第33話「異世界の祝福?粗大ゴミの間違いじゃ?」

エクシア達が僕を探すために洞窟へ行く準備をしている間、当事者の僕は?と言えば…







 僕は教えてもらった通りにハイド・クロークを地面に置き手を当てて宝箱が出る様に念じると、クロークの下に宝箱らしき形がでて手が上に浮き上がる。



 この時点でより安全に罠の掛かった宝箱の収納、そして持ち帰る方法を確立できた。



 以前、エクシアがダンジョン内で手に入れた宝箱には罠がある場合があるが、普通に宝箱に触るぐらいでは罠は発動はしないと教えてくれた。


 大概が、宝箱を開ける行為に及んだ時で、鍵穴内部で発動したり開ける時に発動する事が多いと教えてくれた。


 爆弾や、仕掛け矢などの類は開ける時に起きる事が多いので要注意で、ガス系は鍵を開錠中にも起きる場合があるらしい。

しかし、僕がしようとしている持ち帰る方法であればそれが起きる事がない。


 なぜならば上にクロークをかけて、次元収納へしまうだけだから…衝撃も加えず、出す時も負荷を与えない。


 万が一罠にかかった宝箱があっても、今後は危険を冒さず無事持ち帰る事ができそうなので精霊達にそのことを説明する。



 階層主との戦闘で出た宝箱で、罠の掛かったものを順にハイド・クロークの収納し、いよいよ開けられる宝箱に手をかける。



 ひとまず、宝箱ランクの高い異世界からの祝福を開けてみた。

理由はランクが高い分中身が気になったからだ。


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 壊れたスマートホン (10台)

 折畳式ソーラーパネル型充電器 (1台)

 単3乾電池 10個パック (1個)

 パスタ1KG (10袋)

 トマトの種 50粒  (5袋)

 ミニトマトの種50粒 (5袋)

 1TB HDD (1台)

 懐中電灯(ソーラーパネル型) (1個)

 キャンディーアソート200個(業務用)(3袋)


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 入っていたものを取り敢えず簡易鑑定する。



 異世界の祝福といえども、呪い等かかっていないとも限らない…何せここは異世界だから。



 呪いは無かったが、鑑定結果に唖然とした…見た限り壊れた形跡のないスマートフォンだったが鑑定の結果…10台全て壊れているらしい…まぁむき出しで入っていたのでそんな気はしていた。



 パスタ1KGとか10袋の時点で10kgにもなり、地味に持ち運ぶのは重いしリュックに入れるには邪魔にしかならない…クロークに直行だけど、こちらの世界では食べられないかと思うと嬉しかった。



 トマトの種とかミニトマトの種子とかパスタに使うために入っているのか?育てるところから?としか思えないが、こちらの世界にある野菜なのかも今は判らないので大切にしておかないと…と思った。



 ソーラーパネル型充電器は前から欲しかったもので、リュックに取り付ける形状の物で物凄く嬉しかった。

何故なら、こまめに電源を切っているがそろそろ僕のスマホの充電がヤバイからだ。



 乾電池と懐中電灯も嬉しいが、この世界では魔法があるので光は困らないかと思ったが、懐中電灯はソーラーパネル型だったので電池要らずでこれはこれで使い道がありそうだ。



 単3乾電池の方は、美香ちゃんが電池予備を買っておけばよかったと言っていたので彼女が喜ぶだろう。

女子高生だから使用頻度が高いのだろう…因みに充電用の予備バッテリーも既に空だったらしい。



 1TBハードディスクは意味がわからない…パソコンもテレビもないのでコレの使い道が全くない…そして何より壊れたスマホが10台はこの時点でもうゴミ以外の何物でもなかった。



 そして最後に飴ちゃん3袋…総個数600個…業務用なら200個入ってるから1袋で良いんじゃないかな?とか思ったりしている…因みに僕のリュックにはバイト先から妹へのお土産で買ってきた未開封の飴ちゃんの袋が沢山あるので…ぶっちゃけ邪魔だった。



 手に入れたものを戦闘で邪魔になったり壊れない様に、一通りはクロークの中にしまっておく。



 僕は続いてランクDの宝箱を開ける。


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      傷薬(中) 3個

     中型ゴブ茸 5個

      水キノコ 3個

    折れたナイフ 1本

   +1ブレスレット 1個

        鉄貨 30枚


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 中身は宝箱ランクに比例するのか、今まで手に入れたランクの低い宝箱の物より若干数が多かった。

ただし、比較的何かに使う様な素材?の物が多く武器も折れてたり、ブレスレットも追加能力が無かったり…とランク相応の物だった。


 出たアイテムをこれまたクロークにしまいつつ、消えてしまう前に魔物の討伐部位と魔石も忘れずかき集める。

敵の落とした素材で初めて見たスライムの粘体は、瓶に入っていて意外と嵩張り、落ちていた魔石は(中)が意外と多かったのが嬉しく感じる。


 時々落ちていたアクア・スライムの粘体はうっすらと青みがかっていて光が反射するとなんとも綺麗で、これを加工すればパラフィンの代わりにならないだろうか?とか思ってしまった。


 詳しく鑑定すればこの粘体が何に使えるか分かるだろう。

今は最下層で水の精霊の用事を済ませて早く宿屋に帰らねば、いい加減皆が心配して探しに来てもおかしくないと感じていた。


 この階層主戦の収穫は、開けていない宝箱を含めて結構な数だった。


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    スライムの粘体 5瓶

  アクア・スライムの粘体 3瓶


      魔石(小) 10個

      魔石(中) 7個


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 全部回収した後、大きな階層主の居た空間の先に下に続くなだらかな斜面があるのが気がついた。

斜面がある辺りの壁や床は既に石造りの壁になってきていて、天井の所々が土で覆われていただけだった。


 ぬかるんだりしていないので歩きやすくはあるが、洞窟と言うよりダンジョンと言うのがふさわしい感じになってきているのであまり先に進みたくはない気もするが、水の精霊の件もあるので行くしかないのだ。



 重い足取りで斜面を降りていくが、地下2階層は結局一本道の様だった。



 その頃、エクシア達一行は洞窟の最奥部と思われていた場所に辿り着いていた。



しかし、この行動がこのダンジョンであらぬ方向に作用するとはエクシアも僕も思っていなかった…。




◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆





 最奥部と思われていた泉の壁をくまなく調べるベロニカは、皆に向かって状況の説明をする。



「まず、この壁の奥の状況だけどずっと前からこの空間があったみたいだね、石の隙間に魔石が転がっている事でこの壁付近に魔物がいた事だけは間違いない。」



「見た限り中魔石だから雑魚のスライムではないのは確かだよ。ここに残ったままで消えてないのは洞窟だからだと思うけど…ダンジョンに入った時の様な嫌な空気を感じるね。」



「ただ問題なのはどう言う訳か、この周辺が異常なほど高密度のナニカが衝突したと言う事だね。この岩の破損状態と地面の水の量から考えては水の魔法かもしれないね…。」



「美香ちゃん…ヒロは水の魔法は使えるのかい?」



「…どうなのでしょう…そんな話をしたことがないので…でも使えてもおかしくない気がします。」



「魔物が居たので咄嗟に使ったとか?そうで無ければ、多分もう村まで帰ってきてる気がしますし。」



「まぁ、早く見つけて本人に確認しよう…そして、足跡が一つ奥へ続いているからヒロの奴は間違いなく躊躇わず奥へ行っている。そして一度ここに戻ったが…何故かまた奥に行った様だね。」



「アイツは…なんで一度帰ってきてまた奥へ行くかね⁉︎最奥部は30分も歩かないって言ったんだけどね…アタシが一緒に行くべきだったわ…まったく…」



「さ、さすが…ファイアフォックスのメンバーですね!この岩壁の粉々具合から見て…水魔法でも結構とんでもないな威力ですよ!そもそも、この先に敵が居るって事を見通してないと壁に魔法なんて撃ちませんよ!流石です!」



 ヒロがまだ冒険者見習いでもない事を知らない冒険者の一言に、顔が引きつるエクシアだが…その事を言うともう一波乱起きそうだと感じてエクシアは黙っていた。



 理由を知らないエクシアと一緒に来ている冒険者達は、僕が起こした大惨事だと思い粉々に砕け散った岩壁を引き攣りながら眺めていた。







◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

==登場人物・用語集==


『精霊』


モンブラン(性別不明) (聖樹の精霊)

水っ娘ノーネーム(水の精霊)


『ギルド』


ギルド・ファイアフォックス  ギルド等級 銀3級


紅蓮のエクシア R「ギルドマスター」♀ (銀級2位)

ロズ(戦士・タンク)♂銅級3

ベン(戦士)♂銅級3

ベロニカ(弓使い)♀銀級3

ゲオル(魔法使い)♂銀級3


ザッハ「サブマスター」♂

リープ(事務員)♀

フィーナ(販売員)♀

ゴップ(解体担当)♂



マッコリーニ商団


パーム(妻)♀(店長)

レイカ♀(娘)

ハンス(執事)

御付き1♀

御付き2♀


売り子A♀

売り子B♀

売り子C♂

売り子D♂


水精霊の洞窟村


レン爺 (村長)♂

バフゥ (武器屋の親父)♂


飯屋の女将 ムイムイ♀

飯屋の料理人 ドムドン♂

飯屋の娘 メイメイ♀

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