水たまりチェック
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます。シンガポールは衛生的な国で、ゴミのポイ捨て以外にも、様々な禁止事項がございます」
「たとえば?」
「シンガポール人は蚊を嫌います」
「蚊は誰だって嫌いだろ」
「そうなのですが、赤道直下で湿度が高いので、伝染病を媒介する蚊は日本以上に嫌われるのですよ。逆に、Gはあまり嫌われません」
「G?」
「ゴキ……」
「待て! その話は苦手な人もいるかもしれない!」
「そうですね、蚊の話に戻りましょう」
「蚊を嫌うのはわかったけど、具体的には何が禁止なんだ?」
「蚊の幼虫のボウフラは、滞留した水場で発生します。植木鉢の受け皿とか、掃除が不十分な洗面所とか、庭に放置したバケツとか」
「ああ」
「ある日突然、検査官が家にやって来て、このような水たまりがあると罰金を取られます」
「マジか……」
「マジなんです……ボウフラいなくても取られるんです……」
「お前は、取られた経験があるのか?」
「いいえ、わたくしは抜き打ち検査に1度も遭遇したことがありません。ですが、同僚は経験があると言っていましたね。幸い水たまりはなかったので、罰金は免れたそうですが、台所に放置していた皿を『早く洗っておけよ』と注意されたそうです」
「厳しいな……」
「彼女は『家事にまで指図するなんて!』と怒っていました。ですがまあ、そのおかげで熱帯なのに蚊が少ないので、そういう意味では大変過ごしやすかったです」
「なるほど。ゴミのポイ捨ては旅行者にも関係あるけど、その水たまりチェックは、シンガポール在住者ならではの経験だな」
「ならではの経験といえば、Gの話をしたいのですが」
「恋愛講座でそれはダメだ」
「え、これ恋愛講座なんですか?」
「驚くんじゃねえよ講師はお前だろ」
「そうでした、では次回はしっかり離婚の話をします。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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