ジューンブライド

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。6月といえばジューンブライドですね」

「6月に結婚した花嫁は幸せになれる、ってやつだろ?」

「はい。由来については、3つの説が存在します。1つ目は、ローマ神話で結婚を司る女神ユノが、6月の守護神だから……という説です。6月は英語でJuneですが、これはJuno(ユノ)が由来とも言われております」

「なるほど」

「2つ目は、春は農作業の繁忙期なので、古代ヨーロッパでは3月~5月の結婚が禁止されていたという説です。だから6月になると、結婚する人が一気に増えるわけですね。そして3つ目は、単純に気候がいいからという説」

「そうか? 6月といえば梅雨じゃないか」

「日本ではそうですが、あくまでヨーロッパの風習ですからね。ところで、結婚式といえば欠かせないのは、クライマックスを盛り上げる花嫁の手紙です。今は離婚した筆者も、かつては花嫁の手紙を書き、結婚式で読み上げました」

「泣いたか?」

「泣きません。というか、筆者は文章を書くのが生き甲斐なので、『プロの手紙聞かせてやんよ!』という意気込みで書きました」

「プロじゃないよな」

「突っ込んではいけません」

「それで、評判は?」

「手紙の内容自体は良かったと思いますよ? 朗読も、たくさん練習したので詰まりませんでした。ただ、そのせいか、後で『あっさりだったね』と言われてしまいました。それで悟ったのですが、花嫁の手紙の文章は下手でもいいし、途中で泣いて詰まってしまう方がむしろ可愛いのではないかと……」

「確かに、俺も結婚式たくさん出てるけど、手紙の場面で泣かなかった花嫁は見たことがないな……」

「わかりました。次回結婚する時は泣くようにします」

「また結婚するのかよ」

「いや、しませんけどね。とにかく、これから結婚なさる花嫁の皆様は、筆者の失敗例を参考になさってください。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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