飲む・打つ・買う

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます」

「質問いいか? 下世話な言い方だが、飲む・打つ・買うって言葉があるよな」

「酒・ギャンブル・異性遊びを指す言葉ですね。それが何か?」

「お前って、酒とギャンブルが趣味だろ? となると、3つめの異性遊びも、ここで言ってないだけで実は派手なんじゃ……?」

「愚問にございますな。その発想は、近ごろ流行しているマリトッツォのように甘いですぞ」

「いや、マリトッツォは塩気があって甘くないだろ」

「わたくしが食べた物は甘かったです」

「お前のマリトッツォ、シュークリームだったんじゃねえの?」

「ガーン。それはそうと、わたくしこう見えて一途ですので、異性遊びなぞ一度もした経験がございません。先ごろ離婚した配偶者とは、かれこれ20年間も付き合っておりました。なのにレターパック……」

「その話はもう飽きたよ。とにかく、異性遊びは一切しないんだな」

「だって、考えてもみてください? 酒とギャンブルは1人で楽しめますが、異性遊びは相手が必要でございます。ぼっち、人見知り、ガチオタ、コミュニケーション能力マイナスで役満達成のわたくしには無理です」

「1人でバーに行くのも、コミュニケーション能力がいるだろう?」

「バーテンダーは基本的に空気が読めますので、こちらが話したくない時は無理に話しかけてきませんよ。逆に話したい気分の時は、酒の話をすればいいのです。たくさん質問すると喜んでくれますし、こちらも新しい知識が増えて一石二鳥です」

「カジノは? 同席者に話しかけられたら?」

「ギャンブルの話をすればいいのです」

「言葉が通じなかったら?」

「ボディランゲージと顔芸で何となく交流可能です」

「(こいつ、充分にコミュニケーション能力あるんじゃ……)」

「ともかく、異性との火遊びは、ケガをしない程度に誠実に楽しみたいですね。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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