お試し受講期間

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。ところで浦島殿、今日で3月のお試し受講期間が終わりますが、4月から本登録してくださいますよね?」

「ああ、その件だけど、実は他の講座に移ろうかなって……」

「なんですと!」

「いや、だってさ? 恋愛講座って聞いたから、俺『合コン必勝法』とか『モテるメールテクニック』とか、そういう内容を期待してたんだよ。でもこの講座、なんかそういう方向性じゃないみたいだし」

「……浦島殿、あえて厳しい現実を申し上げます。心の準備はよろしいか?」

「お、おう?」

「どんな素晴らしいテクニックを駆使しても非モテは結局モテません!!!」

「ぐはぁっ(致命傷)」

「考えてもみなされ。どれだけ気のきいたメッセージを送っても、既読スルーされたら終わりでございましょう? ましてや未読スルー……」

「やめろ! それ以上はやめてくれ!」

「それに、わたくし当講座を始めるにあたり、偵察がてら他の講座にいくつか参加しましたが、恋愛講座の大半はモテ男講師によるモテ自慢でストレスマッハでございますよ。ですがもちろん、講座選択は受講生の自由。移りたいなら好きに移るとよろしいでしょう」

「俺が悪かった! 4月からもこの講座を続けます!」

「ご理解いただけて嬉しゅうございます。では、本登録の書類にサインを」

「ほい、サラサラ~っと」

「ふはははは! 今のはインチキ健康食品の契約書ですぞ!」

「嘘だろ!?」

「嘘です。浦島殿が素直すぎるので、ちょっとからかってみたくなりました。とはいえ、ナンパや逆ナンを装って、高額商品を売りつける詐欺が横行しているのも事実でございます。充分にご注意召されよ」

「異性慣れしていない非モテをカモにするなんて、許せないな!」

「ええ、そうならぬよう、4月からもこの講座で勉強に励みましょうぞ。なお明日は休講ですのでご注意を。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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