かれしがほしい

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。わたくし先日、図書館へ行ったのですが、そこに地元の小学生の作文が掲示されておりましてな。ちょっと読んでみたら、小学1年生が書いた作文で、テーマは『2年生になったらやりたいこと』でございました」

「ああ」

「多くは『べんきょうをがんばる』とか『もっとおてつだいをする』とか、微笑ましい内容でございました。しかし、中に1枚、『かれしがほしい』と書かれた作文がありましてな」

「彼氏が欲しい? 別にいいんじゃないか?」

「しかし、書き手は小学1年生でございますぞ! おそらく7歳ですぞ? その年齢で男女交際などとまあ!」

「確かにちょっと早い気もするな。少女漫画の影響だろうか?」

「だとしても、まるで死に急ぐような行為ではございませぬか! そもそも現実世界の恋愛など、少女漫画のように楽しく美しいものではございませんぞ? 裏切り、騙し合い、痴情のもつれ、義実家との微妙な関係!」

「うーん」

「そういうものは、大人になったら否応なく直面するのですから、女児は女児らしくプ○キュアでも応援していればよろしいのです」

「でも、それって大人の決めつけじゃないか? 恋に憧れる気持ちも、恋人が欲しい気持ちも、俺はわかるけどなぁ」

「それはまあ……わたくしだって、別にわからなくはありませんとも。ただ、苦味を味わった先達として、思わず警告したくなった次第でございます」

「恋愛って楽しいだけじゃないからな。でも、だからこそ、たくさん経験を積む必要があるんじゃないか? ほら、自転車だって、たくさん転んで乗れるようになったわけだし」

「一理ありますな。さすがは浦島殿、日本が誇るウルトラバッドエンド作品の主人公でございます。わたくし考えを改めましたぞ」

「その子には、彼氏と幸せになって欲しいよな。あ、あと、もし恋人ができなかったら俺がなってやるぜ!」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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