永遠の愛(仮)

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。あなた方は、神の御名の元、ここに夫婦となり永遠に愛し合うことを誓いますか?」

「今日は結婚式の真似事か」

「はい。そう誓ったにも関わらず、わたくしの元には一方的に離婚届が送られてきました。永遠って短い」

「ドンマイ」

「それ以来、わたくしは永遠の愛という言葉を、愉快なギャグと認識するようになりました」

「いや、ギャグじゃないだろ。プロポーズだろ」

「しかしながら、この世に存在しないものを語るのですから、それはギャグ」

「頑固だなぁ」

「ならば問いますが、どちらか今すぐ貰えるとしたら、『永遠の愛』と『一夜の愛』どちらを選びますか?」

「そ、それはもちろん、永遠の愛に決まってるさ!」

「ピコーン、うそ発見器が発動しました」

「なっ、何だと」

「へっへっへ、隠す必要ないぜ? お前さんも心の底では、永遠の愛なんて信じちゃいないんだろ? げへへ……」

「急なキャラ変はやめてくれ」

「とにかく、わたくしはひどい流れで離婚したので、永遠の愛は単なるギャグだと思っております。ですが、パートナーと幸せに生きる方にとって、永遠の愛は実在する確かな真実でしょう」

「まあ、そうだな」

「自分が見ている世界と、他人から見える世界は、時として違うのです。自分のフィルターが世界のすべてだと信じ込むのは危険なことではないでしょうか?」

「つまり、永遠の愛はやっぱりあるのか?」

「その可能性も微レ存」

「また古い表現を……」

「今から探しに行きません?」

「探しに行くって、具体的にはどこへ?」

「竜宮城」

「いや、そこにはないと思うぜ」

「ありますとも! 美女の歓待、魅惑的なグルメの数々、精根つきるまで夢幻の海底楽園をお楽しみあれ!」

「精根つきたら永遠の愛じゃなくね?」

「あっ確かに……。次回までにもう少し勧誘トークを磨いてきます。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

「永遠に磨かなくていいよ」

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