キャッシング

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます」

「終わった話を蒸し返して悪いけど、マカオのカジノで大負けしてフェリー代を失った後、どうやって日本に帰ってきたんだ?」

「ああ、その話ですか」

「いや、別にいいんだぜ。今ここにいるってことは、無事だったのは間違いないし。ただ、気になった読者もいるんじゃないかなって」

「クレジットカードには、キャッシングという大変便利な機能がございまして、契約内容によっては海外でも現地通貨をATMから引き出すことが可能です」

「なるほど」

「それがですね……。大負けして仕方なく帰ろうとすると、出口に都合良くATMが置いてあるんですよ。いや、搾取される側からすると、本当は都合悪いんですけどね?」

「それで、キャッシングに手を染めたわけか」

「取り返せると思った。とにかく必死だった。後悔はしていない」

「まるで犯人の供述のようだな」

「ですが海外キャッシングは総じてレートが悪く、利息も高い場合が多いので、特別な理由がない限り控えた方がよろしいでしょう。まあ、帰国便に乗れなくなったというのは特別な理由ですが……」

「それに、キャッシングには限度額があるだろう?」

「はい。わたくし、普段クレジットカードを使わないのに、いきなり海外で限度額上限までキャッシングしたので、クレジットカード会社から日本の実家に確認の電話がかかってきました」

「マジか」

「実話ですぞ……」

「ド、ドンマイ……」

「ですが、その件をキッカケに、不毛なギャンブルから抜け出すことができました。その後カジノには一度も行っておらず、今の趣味はアルコール一筋です」

「それもどうかと思うんだが」

「皆様も、課金地獄にはくれぐれもご注意を。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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