視力検査

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。先日、健康診断があったのですが、去年と比べて視力が大幅に下がってしまいました」

「老化じゃねえの?」

「違います。これはきっと長すぎるオンライン会議のせい。ところで視力検査といえば、今は機械で測定する場合が多いですが、昔はスタッフが棒を指して穴の向きを答える形式でしたよね」

「ああ、昭和の頃だろ? 懐かしいなぁ」

「わたくし、いきなり一番小さい丸を指されて、丸っきり何も見えなかったので、適当に『右上』と答えたら、『斜めはありません』と怒られた経験があります」

「そういう場合は『わかりません』って素直に言えよ」

「そのセリフは講師のプライドが許さない……!」

「適当に言って間違う方が講師失格だろ」

「そこはほら、失敗を恐れずに答えを言ってみる、チャレンジ精神を高く評価していただければ」

「そういう検査じゃないから」

「以上は若い日の思い出ですが、今の視力検査は機械相手なので、昔よりも気分がラクですよね」

「確かに、見えない時は黙ってボタンを押せばいいからな。『わかりません』って口にしなくてもいいし」

「まあわたくしは、見えなくても適当に答えを押しますが……」

「謎のダメ元精神」

「4択だから25%の確率で当たるはず」

「確率に頼ってる時点でアウト」

「はい。実際、このままでは次回の免許更新が通らないので、生まれて初めてメガネを作ろうと思っております」

「嬉し恥ずかし、メガネデビューだな」

「ふふふ、メガネの似合うナイスミドル講師……。正直モテるのでは?」

「だな、絶対モテるぜ。俺以外に受講生がいれば」

「そこですよね……」

「そこだな……」

「何はともあれ、メガネはモテアイテムなので、早く慣れるように頑張りたいと思います。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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