壁ドン

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。今回は浦島殿に、壁ドンの練習をしていただきます」

「壁ドン? ああ、少女漫画でよく見るアレだな」

「さようでございます。実はわたくし、恥ずかしながら、学生時代に壁ドンでドキドキした経験がございまして」

「おいおい嘘だろ?」

「それが本当なのでございます。あれはそう、誰もいない放課後の体育館裏でした。クラスナンバーワンのイケメンが、戸惑うわたくしを壁際へ追い詰めて、耳元でこう囁いたのでございます。『おら、さっさと財布出しやがれ』」

「カツアゲだな」

「カツアゲですな。ちなみに全力で噛みついて撃退しましたぞ。スッポンのアゴの力を思い知れでございます」

「そりゃ、さぞ痛かっただろうな。イケメンざまあ」

「とまあこのように、壁ドンは大変ドキドキするものでございます。それでは練習しましょうか? ささ、壁に手をついて」

「こ、こうか?」

「もうちょっと壁に近付いて、相手にそっと顔を寄せて、はいそこで愛の言葉を囁くのです!」

「なんて言えば?」

「①もしかして、なんか期待しちゃってる?(からかうように)

 ②お前は、俺のことだけ見てりゃいいんだよ(不遜な感じで)

 ③おおお女のコだ、いい匂いだなぁクンカクンカ!(よだれ)」

「選択肢1つおかしくないか」

「選んだら即ゲームオーバーになるやつですな」

「ゲームはもちろんだが、現実でもゲームオーバーになりそうだ」

「そうならないように、我々はこうして特訓しているのですぞ。さて、壁ドンの後はキスが定番ですが、いかんせんこの講座は初級編ですので、この続きは中級編や上級編に進んでから練習しましょう」

「初級編の割には、離婚プッシュすごいけどな」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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