生体認証
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます」
「聞いてくれよ、俺新しいパソコン買ったんだけど、顔認証の機能が予想以上に便利でさ」
「顔認証?」
「ああ。パソコンの内蔵カメラで利用者の顔を識別して、自動的にログインできるってシステムなんだ」
「顔で判断する? 中身よりもルックス優先とは、わたくし失望いたしました」
「いや、そういう話じゃないから」
「ふん! そんなもの、そのうち誤作動して困るに決まっています!」
「何キレてんだ? あ、そうそう、最近買ったスマホには指紋認証もついててさ。パスワードを入れなくても、触っただけでログインできるんだぜ」
「そんなお触り大好き男だったなんて、がっかりです」
「いや、だからそういう話じゃないから。お前、今日どうしたんだ?」
「わたくしは亀ですので、顔認証も指紋認証も使えませんでな」
「あっ……」
「まあ、変な嫉妬は見苦しいので、今回は浦島殿の話に付き合いますぞ。というわけで続きをどうぞ」
「いや、前にスマホチェックの話があったけど、指紋認証を使えば、彼女はログインできないと思ってさ」
「ですが、寝ている彼氏の指を押し当てれば、パスワードよりむしろ確実にログイン可能では?」
「一緒に寝るくらい深い仲なら、携帯チェックなんてしないんじゃないか?」
「逆ですぞ。泥沼に陥ったカップルこそ、別れる根拠やら何やらで、携帯チェックされる可能性が高いのです。隠しカメラや盗聴器にもご注意を。浮気の証拠をつかまれると、慰謝料交渉で圧倒的に不利になります」
「リアルすぎる……」
「もちろん理想としては、浮気もスマホチェックもせず、互いを信頼し合うのが一番ですけどね」
「そうだ、お前って亀だけど喋るから、声紋認証なら使えるんじゃないか?」
「ちょっと試してみます。……あっ、認識されました。いやはや、生体認証は便利ですなぁ!」
「手のひらクルー」
「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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