復氏届

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。現在の日本では、夫婦別姓は認められておりませんので、結婚したら夫婦どちらか一方の姓を選択する必要がありますな。通常は男性の姓を名乗るケースが多いでしょう」

「その問題、ニュースでよく議論されてるよなぁ」

「はい。ただまあ、人によっては、好きな男性の姓を名乗ることに喜びを感じる場合もありますからな。かくいう筆者も最初はそうでしたよ。まあ最初のうちだけで、今は離婚して旧姓に戻りましたが!」

「また離婚の話か」

「ところで、離婚したら旧姓に戻るわけですが、たとえば夫が死んでしまった場合はどうなるのでしょうか?」

「え、そりゃ当然、夫の姓のままじゃないのか?」

「そう思っている方が多いですが、実はその場合、旧姓に戻すことが可能です。その際に市区町村へ提出するのが復氏届でございます」

「なんと」

「若いうちに配偶者と死別した場合などは、その先もまだ長い人生がありますからな。夫の姓のままでは、心情的に新しい男女関係に踏み出しにくいでしょうし、そういう場合はいったん旧姓に戻すのも良いかと存じます。もちろん、復氏届の提出は任意ですので、夫の姓のまま過ごしても問題はありませんぞ」

「知らなかったよ。この講座って、普段はつまらないコントなのに、たまに社会制度に関する重要な情報が出てくるよなぁ」

「まあ、わたくしも色々苦労しましたので……。せめて今持っている知識は、後輩の皆様に役立てていただけるよう、すべて伝授したい所存です」

「亀が珍しく講師らしい台詞を口にしている……!」

「いやいや、いつも講師らしいでしょう? とにかく、配偶者の死別など縁起でもない話ですが、いざという時のためにこういう情報は知っておいて損はないかと思います。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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