恋愛とは

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。そもそも恋愛とは何なのでしょうか?」

「突然始まる哲学」

「いえ、この恋愛講座、役に立たない旨は注記しておりますが、あまりにも迷走しており読者に申し訳なく思えてきましてな。そこで今回は、基本に立ち返るため、恋愛という単語を辞書で調べてみたいと思います」

「確かに基本は大事だよな」

「まず最初は、三省堂国語辞典です。恋愛とは『恋をして、愛を感じるようになること』」

「そのまんま過ぎる」

「それでは、大辞泉を引きましょうか。恋愛とは『特定の異性に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、男女が互いにそのような感情をもつこと』」

「どう特別なのかって部分、もう少し説明が欲しいな」

「新明解国語辞典は、少しばかり長いですぞ。恋愛とは『特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと』だそうです」

「それ、情緒不安定なのでは?」

「はい。しかもこの説明だと、他の全てを犠牲にする覚悟がなければ、それは真の恋愛ではないということですな」

「重い……」

「ですが、当たっているのではないでしょうか。恋愛とはそもそも強力な執着です。想いが叶う喜びと、想いが叶わぬ悲しみは、実のところ表裏一体だと思いますぞ」

「楽しいだけの恋愛はないし、逆に、悲しいだけの恋愛もない。そういうことだろうか?」

「ええ、実に奥深きものでございますな。というわけで、これからも少しずつ、わたくしと一緒に理解を深めていきましょう。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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