選ばれた浦島

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます」

「彼女が出来ないままクリスマスが終わってしまった……」

「バレンタインまでにはきっと出来ますよ、ドンマイ」

「それ永遠に出来ないフラグじゃん」

「そうですね」

「わかってるなら立てないでくれ」

「ですが、電撃の評価シートで、浦島殿めちゃくちゃ褒められてましたよ」

「けどそれ、浦島太郎をモチーフにした別の作品だろ? 俺であって俺じゃないっていうか」

「キャラ付けは一緒ですよ。そんな器用な書き分け、10年やってるのに低レベルで引き出しの少ない作者にはできませんから」

「ちなみに、どんな風に褒められたんだ?」

「誠実で思慮深く内面に深みがある」

「やはりその男は、俺とは別人のようだ(断言)」

「自分で言い切るのもどうなんですか」

「お前は? それに乙姫の評価は?」

「作者的には、亀も乙姫も頑張って書いたのですが、そこには何も触れられておりませんでした。選ばれたのは浦島殿」

「選ばれたのは綾鷹、みたいなノリ」

「でも結局、大元が浦島太郎なので、ハッピーエンドにはなりません」

「え、俺、乙姫と結ばれないのか?」

「恋愛に不信感しか持ってない作者がフィクションとはいえ普通の両想いエンドを書くわけないでしょう。いやいや、残念でしたねぇ。はっはっは!」

「少しは残念そうに振る舞ってくれ」

「ですが、作中でどれだけ不幸でも、読み手の心を掴んだら勝ちですよ。それが二次元キャラというものです。よって浦島殿は勝者」

「その話、直してノベルに送るんだよな。上の方まで行けるといいなぁ」

「目指すは受賞して出版、ですね。それこそフラグですけど」

「なんの、フラグは折るためにあるんだぜ」

「心強いお言葉ありがとうございます。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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