亀と浦島の恋愛講座

テーブルマナー②

「それでは一皿目、コルニッションとシャンピニヨンのエキュームを召し上がっていただきましょう」

「フランス料理の名前って意味不明だよな。まあ、とにかく食うか……って、こんな時に電話鳴ってる！？」

「早く出た方がよろしいのでは？」

「あ、ああ！　すぐに戻ってくるから待ってろ！」

　　　　　＜5分後＞

「ただいま～。あれ、料理は？」

「残念ながら、2問目と3問目が不正解だったので没収となりましたぞ」

「いや、まだ何も答えてないじゃないか！」

「2問目と3問目は、浦島殿の離席時のマナーを試すクイズでした。問題を読み上げましょうか。食事を一時中断する際にナイフとフォークを置く位置は？

　①皿の横のカトラリーレストに置く

　②皿の上にハの字にして置く

　③皿の上の4時の方向に置く」

「え、そりゃお前……①だろ？」

「残念、正解は②です」

「いやいや、俺小学校の授業で、①って習ったんだけど！」

「それはおそらく和食のマナーでしょうな。そうです、和食の場合は箸置きに置くのが正解です。なお③は終了の合図ですから、皿を下げて欲しい時は4時の方向に置きましょう」

「俺は由緒正しき日本の昔話の主人公だから①で正解だな」

「そして、3問目はこうでした。一時離席する際にナプキンを置く位置は？

　①テーブルの上

　②イスの上

　③イスの背もたれにかける」

「え、①だろ……？」

「和食のおしぼりは確かにテーブルに置きますが、正解は②です」

「また和食か！」

「①は終了の合図なので、食事を下げられてしまいますぞ。というわけで浦島殿、何も食べられず残念でしたな……」

「もうイヤだこの講座」

「和食のマナーも大事ですが、少し気取ったデート、両家の顔合わせ、友人の結婚式など、最近は洋食のコース料理も多いですからな。この機会に覚えてくだされ」

「そもそも俺、食事の歓待はトラウマなんだ……竜宮城的に……」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」