Re:浦島太郎

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。本日はわたくしが開発した『Re:浦島太郎』をプレイしていただきます」

「Re:だと……?」

「はい。プレイヤーは浦島太郎になって様々な選択肢を選び、原作のバッドエンドを回避するという、ノベル形式の本格派シミュレーションゲームです。それではさっそく始めましょう」

「よし、リベンジしてやるぜ! 何しろ俺は本人だからな!」

「あっ、浜辺で亀がいじめられています! どうしますか?」

「(素通り)」

「えっ……嘘……」

「ふはははは、これでバッドエンド回避だぜ!」

「この場合、プレイヤーは通行人Aとなり、次に通りかかった男性に浦島太郎の役割が与えられます。やりましたね、モブエンド回収ですぞ!」

「ある意味バッドエンドより悲しいのでは」

「開始1分でゲームオーバーですからね」

「いや、次こそは! もう1回やらせてくれ!」

「あっ、浜辺で亀がいじめられています! どうしますか?」

「助けたらバッドエンド! 素通りしたらモブエンド! ならばここは、もっといじめるのが正解だ!」

「音声認識機能がありますので、何かセリフを言ってください」

「最近のゲームは、主人公より悪役の方がモテるって聞くし、どうせなら思いっきり悪い方がいいよな……?」

「ほら、早く」

「ガキ共よ、棒でつつくなんてなまぬるいぜ? コイツは今からスッポン鍋だ!」

「そんな! 確かにスッポン鍋はコラーゲンたっぷりで滋養強壮、美肌効果も期待でき、関西では丸鍋と呼ばれる高級料理ですが、鍋にするなんてひどいです! なお旬の季節はスッポンが冬眠に入る直前の秋!」

「溢れ出るステマ感」

「ともかく、今の浦島殿の発言は許せないので、竜宮城に監禁して乙姫に呪ってもらいますね」

「結局バッドエンドじゃないか!」

「無料版はここまでです。ハッピーエンドは課金しないと解放されませんぞ」

「完全にクソゲーだな」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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