婚氏続称

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。今日は中間テストに備えて、先月の講義を復習しましょうか。結婚して配偶者の苗字を名乗っていた人が、配偶者の死亡後、旧姓に戻るための届出を何というでしょう?」

「復氏届(ふくうじとどけ)だな」

「正解、よく勉強してますね!」

「お前は離婚大好きだから、苗字うんぬんの話は、絶対テストに出ると思ってな」

「やだもう、浦島さんったら私のことわかってるぅ~」

「ぶりっ子はやめろ」

「それでは今回は、新しい話をもう1つ。離婚すると通常は旧姓に戻りますが、実は配偶者の姓を名乗り続けることも可能です。これを婚氏続称(こんしぞくしょう)と呼びます」

「え、そんなことできるのか?」

「はい、意外でしょう? 実はわたくしも知らなかったのですが、離婚届を提出した際、区役所で色々と説明を受けましてな」

「だからお前、やけに離婚関係の手続に詳しいんだな……」

「人生経験が豊富だと言ってください。なお、提出する書類は『離婚の際に称していた氏を称する届』です。長いですが、これが正式名称です。ちなみに配偶者の同意は必要ないので、安心して提出なさってください」

「けど、別れた相手の姓を名乗り続けるってどうなんだ?」

「心情的には複雑でしょうが、離婚を周囲に知られたくないとか、子供がいる場合は苗字を合わせたいとか、人それぞれ様々な事情があるわけですよ」

「まあ確かに」

「この届出は、離婚時に同時提出するのが基本ですが、3か月以内であれば後から提出することもできますぞ」

「よく考えて決めたいところだな」

「ですね。結果どちらを選ぶにせよ、選択肢があるということ自体は、知っておいて損はないと思います。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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