込んでいたルーナの代わりに僕の質問にピックが答えてくれた…質問した内容があたかも僕が知っていた口振りだったのでその事に気がかなかった事にホッとする。



 先程解錠してくれた時はピックの言った箱情報を聞き漏らした様だ。



 まぁ、万が一なんで知っていたかと聞かれたら鑑定スクロール使ったと言うつもりだったが、聞いていたのがピックで良かったと思えた。



 解錠した二つ目の宝箱の中に入っていたアイテムは


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


銀貨袋(100枚) 1袋

+3ダガー 1

+1バックラー 1

ホビットの早撃ちスリング 1

高級傷薬(缶入り) 1


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


 覗き込んで鑑定する…先程よりは数が少ないがB+の宝箱だから出る量的にはこんなものだろうか?



「ねぇ?ヒロさん一人で『洞窟』の敵を倒して回ったのよね?」



「はい…そうですけど?」



「ねぇピック…一人でダンジョン探索する時に出るアイテムって大概1個じゃなかったっけ?多く出て2個で本当にツキに恵まれて特級でアイテム出た場合が3個?貨幣は別として考えても…でも通常金貨袋とかも宝箱だと宝物って感じでここまで多く出ない気もするけど…」



 ルーナが気になることを言い始めた。



「まぁ俺もさっき、数は多いと思ってたんだが…そう言えばこれ出した時は一人だったんだよな?パーティー組んでる時くらいの量っちゃ…そんな気もするな。でもエクシアさんも一人だってんだから間違いはないだろう?あんなに焦ってたしなロズさんだって。」


「まぁ箱ランクが高くなれば良いアイテムも多く出やすいとか、並アイテムの場合数が出たりとか聞くから何ともだけど、まぁ大当たりだったのかもしれないわね」



 思い起こすと僕は、モンブランと水っ子を常に化現した状態で闘っていたが…それが影響するのだろうか?水精霊と話したことはミミがうっかりバラしたが、一言一句全部洗いざらい僕が全員に話した訳では無く伏せるべき所は黙っていた…のだが。



「あれじゃないですか?この『洞窟』今まで誰も入ってなかったじゃないですか?だからその分が回ってきた…とか?」



「「確かに!それは盲点!」」



「考えられるな!未踏破区域の宝箱はレアモノが多いと聞いたことがあるぜ!手がつく前だから一点物も出ると…前に連合討伐戦で実物見せてもらったし。」



「そうね!私もあるわ!今回の宝物も考えれば一級品だった気もするし。レンブランの街にあるダンジョンとは比べものにならない質だったわ…階層が3階なのに!」



「確かにな!でもこのダンジョンはもう入れないからな…深化させないように!ってエクシアさんが耳にタコができるほど言ってたからな。」



「そうね、このダンジョンは村長も奥への道を落盤の恐れがある為って理由で封鎖するって言ってたから、調べようがないわね。残念……まぁ水精霊を崇拝する村人に水精霊いるけど実はダンジョンでした!なんて言えないから当然よね。」



 僕はここに年に最低限1回は来ないといけないので、同じギルドのメンバーになったら折角だから彼らにも手伝ってもらおう。


 各階層をチェックするのも分岐路は数人で見れば早いだろう。最下層だけは僕が行けば済むし、それに宝箱開けるのも異世界系の例の箱が出たりしたら困るから中の方がいいし…。



 そして最後の箱を鍵穴から中を見て…ルーナとピックが



「「あれ⁉︎アラームだ!」」



 …と言って僕をまじまじ見ていた。




「すごい偶然ね!これで試せるじゃない!アラーム!」




「だなぁ!これはあれだ!クダンの正夢ってやつだな!」




「はははは!そうね!まさにその通りね!」



 異世界の諺だろうか?かなりヤバイ正夢になりそうな諺だ…凶報を伝えるクダンの正夢なんか冗談じゃない…と言うかクダンの凶報は当たるんじゃなかっただろうか?同じ意味な気もする。



「そんな物騒な正夢いやですよ!」



 と言うと、



「クダンと会ったことあるのか!良く無事だったな!」




 笑いながらピックが答えて、それを聞いたルーナも続けざまに笑ってる…こっちの世界ではリアルにいる可能性がある…魔物として。



 ルーナとピックが罠解除のそぶりも見せずに箱を開けると…



「冒険者様失礼いたします。」



「マッコリー二様のご令嬢様が、ヒロ様と言う方をお探しで先程こちらに来られたのですが、もしやおいででしょうか?ルーナ様とピック様お二人にこの場所はお貸しの予定だったので、居ないと言ってしまったのですが?他の事務員が3名で入るのを見たと言いましたので……」



「作業における人の名前さえ書いて頂ければ基本入室人数に制限は御座いませんが、此方としても記入頂いたそのお名前でしか答えられなかったので………大変申し訳ございませんが此方にいらっしゃいましたら後程マッコリーニ商団のレイカ様の処までお願い致します」



 と言って急にドアからギルド職員が入ってきたので、思わずビックリした3人だった。









==登場人物・用語集==


『精霊』


モンブラン(性別不明) (聖樹の精霊)

水っ娘ノーネーム(水の精霊)


『ギルド』


ギルド・ファイアフォックス  ギルド等級 銀3級


紅蓮のエクシア R「ギルドマスター」♀ (銀級2位)

ロズ(戦士・タンク)♂銅級3

ベン(戦士)♂銅級3

ベロニカ(弓使い)♀銀級3

ゲオル(魔法使い)♂銀級3


ザッハ「サブマスター」♂

リープ(事務員)♀

フィーナ(販売員)♀

ゴップ(解体担当)♂



マッコリーニ商団


パーム(妻)♀(店長)

レイカ♀(娘)

ハンス(執事)

御付き1♀

御付き2♀


売り子A♀

売り子B♀

売り子C♂

売り子D♂


水精霊の洞窟村


レン爺 (村長)♂

バフゥ (武器屋の親父)♂


飯屋の女将 ムイムイ♀

飯屋の料理人 ドムドン♂

飯屋の娘 メイメイ♀



冒険者パーティー


スノウ・ベアー


銅級4人組冒険者、R戦士(ショウ3位)、タンク(ペタ3位)、シーフ(ピック3位)、レンジャー(ゼム3位)


男4人標準パーティー



レッド・アイズ


銅級5人組冒険者、R戦士(ルーム3位)、タンク(バウ3位)、魔法使い(ゼムド3位)、回復師(ルーナ3位)、薬師(ミミ4位)


男3人、女性2人の回復特化パーティー



アイアン・タンク

銅級4人組冒険者、Rタンク(ダウ3位)、タンク(ガウ3位)、回復師(マウニー2位)、シーフ(ルーナ3位)


男2、女性2の重装型パーティー

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