ギャップ萌え

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。異性の意外な一面を見て、思わずドキッとすることってありますよね? 万能キャラに意外な弱点があったり、逆にダメキャラに意外な才能があったり、いわゆるギャップ萌えでございます」

「俺も、女子にギャップを見せればモテるかな?」

「ちょっと試してみましょうか。現状、浦島殿は非モテキャラですので、意外とモテた経験を披露すればギャップが発生するはずです」

「悲しい理屈だな……」

「モテたエピソード、ないのですか?」

「いいや、あるぜ! 俺、小学生の時、気になってた女子から手紙を貰ったんだ」

「ほほう?」

「わざわざ、誰もいない場所に呼び出されて、『このこと誰にも言わないでね』って念押しされてさ」

「いいですねぇ、いいですねぇ。何と書いてあったのですか?」

「『この手紙は不幸の手紙です。同じ手紙を3日以内に3人に出さないとあなたは不幸になります』」

「やだ、最低……」

「そりゃこっちのセリフだ! 人生初のラブレターだと思って期待した俺の純情を返せ!」

「大変気の毒なエピソードですが、今のはモテた経験ではなく、よってギャップ萌えも発生しません」

「それなら聞くが、お前はモテた経験あんのかよ?」

「ふははは、このメールをご覧あれ!」

「なになに? ええと、『近ごろ全然来てくれませんね。寂しいです。もっと頻繁に顔を見せてください』」

「行きつけのバーの店主から、このようなメールを毎日受け取っております」

「それ、ただの営業メールでは……」

「そうとも言います」

「そうとしか言わないだろ」

「どうでしょうか浦島殿、今のでギャップ萌え発生しました?」

「しなかったよ」

「ショボーン」

「そもそも最初から無理だったんだ。モテた経験がないのにモテ自慢なんて」

「そうですね。無理にギャップ萌えなど狙わず、非モテのまま堂々と生きましょう。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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