婚活疲れ

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます」

「ちょっと相談いいか? 友達が結婚紹介所に登録したんだけど、なかなか成果が出なくて婚活疲れしてるんだ。こんな時、どう声をかけたらいいと思う?」

「俺が……俺たちが独身かちぐみだ!」

「違うだろ」

「違うとわかるということは、正解もわかっているのでは? その言葉をかけたらよろしいでしょう」

「でもさ、未婚の俺が『頑張れ』とか『きっと上手くいく』とか言っても、いまいち説得力がないだろ? お前は良くも悪くも経験豊富だから、ビシッとアドバイスをくれないか?」

「なるほど、真面目に相談しているわけですか」

「お前が勝手にふざけただけで、俺は最初から真面目なんだが」

「確かに婚活って大変ですよね。お金や時間がかかりますし、異性から否定され続けると、メンタルにも多大なダメージがきます」

「下手すると、自分の存在価値を見失うよな」

「そこで質問ですが、ご友人が婚活を続ける原動力は、『結婚したい』という願望でしょうか? それとも『結婚しなければならない』という義務感でしょうか? この2つは、似ているようで大きく違います」

「どう違うんだ?」

「願望はパワーを生み出しますが、義務感は人からパワーを奪い取ります。婚活に限らず、何かをやめたくなった時は、自分の感情が願望なのか義務感なのかを自問なさるとよろしいでしょう」

「面白い発想だな」

「とはいえ、実際は両者が混在しているでしょうし、仮に婚活をやめたいと思っても急にやめるのは難しいでしょうね。その場合は、ご友人をこの講座に連れてきてくだされ。結婚の悪いところを列挙しますので!」

「生き生きしてんなぁ」

「わたくしも義務感ではなく、皆様のお役に立ちたいという願望でこの講義をするように気を付けます。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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