第32話「びっくり仰天!空間魔法」

そして、レッサー種から出た宝箱で罠の無い2個の、異世界からの祝福と宝箱・ランクDだけは開けられそうだった。

異世界宝箱は今開けられてよかった…この箱は異世界に居る僕的には正直楽しみだった。



 それに、万が一こちらの世界の人に見つかったら危険かもしれないので罠がなく何よりだった。



 モンブランも水の精霊も楽しそうに宝箱を開けるのを待っているが、ちょっとここで試したいことがあったので、その説明をさせてもらった。



 実は、さっき水の精霊さんが魔法を打ち込んだのを見てから、僕のクロークで包めば宝箱をそのまま持ち帰れるのでは?っと思ったのだ。



 早速その説明をして、罠の無い宝箱にハイド・クロークを上からかけて覆う。



 今まであった、ランクDの宝箱が見事に消えて地面にクロークがバサリと音を立てて落ちる…どうやらクロークに吸い込まれた様だ。



 そして今度は宝箱を出す為にクロークを持ち上げ中を弄る、指先に硬い箱の様な物が当たったので引き摺り出そうとするが上手く掴めない。



 これはやっちまったかも!って思って途方に暮れながら、宝箱勿体なかったなぁと思いながらクロークに収納した宝箱が出せない事を告げる。




「はははは!収納の出し方知らないでしまうなんて!マヌケね人間て!次元収納でしょ?それ?」



「その手のアイテムは手で掴めるサイズのアイテムは勿論内部を探れば出せるけど、重い物とか、魔物の体躯とかなんかしまう場合は取り出し面を下に向けて、マジックアイテムに手を当てて取り出したいものを念じればそこに出るものよ?」



「次元収納って言うのは、別の空間との接点を作り出す次元魔法の一種で、取り出し方なんて次元魔法の初歩の初歩の初歩の初歩よ!」



「えっ?次元魔法の事知っているんですか?」



「私達精霊がいる場所も別の次元だもの?詳しく説明する事は盟約で出来ないけど、この世界にあってこの世界にない場所…とでも言っておけば良いかしらね。」




 パウロの手紙に出ていた作るべきマジックアイテムの内容であり、彼等はそれを生涯をかけて研究していた…その魔法を身近にいた精霊が知っているとは思いもしなかった。



 似た単語でもある空間魔法って言うのも、もしかしたら知っている可能性がある!



「実は、聞きたいことがあったんです。」



「空間魔法LV.2って言うスキルを実は持っているのですが、コレの事で何か教えてもらえる事はないですか?今お世話になっている人も全く知らないって言う話で、もし役に立つ能力ならちゃんと使いこなしたいんです。」



「次元魔法とかその類を知ってれば…もしかしてって思ったんですよ!」



「空間魔法は文字の通りじゃない?空間を制御する魔法だから、場所を入れ替えたり、離れている物を操作したり?」



「聖樹っ子〜空間魔法は瞬間移動も入るんじゃない?他に行ったことのある場所に行けたりとかもそうね?妖精の類が良く使うけど空間操作魔法よね?」



「確かにそうね!妖精が良く使うわね〜自分を見えなくして悪戯したりとか〜良くしてるって聞いたことがある。」



「あ!あと〜空間魔法使いこなせれば〜ふがふがふがががががが…ゲホゲホ…聖樹っ子ちゃん?」



「それ…多分言っちゃだめなやつよ?精霊王が本気で怒るから!追い出されるから精霊界!」



「うぁぁぁ!そうだったわ!つい聖樹っ子と居るからうっかり話すとこだった!」



 何やらこの魔法は使い熟すとすごいことに繋がるみたいだが、精霊達の焦り様からして覚えても損はないはずだ…それで元の世界に一歩近づくならやらない手はない!と僕はコッソリ決心した。



「すいません…無理な事は聴かないので大丈夫です!」



「少しでも情報もらえただけでも助かります。因みにこれを使い熟すにはどうするか?とかは聞いても大丈夫なものですかね?」



「空間魔法自体は問題ないわ〜普通に使って行けばレベルが上がるのと、魔法はその概念を覚える事でもレベルが上がるから勉強も重要よ!」



「空間魔法のレベル1は掌握よね?確か?水っ子使えるよね?」



「うんうん!空間魔法レベル1は掌握よ。一定の距離を把握する力でねー空間認知を研ぎ澄ませばレベル上がるわよ〜」



「「空間認知!」」



「「だから空間感知覚えたんだ!反則も何も!初めから持ってるんじゃ頑張ってれば空間感知使えるわよ!」」



 見事に最後は声がハモっていた。



 僕の敵性感知に使っていた、空間感知スキルはどうやらこのスキルが原因だった様だ。



 なので、空間感知を使い続ける事で少しずつ熟練度が上がり、レベルとか上がるのではないか?と言う事だった。



 僕はこの世界に来て初めてやったのが、危険を回避する為に周りを調べる事だった。


 その時に会ったのがエクシアさん達ファイアフォックスのギルドメンバーで、当初盗賊の類だと思った僕は必死に逃げ道を探すことになり、この能力が空間把握でもあり空間認知でもあり、掌握に繋がる行為だったのだ。


 その後モンブランと会った時だが、魔の森をフォレスト・ウルフから逃げ回った…実は知らずのうちにこの時も空間認知をしながら森を爆走したのだ…危険な枝を払い除け、足元の引っ掛けそうな木の根をかわし、あの鬱蒼とした森の中たった一本しか生えていない見事モンブランの聖樹まで辿り着いた。


 手招きされていたが、枝や根を躱す能力に恵まれていなければ僕は、すでにウルフの胃袋の中だっただろう…その経験値が空間魔法のレベルを押し上げ2になった為、空間感知を覚えて現在に至ると言うわけだ。



 そして、この先の空間魔法LV3は空間確保だと言う…これはレベルが上がらないと結局意味が分からないとの事で常に僕は空間感知をしながら生活する事にした。




◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆



 僕が階層主の宝箱と自分のスキルに悪戦苦闘している時、村でも問題が露見していた。




「そ…村長!た…大変です!精霊の洞窟が!さ…最奥部と思われた場所には…さらに奥が!」



「エクシアさん!大変です!最奥部まで村人と数人と探したのですが!何処にもいないどころか!最奥部の奥に未踏破区域が!」




 村人とたまたま居合わせた冒険者のその報告に酒場は騒然とする。



「未踏破区域だって?あそこは洞窟なんだぜ?俺の小さい時からずっと!そんなものがあるはずが!」





 横にいた武器屋のおっちゃんが冒険者とエクシアの会話に割って入る。





「そうじゃ!壁の崩落で奥があったのが分かっただけなんじゃないかの?あそこは泉があり水源でもあるんじゃ。奥に空間があってもおかしくは無い。そもそも洞窟なんじゃからな。」



「先代の村長が岩を積み上げたとも考えられるしな…そこまで心配にはいくまいて」



「魔物はどうなんだい?スライム以外なのがウジャウジャいるとか…危険なスライム個体がいたとかはなかったのかい?」




 その話を聞いたロズが口を挟む。




「ちょっと待ってくれ!問題は、その奥にヒロが行ってるという事だ。既に約3時進その先に進める距離があるという事だ。」



「そうだね、問題はそこは何処まで続いているかという事と下の階層が有るかという事だ。洞窟だったにせよ危険な状態には変わらない…皆準備していくよ。」



「村人は入り口より先は入らせない様にしてくれるかい?村長さん。万が一崩落の危険があるなら二次被害も考えないといけないからね。」



「ああ…わかった。まさかこんな事になるとは仲間の無事を祈ってるよ…エクシア嬢ちゃん。」



「エ…エクシアさん…いやファイアフォックスのギルマス…俺たちも出来ることを手伝うよ!冒険者としては、まだまだだけど少しでも多い方が見つけるのも早いだろう?」




「俺たちのパーティーも洞窟探索や採集の経験もあるから大丈夫だ。力になるぜ!」




「すまないね!礼を言う。村人より冒険者の方が危険に慣れているだろうから助かるよ。」




 こうしてエクシア達は、この村に宿泊していた3組の冒険者達と水精霊の洞窟の最奥部目指して進む事になる。






◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


==登場人物・用語集==


『精霊』


モンブラン(性別不明) (聖樹の精霊)

水っ娘ノーネーム(水の精霊)


『ギルド』


ギルド・ファイアフォックス  ギルド等級 銀3級


紅蓮のエクシア R「ギルドマスター」♀ (銀級2位)

ロズ(戦士・タンク)♂銅級3

ベン(戦士)♂銅級3

ベロニカ(弓使い)♀銀級3

ゲオル(魔法使い)♂銀級3


ザッハ「サブマスター」♂

リープ(事務員)♀

フィーナ(販売員)♀

ゴップ(解体担当)♂



マッコリーニ商団


パーム(妻)♀(店長)

レイカ♀(娘)

ハンス(執事)

御付き1♀

御付き2♀


売り子A♀

売り子B♀

売り子C♂

売り子D♂


水精霊の洞窟村


レン爺 (村長)♂

バフゥ (武器屋の親父)♂


飯屋の女将 ムイムイ♀

飯屋の料理人 ドムドン♂

飯屋の娘 メイメイ♀

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