ボーナス
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます……」
「どうした、元気ないな?」
「ずっと楽しみだった会社の忘年会が、今年は中止になってしまったのです」
「そっか、残念だったな」
「ショボーン」
「けどお前、人と会話するのは苦手だろ? 忘年会が中止になったら、むしろ喜ぶかと思ったけど」
「会話はもちろん苦手ですよ。ですが、会社の費用で高い酒を飲みたかった」
「そういう理由か」
「計画は完璧だったのです。行く予定だった店のメニューを調べ、何を飲むかリストアップし、当日はすみっこの席に座る予定でした」
「すみっこの席?」
「追加注文しやすいからです。途中で帰りたい派 vs トイレ近い派 vs 飲み食いに集中したい派で、すみっこの席は毎年奪い合いになるのですが」
「イス取りゲームだな」
「ですが、そんな計画も水の泡です。ならば仕方ない、ボーナスで思い切り飲み食いするか……と思ったら、今年は業績不振でボーナスもありませんでした」
「あー、俺の周囲でも結構聞くよ」
「忘年会は中止、ボーナスもない、なのにラブラブイベントのクリスマスはある! 何なんですかこれ地獄ですか?」
「そうさ、非モテにとって12月は地獄なんだ」
「バレンタインのある2月も地獄ですけどね」
「海とか夏祭りとか、夏も地獄だよなぁ」
「人肌恋しい秋も地獄なのでは?」
「もう一年中地獄じゃん」
「オールシーズン、年中無休、24時間地獄ですね」
「コンビニかな?」
「我が家は田舎なので、近所のコンビニは20時に閉まります」
「不便すぎる」
「ですが、昔はなかったので、あるだけ有り難いと思いますよ。交際期間が長くなると、恋人はいて当たり前のような存在になりますが、相手がそばで生きていることに改めて感謝したいですよね。皆様、クリスマスはそんな日になさってください」
「大事なことだな」
「いいこと言ったのでボーナスください」
「イヤだよ」
「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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