2021年4月の講義

エイプリル・フール

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。ふっふっふ、本日はエイプリル・フールでございますな。わたくし、面白いネタをたっぷり仕込んで参りましたぞ」

「いや、それよりも……ありがとな!」

「?」

「お前、俺に対して、割と重い感情持ってたんだなぁ。そうとは気付いてやれなくてゴメンな。でも、嬉しかったよ」

「お待ちくだされ、昨日は休講だったはずですが」

「実は、休講だってすっかり忘れて、いつも通り教室へ行ってしまったんだ。んで、帰ろうとして講師室の前を通ったら、お前が1人でブツブツ言ってるから、気になって立ち聞きしてしまったという」

「…………(恥ずかしさで甲羅に隠れる)」

「へへっ、そんじゃ講義を始めてくれよ」

「本日も休講にします……」

「え、いや、今日くらいは真面目に受けるぜ!?」

「ですが、もう講義をする気分では……。あ、でも、浦島殿に幸せになっていただきたいのは事実でございますよ。次の相手は乙姫でなくとも構いません。あの話は我々にとって過ぎ去った過去ですが、輪廻転生は時間や空間を超えるもの。再度あの日を迎えた際には、浜辺でいじめられている気の毒な亀は、どうか無視されますように」

「そうすると、どうなるんだろう?」

「冒頭の重要な選択ですから、まったく別のルートへ入れるでしょうな。その後どうなるかは浦島殿次第でございますが、少なくとも、あの最低なバッドエンドは回避できましょう」

「そうか、それは面白そうだなぁ。でも俺は、何度あの日を迎えても、やっぱりお前を助けると思うぜ」

「何故ですか? そのルートは……」

「ああ、確かに危険なルートだ。でもさ、亀を助けない浦島なんて、それはもう浦島でも何でもないだろ?」

「そっ、そういうところですぞ!(ギュイーン)」

「あ、なんか今、亀の好感度がさらに上がった?」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

「亀じゃなくて女性にモテたい……」

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